「水原勇気と比べてはいけない」野球少女 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
水原勇気と比べてはいけない
プロ野球選手を目指す女子高校生の物語。
女性のプロ野球選手というと、世代的にどうしても「野球狂の詩」の水原勇気を思い出してしまう。当時、作者の水島新司先生は、女性のプロ野球選手を登場させるアイデアを野村克也氏に聞いたそうだ。野村氏の回答は、ワンポイントの投手なら行けるかもしれない、しかも武器になる変化球が必要というものだった。それがドリームボールにつながったというエピソード。個人的に好きな話だ。
本作も似たような考え方だった。速球では勝負できないから変化球(ナックル)を覚えるという流れ。でも、高校3年間野球やってるのに監督はそんな指導しなかったのかなとは思う。そこは映画だからと納得させたのだが。ただ、ナックルとストレートの使い分けで打者に打たせないというシーンをもっと面白くしてほしかった。やや物足りないのも本音だ。
実はそんなにスポ根的な話ではない。野球のシーンはそこまでリアルではないし。プロからの指名はない、進学もしない、就職もしない、トライアウトでプロ契約をめざすという厳しい道。しかも女性。その苦境に立ち向かう話だった。周りの偏見と闘い、家族の理解を得ようとするスポーツもの。これはこれで悪くない。
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