くれなずめのレビュー・感想・評価
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立ち止まることの肯定。友の記憶と共同幻想
古い友に限らず、家族であれパートナーであれ、大切な人と豊かな時間をともに過ごした記憶はたとえ意識の奥底に沈んでいても、何かを見聞きするなどふとした拍子に思い出されたりするものだ。あるいは、大切な人が「ふっといなくなった」後でも、夢に出てきて何の違和感もなく昔と同じように会話したり笑いあったりということだってある。誰もが経験する大切な人の記憶をめぐるそんな心の動きを、何とも鮮やかな手法で作品化したのが松居大悟監督の「くれなずめ」だ。
友人の結婚披露宴で余興の「赤ふんダンス」を披露するため久しぶりに集まった高校時代の仲間たち。高校当時は帰宅部でさえない彼らだったが、文化祭の出し物を一緒にやったことで意気投合し、卒業後も毎年のように集まっていた。だが5年前にある重大なことが起き、それ以来会っていなかった彼らが久々の再会を果たしたのが、映画冒頭の披露宴会場での打ち合わせだ。
「老けたなあ」「全然変わらないっすね」という再会場面でありがちな言葉のやり取り。あるいは、飯豊まりえが演じる会場スタッフの言動。冒頭のシークエンスからさりげなく伏線がいくつもはられている。ただし、始まってからものの十数分で、この映画の仕掛けに関する種明かし――とまではいかないにしても、かなり明白な示唆――が吉尾(成田凌)の口から告げられる。
「暮れなずむ」からの造語であるタイトルは、昼から夜に移る狭間の時間である夕暮れ時に、先へ進まず敢えて立ち止まることを肯定する言葉として受け止めた。劇中で描かれることの大半は、披露宴と二次会の間にぽっかりと空いてしまった狭間の時間であると同時に、彼ら一人一人の回想を通じて次第に明らかになる、5年前の出来事にうまく折り合いをつけられずにいる人生の停滞期とも呼ぶべき現状だ。
彼らが過去と折り合いをつけられるように本作が用意した仕掛けは、ある種の共同幻想だ。現実の事象に寄せて解釈するなら、集団幻覚に近いだろうか。本作は松居監督によるオリジナル舞台劇の映画化だが、演劇にせよ映画にせよ、劇中の虚構を観客が真実であると信じるという意味で、劇や映画を観る行為もまた共同幻想のようなものかもしれない。
過去の悲劇を克服して前へ進めというポジティブな励ましは世にあふれている。だが無理して進まなくていい、人生に立ち止まる時期があっても、会えなくなった大切な人をゆっくり想う時間があってもいいじゃないか。「くれなずめ」はそんな別の選択肢を示してくれたように思う。
思い残したことなど、都合よく書き換えてしまえ
タイトルに込められた様々な意味を一つ一つ感じ取ると、青春時代の終わりを感じ、妙にしんみりした気分になった。
イケていない者同士が集まって彼らなりに過ごした時代。
お互いのダメ出しをしながら一生懸命生きている。
男子にありがちなバカでふざけたトーク。
5年ぶりに集まった理由は、友人の披露宴でする余興のため。
彼らだけに見えるヨシオは、5年前に心臓病で急逝した。
いつまでも続くと思っている青春が、終わらないまま途切れ、動けなくなっていた。
余興は大失敗した。
原因は、当時のままではないこと。ヨシオがいないこと。妙にその事実だけが彼ららしいバカ一直線のパフォーマンスになれず、気恥ずかしさによる曖昧な演技によって余興が盛り上がらなかった。
彼らが感じた心の空白。
二次会までの時間を使い、5年越しの想いを少しずつ話し始める。一つ一つ当時のふざけた行為を再現しながら、お互いその場所まで戻り、しこりの残った思い出を変化させようとする。
ヨシオが生き返ったかのような映像は、おそらく仲間の誰かのしたことだろう。
特にミキエへの告白はミキエの気分を悪くしキレキャラが際立つが、そもそもキレキャラであるが故、彼女の心情が見えない。
そんなトリックを使いながらヨシオの引き出物を畑に埋めようとする。
その畑の持ち主が現れるが、ヨシオにそっくりで皆驚きを隠せない。
彼の幻想が見え「過去なんか都合よく書き換えろ」というヨシオの言葉で皆であの日の出来事を再現した。
最後に見た彼の記憶と当時の状況。皆同じ気持ちで、ようやくヨシオを送り出せた。
あの日以来滞ったままだった時間。
やがて二次会の時間。
もうすぐ日が暮れる時間。
彼らの青春時代もようやく幕を閉じることになる。
下手でもいい。自分なりに一生懸命だった青春時代。
ずっとヨシオの影を引きずっていた5年間の終焉。
ちゃんと自分たちで締めることのできた青春。
ふざけた映画だったが、心のまま楽しんで生きていた彼らの青春の素直さに涙が止まらない。
涙が出るほどバカバカしい
よかった。
学生の時の友達って、こうなんですよ。
何歳になっても、バカになれる。
そのバカバカしさが
切ないほど愛おしいんですね。
日常の会話、つぶやき、その行間に流れる笑い。
若葉竜也と藤原季節がよかった。
仲間に入れて欲しくなりました。
ばかができるほど愛おしい
ばかな6人組、しょーもない6人区なんだけど
事情を知ると、過去にもどった5人の表情に信じられないほど泣かされてしまった。
引きずったままでいさせてくれ、という言葉にグッときてしまった。
どうしようもなく馬鹿馬鹿しいことができる相手って本当に貴重。社会人になる前に、特に利害関係もなくできた仲間って本当に貴重だって大人になるとよくわかる。
たまらなく友達に会いたくなる映画。
前田敦子のキレキャラもいい
2023年11月4日
映画 #くれなずめ (2021年)鑑賞
友人の結婚式で久々に再会したアラサー男子6人組が、二次会までの中途半端な時間を高校時代の思い出とともに当時と変わらぬノリでバカ騒ぎして過ごす
アラサーもまだまだ青春だなと感じさせてくれる映画です
あまりハマらなかった。 男子学生の会話って自然ならもうちょっとくだ...
