「苦悶の象徴」返校 言葉が消えた日 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
苦悶の象徴
苦悶いくもん♪と、なぜだか最後には公文式を思い出して楽しくなりましたが、「苦悶の象徴」とはいったいどんな本なのでしょう?そして、観終わってみると、ホラー映画だったのか恋愛映画だったのか国民党独裁による弾圧を描いた社会派映画だったのか・・・よくわからなくなってきました。
まず、悪夢。禁じられた本を読書会で読むウェイ・ジョンティンが拷問、投獄されて見る悪夢かと思っていたら、そこへ優等生の先輩女子ファン・レイシンが学校から抜け出そうとするのに脱出できなくなってしまう。彼女はチャン先生に恋する乙女だったのだが、そのチャン先生は地下組織でもある読書会のリーダー的存在。ウェイと廊下でぶつかり秘密を垣間見たのに、なぜかだまっている・・・
一体どちらの目線で語ってる?と謎だらけの上に、何度も同じようなシーンを行ったり来たり。とりあえず、拷問・投獄のあたりまでの経緯なのだが、真実のシーンを小出しして徐々に核心に迫っていくという手法だ。密告者は誰?まさかみんな処刑されたの?と疑問符は続く。
ドイツ映画でも反ナチ映画が作られるようになっているし、韓国映画でも軍事独裁時代を描いた作品が増えているように、この台湾映画でも暗黒時代を鋭くえぐっていると思われる。ホラー部分そのものは怖くないのに、拷問されるシーンのほうが怖いのです。そして、最後には全体の構図がわかり、チャン先生の思いも切なく伝わってくる。忘れないよ!こんな珍しい映画があったことを・・・
コメントする