劇場公開日 2021年11月5日

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「ボクたちはみんな大人になりたくなかった」ボクたちはみんな大人になれなかった サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ボクたちはみんな大人になりたくなかった

2021年11月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

単純

幸せ

休みの日に朝早く起きてNetflixで映画。
ああ、幸せ。ああ、生きてる。
もうこれだけで祝日の甲斐がありますね。
という訳で、現在劇場でも公開している本作をNetflixで鑑賞することに。本当は劇場に足を運びたいんですけど、時間が合わないのでパスで。

これまたいい映画ですねぇ...。
渋くて静かで優しく苦しい大人な恋愛映画。花束みたいな恋をしたみたいに、誰かと一緒に見て語りたくなるようなそんな深い映画でした。

1999年、彼女のかおり(伊藤沙莉)は今度CD持ってくるからねという言葉を最後にその場を去り、ボクたちは終わった。2020年、順風満帆に仕事をこなすようになったボク(森山未來)はそんなあの頃を思い出す。

別に捻りもなんにもないですこの映画。
ただひたすらに、主人公に起きることを遡りもう一度現在へと戻るだけの映画。それなのに、何故か面白くてグッと胸に来るものがあって、まるでカセットテープで音楽を流してるかのようなそんなちょっと苦い雰囲気に包み込まれる。映像の美しさだとか音楽の渋さだとか、そういう要素が上手いことハマって素晴らしい作品になっている。

25年間の月日を経て主人公とその周りの人々はどうなったのか。普通な暮らし?まともな生き方?群青劇として非常に見応えがあって、2時間があっという間だった。意外と人って脆いんだな、人って情けないんだなって、単純に希望の光みたいな表現をするよりも勇気が貰えて、この映画見ると人肌が恋しくなるし明日もとりあえず生きようって思える。人生振り返ったら、こんな道通ってきたんだ、自分。ってなるんじゃないかな。

森山未來に圧倒される2時間。
20歳の若々しくまだ世間知らずで弱っちい佐藤。
40歳の普通だけどなんとか仕事をこなす佐藤。
まさか同じ人が演じてるとは思えない。まだまだ20歳役出来ます、彼は。なんの違和感もないし、37で20代を演じているわけだから安定感は半端ない。25年間の佐藤を本当に丁寧に演じていた。東出昌大も長い期間同じ人を演じている訳だが、彼もまた立ち居振る舞いや話し方で歳の変化を感じさせていた。2人とも素晴らしい俳優です。

映画館に見るとなると少し物足りないかも。
家で見るとソファでだらーっとしながら見れるから、全然飽きずに楽しめたけど引き締まった空間だと何だかもどかしかったかもしれない。25年間を描いている割には、出来事が少なかったし丁寧に描くために省いているのかもしれないけど、物足りなさは感じざるを得なかったかな。

でも、個人的には花束みたいな恋をしたと並ぶくらい好きな作品でした。エンドロール後も観客に問いかけるようで好印象だったし、森山未來と伊藤沙莉のカップリングが独特なオーラを放っていて好きだったし、2人で見たらもっと面白いのかもと思った。暇な時にぜひ。

サプライズ