あまりハマらなかった。
男子学生の会話って自然ならもうちょっとくだらなくて面白いのが多いかと思ったけど、誰かが作ったセリフを演じているからだろうかあまり笑えなかった。
それが陽キャではなさそうな彼らのノリなのだろうか。
亡き友と再び過ごす時間、だんだん鬱陶しくなってくるところ木更津キャッツアイらしさを思い出した。
自分とは違う人種の集まりで苦行!!
バカ騒ぎと中身の無い会話ばかりで、自分とは違う人種の集まりで苦行でした。女性に観てもらってモテたくて作っているのが伝わってきました。中盤、ミキエ(前田敦子)のキレ具合が良かったです。終盤まで観ても、特にストーリーが無かったです。
観るのをやめても後悔しません
のっけから何分?
延々と脈絡なく登場人物たちの悪ふざけ
若かった頃、男子ってこうよなぁと言わんばかりのグダグダ演出
ホントにしんどい。
観るのをやめようと思ったらやめてもいいと思う。
破天荒な展開があるのかと勝手に想像した自分に反省
なんせ序盤に成田凌は死んでるのか?と匂わせられたもんだから
だから何!?
みんないい俳優たちなのにもったいない
彼らもこれが仕事なんだ
しばらく気がつかなくて
まごついたが、わかってしまえばいろいろ腑に落ちる。
終盤はちょっと許容できないところまで行ってしまった感じ、まさに披露宴の余興で赤フンダンスされたみたいな微妙な気持ちになる。そこまで織り込み済みなら凄いけど。
二次会ならギリギリありかな。
アマプラにて視聴
舞台劇を映画化とのことで、舞台演出の要素が強い印象。暗転、明転を連想させる時系列が変わる場面転換、人物にスポットライトが当たる演出、少しオーバーな演技、どれも新鮮で演劇見に行きたいなと思った。また、お笑い芸人のコントの規模を大きくして笑いあり涙ありにしたような雰囲気も感じた。私の場合は構成が複雑で伏線を張っているような作品は頭が疲れるので、そういった考えるのが苦手な方は頭が冴えてる時に視聴して下さい。
男子ノリ演技が作ってない感が逆効果に
2021年劇場(配信)鑑賞48本目 駄作 25点
個人的に2021年の邦画で5本の指に入るレベルで賛否が分かれる作品。
当方の感想としては賛否の否側の人間で、正直あの内輪の仲の良さがなんというか、作り物に見せないように足掻いたあまり逆により一層不自然というか、それなりに考えて演者も制作もその空気感というか、雰囲気を作ったんだろうけどこれがリアルに見せた不自然なリアルに終始不愉快でした。
ラストの演出は言うまでもなく吐き気しました。完全に引きました。
成田凌が好きで、彼のどの作品をやらせてもいい意味で彼のカレが残っているのが好きで、それが今作はその作りすぎた空気感のせいで台無しでした。
舞台劇だけで良かったような気が…
舞台劇の映画化というのは、個人的に、少し苦手です。
リアルな日常が、急にドラマチックになったり、
観客に語りかけてくるような演出があったり、そういうシーンが
出てくるとさめてしまう。
これは、どうかな。そうなりませんように、と思ってみたのですが
出てきましたね。フェニックスが降誕。そして、心臓w
それまでは、中だるみはあるものの、
まあまあ面白いかなと思ってたんですが、少し残念です。
男子の青春物語。時代は変わっても、根っこは同じ。
ストーリーは好きですよ。普通の演出で見たかった。
成仏できないんじゃなくて。
みんなが忘れられないだけ。途中いきなりぶっ飛んだなーと思ったけど、あれをみんながやりたかったんだね。
記憶を書き換えるって、あれで気はすんだのだろうか。
いたらそんなに意識はしないけど、いなくなると思い出す。
それが答えだ 懐かしかった。
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