「厚い友情の美しさ」人生は二度とない talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
厚い友情の美しさ
本作は、いわゆるロード・ムービーということで、ストーリーの展開に伴って、ハプニングがあり、出会いと別れとかあり…と、それなりの要素が散りばめられてはいるのですけれども。
しかし、そこを通底しているのは、三人の男性の「実社会に出てからも変わらない厚い友情」ということでしょう。
本作を観終わっての「ほんわか感」というのは、その点以外からは出てきようがないように思われます。
兩人對酌 山花開く
一杯一杯 復一杯
我醉うて眠らんと欲す 卿且く去れ
明朝意有らば 琴を抱いて來たれ
盛唐の詩人・李白のものとされる作品ですが、評論子の好きな一作でもあります。
人里離れた山の中で酒を酌み交わす男二人が、どんなことで知り合い、今現在どんな交際をしているのかは描かれていないのですけれども。
しかし、二人が昵懇(じっこん)の間柄であることは、「もう眠くなったから、君は帰れ。」「(代わりに)明日の朝、来る気があれば、琴を持って出直してこい」ということが、何の遠慮も、蟠(わだかま)りもなくなく言える間柄てあることは、明らかです。
この漢詩が、浮かびました。本作を観終わって。評論子の脳裏には。
家庭や、結婚や、生い立ちにそれぞれの苦悩を抱えながらも、「三銃士」としての絆を大切に生きる三人の生きざまに、そのまま結びつくものとして。
その友情の深さが、ずしりと胸に堪えました。
充分に佳作としての評価に足りるものと思います。評論子は。
(追記)
作品の本筋から言えば、いささか余談になりますけれども。
この令和の、ともすると閉塞感が払拭できないわが国とは違い、まだまだ「伸び代」に満ち満ちているかの国(インド)を象徴しているかに思われたのが、末尾に記(しる)した映画のことばになると思います。
そういう社会背景があるにせよ、こういう思いが自然に沸き上がるというのも、共に歩む仲間(親友)があったればこそ、なのでしょう。
その意味に受けとりました。本作との関係では。評論子は。
<映画のことば>
心に情熱があり進むなら、お前は生きている。
目が夢で輝き進むなら、お前は生きている。
風が流れるように、自由に生きろ。
大海の中で漂うように生きろ。
腕を広げ、時代を手に入れろ。
目を開いて、新しい世界を見ろ。
目が希望で輝き進むなら、お前は生きている。
心に情熱があり進むなら、お前は生きている。
きりんさん、コメントありがとうございました。
それにつけても、社会に出る前(学生時代)の親友って、大事ですよね。
そのことにも、改めて思いが至った一本でした。本作は。
〈映画のことば〉
記してくださりありがとうございました。
そうですね、この熱い呼びかけが語られるために、〈ことば〉を核にして3人が旅をするこの映画が編まれたのかもしれません!