劇場公開日 2021年8月20日

  • 予告編を見る

「ヤクザ映画の限界を超えた新鮮味」孤狼の血 LEVEL2 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ヤクザ映画の限界を超えた新鮮味

2022年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

日本映画の過去を踏襲しつつ、更に一歩踏み込んだ新世界が見えた。
「ヤクザ映画」は、人間ドラマの一つの進化形。
白石和彌はヤクザ映画の限界を感じさせない。

ヤクザとは、社会のアウトローで、真ん中を歩けないハミ出し者。
ヤクザを美化も肯定もせず、エゲツない暴力を見せつけ、
《血みどろの人間の修羅場》が描かれている。

鈴木亮平が境界を超えた人間の悪を表現すれば、
松坂桃李は桃李でヤクザ界をコントロールしてるつもりが、
鈴木亮平の出所により、
バランスを崩されて、警察官のモラル(正義・道徳)を見失い、
警察官を逸脱した一匹狼となる。
善から悪まで、振り子の大きく揺れる役をモノにしている。
この男(松坂)、どこまで複雑に屈折してるのか?
終いには、鈴木亮平がただのサイコに見えてくる。

どの役も一筋縄では行かない。
村上虹郎も、刑事(松坂)のスパイに使われたばかりに、
とんでもない運命を辿る。
ウブに見えて、見せ場が多く同情を誘うお得な役だ。
姉のスナックママ役の西野七瀬。
弟チンタ(村上虹郎)そして子供を育てる姉(西野七瀬)も底辺で地を這うように
生きるしかない運命(さだめ)の人間だ。

警察組織のドロドロの隠蔽と権力争い。
特に滝藤賢一の管理官も複雑な男。
日岡を毛嫌いしつつ利用もしている。
そして中村梅雀の狡猾・・・定年間際の目立たぬ男にも、まだ欲と嫉妬が残っていて、
この映画に深みを持たせた隠れた騙し絵ピース。

ヤクザ映画というジャンルを跳び超えた秀作だと思います。
ラストではコミカルな味付けも楽しめる。

2021年(東映)監督:白石和彌。原作:柚月裕子。脚本:池上純哉。

過去鑑賞

琥珀糖
りかさんのコメント
2023年10月27日

新境地のヤクザ映画でした。あまりヤクザ映画を知りませんが、ヤクザとややこしい刑事との闘い。
良かったのですが、なんか1の雰囲気がお気に入りでしたので。💕
あの檻に入れられたところ、実際あるのでしょうか?怖すぎ❗️
鈴木亮平、サイコパスでした。

りか
りかさんのコメント
2023年10月27日

こんばんは♪
いつもありがとうございます😊
共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
素晴らしいレビューですね。
韓国映画『母なる証明』を最初映画館で観た時、血🩸が凄かったしそのシーンが長く火事もありスクリーンが真っ赤っか❣️
二度と観るもんか、と。だ〜いぶしてTVで観ると赤くないし短いし、 えっ⁉️ というぐらい違いました。レビューのように

りか
りかさんのコメント
2023年10月27日

期待して観に行きましたが、
1の方が良かったという感想。
やはり役所広司さんの存在感でしょうか。無茶苦茶ながら、
何か1本通っているような、
松坂桃李さんもいいけど、やはり
経験の差でしょうか?
ご意見をどうぞ。

りか
満塁本塁打さんのコメント
2023年3月19日

イイねありがとうございました😊。

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2023年3月19日

鈴木亮平の役 悪の求道者ですね。凄すぎで、その先に何の損得計算もない。破滅しかない。滝藤賢一の管理官、計算ずくの狡猾な悪 好対照でした。鈴木亮平役が周囲にいては絶対困りますが、一番憎たらしかったのは警察の管理官でした。典型的な、自分は安全地帯にいて現場コントロールの狡猾。村上さんの役はチト心が痛みました。

満塁本塁打