「小沢健二の曲が、一気に90年代に連れて行ってくれる」ボクたちはみんな大人になれなかった YOUさんの映画レビュー(感想・評価)
小沢健二の曲が、一気に90年代に連れて行ってくれる
渋谷のラブホテル街。新宿のゲイバー。
理由も告げられず会えなくなった恋人との別れ。
一緒に過ごして他愛の無い会話を重ねる、それだけで心が満たされる楽しい時間。
何度も出てくる渋谷の街角の風景に、思い出がフラッシュバックする。
何気なくぼんやりと過ごした大学生時代。
がむしゃらに仕事をして、そしてよく遊んだ社会人20代。
結婚するも仕事を中心にしたライフサイクルの30代。
宝物の子どもたちに巡り会えた40代。
僕たちは大人になれたのだろうか。
しかし、伊藤沙莉はすごい役者だ。
大学時代にこんな彼女がいたかのような彼女の世界にぐっと引き込まれてしまった。
ベッドシーンでは、初体験の初々しさ、こっちまで照れくささが伝わってきた。
森山未來もずっと尊敬している役者だ。
46歳が主人公の設定。僕らの世代とドンピシャはまり、脳の髄をぐいぐいと刺激してくる。
25年前の自分に重ね合わせ、あの頃なりたい自分になっているだろうかと自問する。
25年後、70歳になった僕は、今の自分を重ね合わせたときに、どう思うだろうか。
ああ、もう一回みたい。
あの時間をまた一緒に過ごしたい。
そう思える映画。久しぶりにいい作品に出会えた。
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