「全て雑なB級SF」アンチ・ライフ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
全て雑なB級SF
ブルース・ウィリスは最近作品を選ばなくなったのか、比較的低予算の作品に多く登場しているイメージが強い。ニコラス・ケイジと言い、トップスターでも様々である。この2人は間違いなく同じ路線を進んだという訳だろう。 だが、ニコラス・ケイジは「マッド・ダディ」等の吹っ切れた演技で印象に残る作品が多い様に思える。
逃げ場のない宇宙船内で謎の生命体に人々が侵されていく様を描いた作品であり、79年の「エイリアン」の様な構成だ。SFアクションという宣伝文句だった気がするが、それよりかはSFホラーが妥当な所だろう。この手の作品にしてはブルース・ウィリス含め意外にも出演陣が豪華な作品だが、全体的に雑でチープという致命的な欠陥のおかげで何ににも効果を発揮できていない様に思える。公開当時迷った挙句劇場には足を運んでいないが、¥2,000近い鑑賞料金を払ってまで観る程でも無い凡作だった。
個人的にどことなく80年代風の雰囲気や、チープな宇宙船内の完成度、安っちいCG等のお手製感満載な所は造り手の情熱と妥協の両方を見ているようで好みだった。掃除用品の収納場所に市販のアルミラックが置いてあったのには笑ってしまったが。 未公開のドが付くほどのB級映画を好んで鑑賞するマニア勢にはニヤリと出来る部分もあるだろうが、想像していたよりも倍くらいのチープさは拭いきれず、残念だった。最終的には予算が物を言うのだろうが、主人公の目線で進むとにかく大雑把な展開に全く感情移入出来ず、バタバタと人が殺られていく。エイリアンも寄生という有効な手段を使っている割にはほとんどゾンビであり、「遊星からの物体X」の様な疑心暗鬼がふつふつと湧いて出てくる様な迫力も怖さもない、色々と残念な作品だった。これはゲームオタクのポール・W・S・アンダーソン監督に撮って欲しい作品な気がしてならない。