「ほめる点がない」アンチ・ライフ サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
ほめる点がない
久々にブルース・ウィリスの映画を劇場で観ることができる、しかも閉鎖空間で謎の宇宙生命体と戦う…これは間違いなく面白い。と、勢いづいて観に行ったが、とてもひどかった。ほめるところがひとつもない。
物語の舞台は宇宙船内。謎の生命体がクルーを襲う、閉鎖された空間で助けも呼べない、人間を滅ぼすことが目的、重火器も通用しない、などエイリアンを彷彿とさせる筋書きではあるが、その実態はなんちゃってゾンビ映画である。
謎の生命体に寄生された人間は死に、その死体は思いのままに操られる。生命体は増殖し、人から人に乗り移り、操り人形は奇声を上げながら人間へ襲い掛かる。ゾンビそのものである。
宇宙SFホラーの閉鎖空間モンスターという、いかようにも面白くできる題材を使って、なぜゾンビなのか。ここで強く引っかかってしまった。ゾンビ映画のつもりがないにしてはあまりにつくりがゾンビ過ぎる。
ゾンビが出てから先も突っ込みどころの嵐だ。うじうじして役に立たない主人公、仰々しく出てきて全滅する特殊部隊、意味深なことをしゃべって核心に触れない黒幕(?)など、観ていて爽快感のない人間が続々現れる。
話の展開も滅茶苦茶だ。逃げても無駄だと言ったり立てこもったり立ち向かったり逃げようとしたり、果ては弱点となる薬品を発見したのにそれを置いてきたり…。まともな行動原理を持っているのはもはや謎の生命体だけだった。が、しかし、その謎の生命体も最終的に非常にダサいモンスターに成り下がってしまう。マグロ食ってそうだった。
ラストも、おおよそ予想できる展開の中でもまあまあひどい方のオチだった。本当にほめるところがない。セットはまだマシだった…くらいか。