ネズラ1964のレビュー・感想・評価
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プロジェクトXくらいの話にすれば…
ガメラを産む話として、真面目にドキュメンタリーにすればもう少し見えたのではないでしょうか。
キャストも蛍さん、佐野さん、古田さんなど特撮ではおなじみの方々を揃えているのだからもう少し真面目にシリアスに撮って貰えば良かったかな…
幻の怪獣映画
新たな怪獣映画と思ったらネズミ怪獣映画のドキュメンタリー調のメイキング映画でした。
劇中の映画会社は太映、もちろん大映の模倣、社長も永田をもじった永野。大映特撮映画と言えばガメラだがその直前に没になった企画がネズラだったという、実話に基づいた再現ドラマでした。
社長は大映ラッパと呼ばれたワンマン経営者で負けず嫌い、ゴジラの東宝特撮に負けるなとばかり怪獣映画製作を指示、どうやら当時、大ヒットしたヒチコックの鳥に影響を受け、身近な動物のスリラーということでネズミに至ったらしい。もっともCGなんてなかった時代、特撮怪獣と言えばコマ撮りで一世を風靡したキングコングが一番、ゴジラは日本的発想の着ぐるみ怪獣、また、撮り方次第で誤魔化せる蜘蛛や蜂、蟻などの昆虫をモチーフにしたミュータントものも大受けでしたから流れとしては分かります。
ただ、今になってはなんともチープ、映画を観る限りネズミちゃんたちが可愛すぎてちっとも怖くありませんでしたから没になってよかったんじゃないでしょうかね・・。
熱意は買うかな
本作が制作された経緯や企画アイデア、特撮シーン撮影の工夫や苦労を知れば応援はしたい。
出来る限り、好意的なレビューをしたい、とは思う。
ただ、シアターで通常料金を取って鑑賞するに足る出来栄えか?と問われたら、少し残念かな。
結局、制作企画のスタートから頓挫までのドキュメンタリーのみという構成なので、映画作品というよりも「オマケのメイキング映像まとめ」のみ、なのである、早い話が。
もちろん、その「メイキング映像」こそが「今回制作された作品」なんだけどね。
観る側としては、もう少しだけでも「本来、制作されるはずだった”大群獣ネズラ"という映画」を観たかったな。部分的でもいいから。
もう、CGとか使っちゃっても構わないから「ネズラが、どんな映画だったのか知りたかった」という思いが否めない。
特撮部分や演技の面はいずれも素晴らしかった。だから、残念なのは脚本のみである。あと少し、どうかあと少しだけ頑張って欲しかった。
クラウドファンディングの限られた予算内では限界だったか?いや、脚本の問題だと思うから、方法はあったのではないかなぁ・・・。
気になったのは2点。
冒頭のユカワの台詞で「ビデオを撮っていきます。」というフレーズ。
あの「〜〜していきます。」という言い回しはyou tuberなどを通してこの10年程度で加速的に広まったが、非常に違和感ある日本語だ。90年代頃には奥様向け料理番組でたまに聞く程度だったが当時は流布していない分、余計に違和感が大きかったものだ。
「混ぜていきます」「切っていきます」「撮っていきます」
何故「混ぜます」「切ります」「撮ります」じゃだめなんだ?動詞には元々「短時間の継続」を意味する用法が含まれている。本当に「〜していきます」が適している場面というものはあるが、現在はすっかり濫用が定着して区別がつかなくなってしまった。
しかし昭和38年にはそんな言葉使いは有り得ない。あの一言ですっかり38年にタイムスリップ出来なくなってしまった。
もう1点はラストシーンの社長宅。エアコンの室外機が堪らなく気になった。38年の社長宅ならば当時最新鋭の「室外機・室内機の分かれたセパレート型クーラーはあっただろう。(エアコンではなくクーラーだよ?)
しかし、無骨な室外機は今のエアコン室外機のようにスタイリッシュなカバーに収まりはしないはずだ。
サイズも違うんじゃないかと思う。
(私の寡聞なだけで、実際にあの形状の品があったなら申し訳ない)
まぁ、とにかくこんな辛口批評をするつもりではなかった。
制作スタッフの熱い思いと、特撮に賭けた努力は大いに評価したい。
往年の怪獣映画ファンの皆様には、機会があれば是非ご覧頂きたい。
とくにガメラ派の方々は必見である。
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