カポネのレビュー・感想・評価
全50件中、21~40件目を表示
晩年のアル・カポネ
これまで多くの映画に登場してきた実在の悪役の中でも、ヒットラーほどではないにせよアル・カポネも相当扱われて来たといって間違いないだろう。
派手なドンパチ必至のクライムサスペンス映画としては、確かにこれ以上の人物はいない。
但し、今回の作品は彼の晩年。
重い病気にかつての威光は失われ、悪事で稼いだ財産も豪邸を維持するのがやっと。
そんな状況でも周囲に対し、精一杯虚勢を張るカポネが痛々しい。
大半はフィクションらしいが、窮地に陥る、裏切りに遭う、といった、確かに絵に書いたような夢でうなされるシーンが多かった気がする。
いかにも晩年にありそうな謎に沿って話は展開するが、チラシを手にした時から派手な抗争シーンは期待してなかったので、これはこれで想定内で楽しめた。
オムツと機関銃。そしてニンジン。
かつて暗黒街のボスと言われたアル・カポネの服役後、持病と幻覚に悩まされる晩年の話。
.
見てから知ったんだけどこのアル・カポネって私の大大大好きで人生ベストに入る『アンタッチャブル』のロバート・デ・ニーロが演じた人だったのね(そんなことも気づかないで人生ベストとか言うな)。
.
服役後も警察の監視は続き、本当に隠したのか隠してないかもよく分からない金のせいで全員が敵に見えて怯えて、精神を病んでるから幻覚を見るし、排泄もコントロールできない無残な姿。この映画全体、幻覚と現実がぐちゃぐちゃなのでずーっと夢を見せられてるような気分だった。
.
オムツを履いて葉巻の代わりにニンジンを加えさせられてるのは滑稽だけど、認知症の老人が元マフィアってある意味何するか未知数でめっちゃ怖いなと思った。
.
というか、これ元々のアル・カポネを知らないと諸行無常も感じにくいのでは?『アンタッチャブル』を見てから行くといいのかも。
.
人間五十年、夢幻の如くなり
監督に表現したい熱いテーマがある事はわかるし、トム・ハーディーがそれを受け止めて見事なまでの快演をしている事は素晴らしい。しかし、それが観客に伝わるだろうか?と問えば首を縦に振るのは難しい。
芸術的な前衛表現を解読するのが趣味という人以外には、シアターではなくVODをお勧めしてしまう。
妄想と現実が錯綜した夢幻の狭間に誘う手法は近年作品だと「JOKER」を思い起こさせた。
ただ、トランク監督が如何にアル・カポネに対して思い入れと造詣が深かったかを知ると同時に、自分の抱いていたカポネ像がアンタッチャブルのネヴィル・ブランドーと、なによりロバート・デ・ニーロに引き摺られたものに過ぎなかった事に気付き、猛省した。
改めてカポネについて学び直したところ次のような生涯だと知った。
12歳まで・・・学業面は優等生
10代 ・・・不良少年。ただし稼いだ金を母親にあげるなど家族思いの面は変わらない。19歳で息子誕生。その月に結婚。
20代 ・・・カタギで働く時期もあったがマフィアで頭角を表す。ジョニー"パパ"トーリオの跡目を継ぎ、26歳で組織のトップに立つ。ギャングとしての面よりも悪徳ビジネスマンとしての才に優れていた。
敵には冷酷だがカタギには優しく、一般市民が巻き込まれたら医師を手配し治療費を全額負担したり、5000人を超える貧しい人々に毎日3食の食料配布をしたりして人気があった。「聖バレンタインデーの虐殺」までは。
30代 ・・・獄中にて服役生活。30代半ば頃から梅毒が悪化し、痴呆症状が進行する。
40代 ・・・出所時は、逮捕された頃の凄みは見る影もなく、知能は12歳程度まで逆行していた。フロリダで家族と過ごすも時すでに遅く、48歳誕生日の1週間後に病死。
という事は、世に広まっている「暗黒街の帝王」というイメージは、たかだか26歳〜30歳の4年間程度の出来事なのだ!
20代後半なんて、どれだけ人気絶頂だとしても人間的にはまだまだ若造ではないか・・・!
