「次作へつながるlevel2」孤狼の血 LEVEL2 ぴったさんの映画レビュー(感想・評価)
次作へつながるlevel2
前作から大好きな孤狼の血シリーズ。5回足を運んできました。
完全オリジナルストーリーとのことで前作に比べるとストーリーの深みは弱くなりましたが、バイオレンスやアクションなどド派手な演出が強く次作へつなげたいという気迫や勢いがビンビン感じられます。
原作2作目では日岡が左遷されたところから始まりますし、今作は左遷理由が明確に描かれているため、次作へのスムーズなつなぎ、期待度上げとして良かったのではないでしょうか。
前作ではあんなに可愛かった日岡が!と衝撃はありましたが、不良刑事姿好きです。
日岡の吸うタバコの本数、バブリーな衣装など自分が産まれたばかりの頃はまだこんなに昭和感が強かったんだなあと別な衝撃もありました…笑
タバコをふかしながら「おどれら全員逮捕じゃ」と言う冒頭のシーン。顔面が良すぎるなあと惚れ惚れ。
大上の遺志をしっかり継いでいますが、経験値不足からのツメの甘さが目立ちます。マル暴としてまだ4年目、年齢も28歳と若いことを考えれば当然ですがね。
西野七瀬さんのキャスティングについては賛否両論あり、実力派揃いの中では力量不足も否めませんが個人的にはありでした。
日岡のお相手だからと言ってあまりにもお色気ムンムンな方だと年の離れた弟たちと姉弟ではなく親子に見えてしまうだろうし、姉弟に見えるギリギリかなと。
それにママと言ってもクラブやラウンジではなくスタンドですからね、あの元ヤン風な擦れた感じでちょうど良いと感じました。何よりチンタと顔や雰囲気が似てましたしね。
鈴木亮平さんはTOKYO TRIBEにてぶっ飛んだキャラを演じておられましたが、今回の上林もさすがとしか言いようがないです。
狂気あふれる演技と高身長、あのガタイも相まって怖くないわけがない。終盤日岡との死闘シーンで刀を振り回している姿は正に“昭和やくざの生き残り”でした。
幼少期の生い立ちや在日韓国人のおかれた環境については広島やくざの歴史から見てもしっくりきます。
知らない方は調べたり、その時代をモデルにした作品(仁義なき戦い広島死闘篇や新広島やくざ戦争)を観るとより理解ができるためオススメです。
吉田鋼太郎さん演じる広島仁正会の綿船会長はちょっとコミカル感強めな印象。
大きな組織を束ねるトップなので、もっと威厳や凄みのある方が良かったような気がします。トップの人だからこそおどけた一面があるのかもしれませんが…
目の前で誰が殺されようと動じないくらいが個人的には好きです。尾谷組組長代理を演じた渋川さんの方が威厳を感じました。
村上虹郎さん演じるチンタが自分の存在意義を求め、もがき苦しむ姿は国籍や時代関係なく全ての若者に共通しています。
別な形で救いの手があれば彼の未来も明るかったでしょうね。
それこそ日岡と上林の死闘後、朝日が昇るシーンは救われたような気持ちになりました。月並みですが「明けない夜はない」そんな安堵感や晴れ晴れとした爽快感さえ覚えます。
次作はまた原作をベースにしていくと予想されますが、左遷先で狼になるべく静かに牙を研ぎ澄ましている日岡に会えることを楽しみにしています。