劇場公開日 2021年5月7日

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「勧善懲悪だからこそ、アクションが映える!」プロジェクトV ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5勧善懲悪だからこそ、アクションが映える!

2021年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アクションに次ぐアクション、危険な場所での攻防戦とそこで魅せるスタント、そして時折挟み込まれるユーモア。近年シリアスな作品が多かった分、久しぶりに王道ジャッキー映画を観た気がして嬉しくてならない。ジャッキーの出番は少なくなっているとはいえ、大事なところではしっかりとアクションを魅せてくれる。勧善懲悪、要人の救出という単純明快なストーリーであるからこそ、アクションの数々が痛快に映る。これぞ娯楽映画!

しかし、スタント、カーチェイス、多勢に無勢の格闘アクションときちんとツボを抑えているのに、ラスボスとのタイマンでのラストファイトがあっさりだったのは悔やまれる。平たく言えば悪役のアクションの魅力が乏しいのだ。これは近年のジャッキー作品において共通する課題。何分にも今回は悪役側の出番も多く、ラストへの期待感が高まった故にヤンヤンvsブラヒム・ハブの真剣勝負、ジャッキーvsヤエド・ホラーニのユーモラスな追走劇をもっと見せて欲しかったという気持ちが残ってしまう(『酔拳2』や『WHO AM I?』のラストくらいの尺がないと物足りないのだ!)。

それでも、本作を観て満足して劇場を後にできるのはNGシーンも含めたジャッキーのサービス精神の旺盛さに関心するからこそ。走る水上バイクの上での格闘や敵の肩に掛かった銃をそのまま撃つというアイデア、65歳を過ぎても尚、面白いアクションを見せる工夫に関心するばかり。近年は若手に見せ場を任せるというスタンスらしいが、ボートチェイスのスタントを自分でこなしている姿を見ると、まだまだ後進に道を譲る気はないでしょう。体に無理は禁物だが、70歳を迎える前に、ジャッキーが警視長クラスになった正規シリーズの『ポリス・ストーリー』を是非!

Ao-aO