40代のデ・ニーロが円熟の演技で魅了してくれちゃったものだから、すっかり誤解していた。
カポネのアメリカン・ドリームは、僅か20代10年間の夢に過ぎず、それ以降は自由も無く、物理的な牢獄と精神的な牢獄の中で責め苛まれるだけの時間だったのだ。収支計算は合っているのかもしれないが、なんとも哀れだ。
しかし、悠久の天上界から見れば、人の世の五十年などは、まばたき1回の間に過ぎないのであろう。
私もこの無常の世に生を受けたからには、思いっきり生き抜いてやろうではないか、と改めて思う次第である。
ちなみに個人的にはマット・ディロンがめちゃくちゃ良かった〜。アウトサイダーやランブルフィッシュが大好きだったので、アウトサイダーのダラスがもし生きていたら、こんな風に渋くカッコ良いダーティーヒーローになっていただろうなぁ、と夢想した。結局殺されてるけど(苦笑)
観客に不親切な前衛表現は星3〜3.5と感じるが、ハーディの好演、トランク監督の拘り、更にはマット・ディロンへの贔屓点を加味して甘め評価となった。
葉巻代わりのニンジン
アル・カポネは最初に知ったギャングスターでもあり、それはデ・パルマの「アンタッチャブル」で演じたデ・ニーロの印象が大。
脇にマット・ディロンとカイル・マクラクランって渋いキャスト陣、個人的にはトム・ハーディとマット・ディロンが一緒に映る場面が最高過ぎて。
ギャング映画ってよりもホラーでスリラーなテイスト、もし「シャイニング」をリメイクするならジャック・ニコルソンが演じた主人公ジャック・トランス役はトム・ハーディが適任、時代も違えば本作でオスカーにノミネートされていたような演技?存在感を醸し出したT・ハーディのA・カポネ。
葉巻を吸っている悪人が少しずつ弱まり善意の気持ちを取り戻す過程で、葉巻からニンジンを咥えている図が「ツイン・ピークス」でも見受けられる、関係無いが。
監督運が悪いように思われる最近のトム・ハーディ、作品選びと題材は良い筈なのに!?
気の毒な話です。
今、この役ができるのはトム・ハーディしかいないかもしれません。
一昔前だと、デ・ニーロがやっていたかも。
そういう意味でもトム・ハーディの独壇場という映画でした。
認知症の人の幻覚混じりの内容なので、一般受けは難しいかも。ビッグバジェットの映画の公開が次々と先送りされている中、こんな中途半端な時期に公開されたのも、さもありなんという感じ。
トム・ハーディ主演なのに、アルバトロスが配給してるくらいですから。
ただ、内容的には物凄く気の毒な話です。
認知症がすすんで体の自由もきかなくなっていく、昔栄華を極めた人の末路の話ですから。
認知症というのでおじいちゃんの話かと思っていたら、48歳という年齢でしたから余計に気の毒で仕方ありませんでした。
ただただ憐れで、、、
あと、久しぶりに見たマット・デュロンがあまり年を取ってなかったのはビックリでした。
見る影も無いスカーフェイス
1931年に脱税で逮捕されて服役し、1939年に出所~フロリダへ移り住んだ後の、梅毒の悪化で認知障害を患ったアル・カポネの話。
かつての力も財力も無くなり、幻視、幻聴、認知症が悪化していく中で、疑心暗鬼に陥って行くストーリー。
因みに、まだ梅毒治療にペニシリンが投薬される様になる以前の時代です。
事実か妄言か判らない、隠したとされる1000万ドルを巡るエピソードを軸に、半分近くはアル・カポネのみる幻視や夢で展開しながら、サスペンスっぽくみせていく展開ではあるけれど、かの有名な暗黒街の顔役アル・カポネの栄枯盛衰の衰に特化したドラマですからねぇ…珍しくもあり、憐れでもあり、とても面白かった。
余談ですが、少し痩せているけれど、元々トム・ハーディはアル・カポネに見た目が似ていると思っていたのは自分だけ?更に、冒頭の鬼ごっこで泥だらけになり雨に打たれるシーンは、ゴッドファーザーの時のマーロン・ブランドにも似ていてなんかぐっと来たw
何となく知ってる位でお恥ずかし処だが…。
伝説?で有名だった事もアバウト状態で鑑賞した私の意見としてだが、私の好きだった「ダークナイト ライジング」でのムキムキで嫌われ者?役のトム・ハーディーのイメージからだった… ツインピークス好きだった私としても,カイル・マクラクランにも期待していたが、一寸ズッコけた感が残っちゃった,申し訳無い…あまり「アル・カポネ」の知識が浅い中のレヴューで…。
余韻がずっと残る
