劇場公開日 2021年5月12日

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「【”笑わせてくれ・・、泣きたいくらいの現実の中・・。” ヘタレな男”6人”のおバカトーク炸裂”ファンタジー”ムービー。クスクス笑って観ていたら、知らず知らず涙が滲んでいた作品。】」くれなずめ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”笑わせてくれ・・、泣きたいくらいの現実の中・・。” ヘタレな男”6人”のおバカトーク炸裂”ファンタジー”ムービー。クスクス笑って観ていたら、知らず知らず涙が滲んでいた作品。】

2021年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

幸せ

ー 早逝した親友と、学生時代に山頂で撮った色褪せた写真が、部屋の片隅の写真立てに入れて置いてある。たまに写真の埃を払うとき、彼の笑顔を見る。
 彼は当然、若い。 隣に立つ私も若いが、今や当時の面影はあまりない。
 けれど、それが”私が、生きているという事だ”と思い、その写真を仕舞うつもりはない。
 何よりも、学生時代におバカな数々の事を一緒にやった彼が、私の中から完全に消えてしまう気がするからである・・。 ー

■クスクス笑ってしまったシーン幾つか。
 <やや、内容に触れている個所があるので、未鑑賞の方は一端ここまででお願いします。>

◆”おちんちんが可哀想”・・問題。
 ・高校時代のヨシオ(成田凌)が、アカシ(若葉竜也)にトイレで小用を足した後に話かけるシーン。
 ”用を足してから、手を洗うじゃない?。これって、おちんちんに失礼じゃない?”
 ”じゃあ、手を洗ってからすれば良いのか?”
 ー クスクス笑いながら、鑑賞。そして、大人になったアカシは全く同じ事をソース(浜野謙太)に言っている・・。
 全く意味のない会話を真面目な顔でする、時を超えた二人組の姿。
 ”男って、ホントおバカだなあ・・。”ー

◆”下半身に着けた匂う赤褌を、気障で、恫喝的な上級生(城田優)のビールジョッキに浸して飲ませちゃう・・問題。
 ー 上級生がカラオケボックスの部屋から出て行った後に爆笑するソースとタイセイ(藤原季節)。クスクス笑いが止まらない・・。

◆”又、明日会おう・・、良い言葉だなあ・・”・・問題。
 ー ネジ(目次立樹)の家に泊まったタイセイが寝ているふりをしていて、ネジのこのナルシスティックなセリフを聞いて爆笑する姿。
 ”ナルシストな男ってしょうがないなあ・・”と思いながらも、笑っている自分も同類である・・。ー

■上記のしょうがない男ともう一人、劇団を主宰するキンイチ(高良健吾)も加わり、”6人”の男は友人の結婚式で思い出の赤褌を使って、出し物をするが・・。
 ー 受けなかった、と意気消沈している6人組だが、後半のオカシナ6人のキレッキレのダンスを見ていると、”決まっているじゃないか!”
 ヨシオが漸く告白した気の強い元清掃係の女性(前田敦子)も笑っているし・・。
 けれど、良い年をして赤褌って、どうなのよ・・。
 仲が良いんだよなあ、皆。ー

■白眉のシーン
 ・今作では、全く同じシチュエーションの場面が2度出てくる。
 ヨシオが仙台のおでん屋の屋台で(屋台の主人を演じた滝藤賢一の演技が、強烈だった・・)キンイチの舞台を酷評し、その後東京のキンイチの舞台を見て、”良かったよ・・”と言って”一杯飲んで行けよ!”と誘う5人の誘いを断り、帰るシーンである。
 1度目は、5人はその場がヨシオと会う最後となるとは思わずに、居酒屋へ・・。
 2度めは、5人はヨシオが”既にこの世にいない事を知りつつ”ヨシオを”この世に引き留めようとする。皆、目が涙で真っ赤である・・。
 ー 5人の残された男達の、ヨシオに対する気持ちが、炸裂するシーンである。
   構成も見事である。ー

 ・ヨシオの父から、5人にヨシオの訃報が入るシーン。
  ソースは妻と買い物をしているが、店外に出た途端にカートにもたれ、泣き崩れる。
  タイセイは、他人の自転車に八つ当たりして、警官(岩松亨)に咎められるが・・。
 ー この二つのシーンは、特に涙を堪える事が難しい・・。
   親友の突然の死を受け入れられない5人の姿・・。ー

<少し捻った、青春の面影を引きづった”6人”の男達のファンタジックな映画。
 ”6人”の男同士の、一見緩く見えるが、実は強い絆で結ばれていた事が分かる数々のシーン。
 クスリと笑えて、可なり沁みます・・。
 成田凌、若葉竜也、藤原季節、そして高良健吾。(ゴメン、目次立樹。初めて観たんだよ・・)
 現代邦画を牽引する役者さんたちの、過去と現在の生き様を、時に可笑しく、時に真剣に演じる姿も魅力的であった作品である。>

NOBU
R41さんのコメント
2024年5月31日

早々にいいねをありがとうございます。
とても不思議な作品です。
登場人物たちすべてが、5年前に急逝したヨシオと途絶えてしまった彼らの青春をみんなで一緒に乗り越えようというただそれだけに焦点が絞りこまれています。
映像がトリッキーなのが肝ですね。

R41
CBさんのコメント
2021年7月20日

コメントありがとうございました
> おバカな会話って、今だからこそ大切ですよね
うんうん。

CB
CBさんのコメント
2021年7月19日

> 全く意味のない会話を真面目な顔でする、時を超えた二人組の姿
あはは。ホント!

CB
masamiさんのコメント
2021年5月18日

NOBU様のレビューを読んでいて考えが変わりました。
ファーザーです。アンソニー・ホプキンスは「羊たちの沈黙」のドクターレクターのイメージで、怖いのです。スルーかなあと思っていたんですが明日観に行きます。
いつもありがとうございます😸

masami
masamiさんのコメント
2021年5月18日

NOBU様コメントありがとうございます😊
特に熱がこもったレビューに感服しました。まくらのご友人の話しは切ないです。
私もあとで気づいたんですが目次さんが「アルプススタンドのはしの方」の先生役だとはビックリでした。

masami
しろくろぱんださんのコメント
2021年5月13日

こんばんは。
NOBUさん共感ありがとうございます。
成田凌はじめ五人の俳優さん達の個性豊かな演技がとってもよかったです。
前田と成田との関係。
強気の前田敦子と弱気の成田凌の演技が最高におもしろかったです。

しろくろぱんだ