「郊外の新興住宅地の怖さを感じさせる様なシチュエーションスリラーです。」ビバリウム 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
郊外の新興住宅地の怖さを感じさせる様なシチュエーションスリラーです。
予告編を観た時から気になってた作品を鑑賞しました。
都内での上映館は3館のみと意外に少なく、有楽町のシャンテで鑑賞。
で、感想はと言うと…一言で言うと変な映画。
いろんな部分で気持ち悪さがありつつも不思議な感じで、何処かファンタジーな雰囲気もありつつかと思いきや、結構報われない作品で90年代ぐらいの不条理シチュエーションスリラーな感じがします。
以前に観た「プラットフォーム」よりも「CUBE」っぽいかな?
ふと立ち寄った不動産屋に勧められた郊外の住宅を拝見した時から住宅地内から抜け出せなくなったカップルが家の前に置かれたダンボールの中の赤ん坊を世話をするが、その赤ん坊が驚異的に成長し、抜け出せない住宅地で永遠に続く日々に精神が蝕まれていく…と言うのが、ざっくりとしたストーリー説明。
何故抜け出せなくなったや目的と言った部分での説明は殆ど無し。
冒頭で描かれたカッコウの習性の「托卵」をモチーフにしているであろうと言うのは中盤辺りからなんとなく予測出来てくるとしても、意図としている事などが不明なのが、逆に最近では珍しいぐらいの不条理な作品w
でも、こういった作品は嫌いじゃないんですが、鑑賞した「TOHOシネマズ シャンテ」向きじゃない感じですが、上映2日目とあって、満席でしたw
緑に塗られた壁の同じ造りの家が果てしなく建ち並ぶ住宅地はかなり異様。
異次元の様な様はかつて郊外にラッシュの様に作られた新興住宅地の様子と一緒。
今でも郊外に同じ造りの家が建ち並ぶのには何処か気持ち悪さを感じるし、“こんなん引っ越したばかりなら絶対迷うやん!”と思いますw
また絵に描いた様な青空に同じ形の雲が並ぶのも異様な光景。
子供の頃に見た事がある様な感じが何処かデジャブして、不快感がマシマシになるんですよね。
閉じ込められた中で唯一、答えになろうとするのが「子供」を世話する事。
でも空腹になると奇声を発し、物真似の様にオウム返しをする子供が気持ち悪いんですよね。
家の扉に「9」の数字が付いてあって、それも意味があると思うんですが、その意味が深いのか浅いのかも解らず。それ以上に異常な世界観がビジュアルカラーとの対比があって怖いんですよね。
テンポは結構良くて、前半は割りとサクサク進むんですが、中盤辺りから中弛みがして、何か事件とか進展も特に無い。
淡々と進んで行くので上映時間の割には時間の経つのが遅い感じがします。
タイトルの「ビバリウム」は「生き物の住む環境を再現した空間」を意味と「爬虫類や両生類の棲む環境を再選したケージのこと」らしいんですが、人を何処か生物として俯瞰的に観賞しているとすると、意味や作品の意図がなんとなく分かります。
また、観葉植物や苔などを使用して作られると癒しをもたらし、飼育する生体にはストレスの少ない環境を提供するとの事ですが、劇中のあの住宅地のビジュアルは「観賞」と「観察」を意味していたとすると…なかなか考えられた気持ち悪さですw
こういった作品に意味や意図は求めてはいけないんですが、個人的にはシャンテでやったのがなんか凄い。
「TOHOシネマズ シャンテ」って劇場のイメージと違って、またに変な作品を上映しますよねw でも嫌いじゃないですww
ジェマ役のイモージェン・プーツは今年の5月に公開予定のアンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」にも出演しているんですが、個人的にはなんとなく気になる女優です。
「ミッドサマー」よりも意味の無い感じの不条理な不思議映画で好みが分かれるかと思いますが、気になる方は如何でしょうか?