「【”苦悶の象徴”暗黒の台湾白色テロ時代を背景に、“全てを壊したかった・・”悲しき密告者の恋物語を、ホラーテイストで描いた作品。】」返校 言葉が消えた日 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”苦悶の象徴”暗黒の台湾白色テロ時代を背景に、“全てを壊したかった・・”悲しき密告者の恋物語を、ホラーテイストで描いた作品。】
ー 台湾白色テロ時代(1947年から1987年の戒厳令解除までの長き時代)
1947年の二・二八事件での蒋介石率いる国民党による人民弾圧以降の反体制派への政治的弾圧。国民同士が、相互監視と密告を強要され、自由、文化が著しく停滞した暗黒の時代である。-
◆感想
<Caution 内容に触れています。>
・女子高生ファン・レイシンが、いつの間にか誰もいない校舎の中で目を覚まし、経験した台湾白色テロ時代の凄惨な光景。
そして、彼女自身も白色テロ時代に生きている事になっている、設定の妙。
ー やや、戸惑う部分もあるが、面白くって怖い・・。ー
・彼女の同級生のウェイ・ジョン等と、秘密の読書会で禁書を書き写す日々。
そこには、彼女の憧れの生活指導のチャン先生も関わっていて。
けれど、チャン先生を思う、女性ピアノ教師がリーダーで・・。
ー チャン先生が、彼女に渡そうとした、首飾り。そして、処刑されてしまった先生が遺した手紙の最後の言葉。ー
・ファン・レイシンの両親は不和で、軍人の父親にも、宗教にのめり込んでいる母親にも、共感できない。
ー 心の拠り所が、欲しかったんだね。それが、あの行動に出た理由なんだね。ー
・時は過ぎ、大人になった”彼”は、取り壊しになる且つての母校を訪れ、禁書であった”苦悶の象徴”をチャン先生の思いが残る色褪せた水仙の画の裏側から取り出し、じっと見つめる。
<ストーリー展開が、やや粗いが怖ろしくも哀しき世界観をホラーテイストで、絶妙に描いた独特な蠱惑的な雰囲気が妙にココロに残る作品である。>
<2021年9月19日 刈谷日劇にて鑑賞>