アル・カポネが服役を終えてからのストーリーでした。私は予備知識が全くなかったけど、かつてギャングスターと呼ばれていたらしい彼がこんなにも衰え、もがいている姿には考えさせられました。また「認知症とはこのように人を変えるのか」という1つの学びとしての視点で見るのもアリ。
内容がない。梅毒で痴呆になったカポネの妄想に2時間近く付き合わされた挙げ句にこのスカスカ感。「(隠されたという)金は未だ見つかっていない」⇒「この映画の良い処は未だ見つかっていない」
①トム・ハーディーはオムツまで履いての熱演だが、どうしてもイタリア系に見えないのが致命的。②登場人物は殆んどが陰影のない紙人形みたいなキャラクターばかりだが、唯一メエ役のリンダ・カーデリニ(『グリーンブック』でも好演)が印象的。③ご贔屓ジャック・ローデンにはもう少し役を選んで貰いたいね。カイル・マクラクランはお小遣いが欲しかったのかしらん。
【”♬カポネ、カポネ、アール・カポネ!♬今作は”うわわわ・・”なシーンも多き、夢と現の間を彷徨う、晩年のアル・カポネを演じるトム・ハーディの怪演に引き込まれる作品である。】
ー ♬ カポネ、カポネ、アール・カポネ! ♬という、”100% アル・カポネ”を、梅毒に侵された脳内でリフレインしつつ、映画館へ・・。 (不惑の歳でないと、この曲は、分からないよね!)-
■感想
・冒頭、この作品は梅毒に侵された晩年のアル・カポネを描いている・・、という字幕が流れる。
- 鑑賞スタイルを、少し修正する。-
・大画面に現れた”スカー・フェイス”アル・カポネ(トム・ハーディ)の眼は、狂気を帯びているような、怯えているような、虚ろな眼である。
映画では、カポネは妻メイたちから、(アル)フォンスと呼ばれている。
- この映画は、トム・ハーディの凄さを観る映画だな、と改めて思う。ー
・病に侵されたカポネは、様々な白昼夢を見る。
それは、且つて、殺した相手だったり、血まみれの拷問室であったり・・。
・FBI捜査官たち(ジャック・ロウデン)は、カポネが1000万ドルを隠していると、疑い密かに彼の動向を監視する。
- ジャック・ロウデンを、もう少し観たかったが、トム・ハーディの映画だからね・・。-
・観る側は、
今はカポネの脳内の妄想を観ているのか、
現実を観ているのかを考えながら、
大画面で繰り広げられる摩訶不思議な光景に引き込まれていく。
- 且つて、彼の仲間に殺されたジョニー(マット・ディロン)が自らの眼を刳り貫くシーン・・。うわわわわ・・。-
・随所で出現する、風船を手にした子供の姿。風船の色は、黄金であったり、灰色であったり・・。
・そして、時折かかって来るクリーブランドからの”トニー”の電話。
このシーンだけは、10代後半と思われる少年の姿が、きちんと描かれる。
トニーは、カポネの隠し子なのか・・。それとも・・・
カポネが実の息子ソニーに”俺の息子は、トニーだ・・”と語るシーン。戸惑うソニー。
<ラスト、豪邸の前の池に向かい、トニーと並んで座るカポネ。
そっと、カポネの手の上に自らの手を置くトニー。
そして、その後、テロップで流れた”彼の親族は名前を変え・・”という言葉。
常に人を信じず、疑心暗鬼であったカポネが最後まで、気にしていた”人物”とは・・。
そして、その”人物”も、カポネを気遣っていたのではないだろうか・・。
トム・ハーディの凄さを、十二分に堪能した作品である。>
今の時代にも通じる社会問題の力作
興行収入を狙える作品ではないかもしれませんが、じっくり鑑賞してほしい力作です。多分、こんなご時世でなければミニシアターでしか上映されないと思われますが、近くのメジャーシアターで手頃に見れて最高です。トムハーディの名演技に圧倒されますよ。
有名人の最もツマラナイ時期を切り取った一本。
加齢や感染症による認知症で夢と現実が混濁します。
例えばカポネならこうだったろうと私は推察します。
なんて映画が面白い筈もなし。
撮られ語られ尽くした有名人の最もツマラナイ時期を切り取った一本。
快作クロニクルの新鋭監督の復調を祈る。
非支持。
晩年の狂った姿
伝説のギャング、アル・カポネの晩年を描いた作品。梅毒の影響による脳症により幻覚と認知症が進んでいるが、1000万ドルと言われる隠し財産を探る為、いろんな人達が近づいてくる。
現実と幻覚の狭間で、うんち漏らしたり、親族の名前もわからなくなっていき、奇行を繰り返すようになっていくので、銃の乱射も幻覚だったのかな?
48歳とは思えないほど歳に見えたから、死ぬ前は本当にあんな状態だったのかも。
しかし、こんなの観て何を感じれば良いのか、よくわからなかった。
全50件中、21~40件目を表示