「確かに、難しい」約束の宇宙(そら) R41さんの映画レビュー(感想・評価)
確かに、難しい
個人的には非情に評価しにくい作品だった。
これは宇宙飛行士になってから宇宙へ行くまでの間に、自分の心の在り方を整理しましょうというような宇宙飛行士のための教育用ビデオなんじゃないのかなと思った。
抑揚はあるものの、起承転結はないに等しい。
しかし、
かつて数日だった宇宙飛行は、今では1年単位になってきた。
作品では、人類が火星へ行くことになっていて、そのために宇宙ステーションで1年暮らすというもの。
実際に火星に行くことになれば、片道9か月かかる。
まあつまり、このような時代になったというわけだろう。
主人公にとって娘が何より大事な存在
いよいよ出発が迫ってくるときに感じる葛藤
それは彼女の訓練中のミスなどで表現されるが、幼い時からの夢と現実世界に残すことになる娘という天秤をとてもよく描いていた。
そしてとうとう、
隔離施設を出て娘を連れだし「一緒にロケットを見る」約束を果たす。
約束を果たすことこそ、彼女にとって大切なことだったのだろう。
この規則違反は、手術前にものを食べる行為と同じくらいアウトなことだと思われる。
消毒で済むのであれば、最初から隔離する必要などない。
この部分に欧米人らしい感性があったのは、実際この作品は教育ビデオではないことを意味する。
自分の心に折り合いをつける。
夢を叶えるために必要なこと。
そこに必要なのは時間なのか、スキンシップなのか、それとも単にルールがあるだけなのか?
この作品が描くサラの夢を実現するための彼女の最後の葛藤は、私から見れば何とも言えない後味となった。
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