「他愛もない時間こそが愛おしく忘れ難い、、、けどね。」くれなずめ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
他愛もない時間こそが愛おしく忘れ難い、、、けどね。
『くれなずめ(くれなずむ)』
なかなか日常では使わない言葉。
♪くれぇぇなぁずぅむ まぁちぃのぉぉ〜
そう、♪贈る言葉♪の歌詞以外では
口から出た覚えがないです。
で、どんな意味なんだ?
<日没どき、日が暮れかけてから暗くなる
までの間の様子>だそうです。
物語は秀逸です。
映画などではよくある出来事がKeyですが、秀逸です。
『くれなずめ』・・・ナイスな題名だと思います。
本作はある男仲間(友達)の心を解き放つ物語。
仲間同士の魂が触れ合う物語。
くれなずめよ、気の済むまで。
夜か昼かわからないその場所に。
ぼんやりしたどっちつかずの世界に。
何を気にしてるんだか・・・
もう、そんなこと、俺は求めちゃいないがね。
答えが見えるまで、とどまれば?そこに。
けど、もう答えは出てるけど・・・
そんな吉尾の言葉が聞こえてきそうだけど、
わかるわけもない。
思い出って何だろうなぁ。
その出来事の大小に関わらず、魂がふれあい、共振したことは
かけがえなく、心に刻まれている。
あの時に戻れる、素敵なもの。それが思い出。
けど、「昔はよかったなぁ」って言っている自分、、、
もしかして、あの頃に戻りたいって思ってるのかな?
いや、今以上に楽しかった記憶があるから、
今を肯定できずに逃げちゃってるんじゃないの?
だったら思い出って足枷なの????
今とこれからの人生で味わうであろう現実に
向き合うためには、素敵な過去を決別しなくちゃ
ならないのかもしれません・・・それが成長の入り口
なのかなぁ・・・・?
「くれなずむ」って春の季語だそうです。
長かった冬を乗り越えて、
彼らの四季は動き出したのでしょう。
今まで以上に厳しい季節があるのかも
しれませんが。
春の訪れは一面の黄色の花がいいですよね?
後味がとっても爽やかな一本でした。
本作は作品全体がくれなずんでいます。
現実かファンタジーかわからない、
時間軸がどんどんぼんやりすくる展開、
などなど、境が見えにくい演出が上手いと思います。
また、男友達のわちゃわちゃ感、ガキ感、サバサバ感が
とっても良く出ていました。それはセリフでも。
演者さんたちがみな見事すぎました。
この感覚・・・わかるわぁ〜って。
あと、前田さんのスパイスがいい感じです。よかった。
シンプルなストーリーなんですが、噛み締めると
どんどん味が出てきます。
スルメです。一見、何じゃこりゃ?何ですが・・・。
それだけ演出の妙が効いているのだと思います。
あっぱれの秀作です。
あ、、、成田さん出演作にハズレ無し説は
無事継続中です!