劇場公開日 2021年8月20日

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「迫力が半端ない作品でした」孤狼の血 LEVEL2 ハルヒマンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0迫力が半端ない作品でした

2021年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

私は、元来この手の暴力で埋め尽くされた映画は好きではない。エロもまた同様である。

とはいえ、汚泥の中からすくい上げるようにして見てみたい何かを持っている映画もあることはある。深作欣二監督の「仁義なき戦い」は日本映画のベスト100選には必ず入ってくる名作であり、やくざの世界はもはや仁義などと言うものはなにもない暴力的闘争の世界であることを見せつけたという意味では価値のあるものだが、見た後には心のなかに荒涼たる世界が広がる。そういう意味ではこの「孤狼の血」も同じようなものだが、鈴木亮平が演じるところの想像を絶する悪の体現者である上林の過去が描かれている点は、見る者にいくらかの心の逃げ場を用意したと言ってよいだろう。本来否定すべき暴力映画に、このようなテイストを付け加えることは見ていただく観客への最低限の仁義(笑)なのかもしれない。

繰り返しになるが内容は暴力の連続である。象徴的な場面は上林が、世話になったかたせ梨乃演じるところの姐さんの言うことを聴かず、いとも簡単に拳銃をぶっ放して殺すところ。いきなりで、観客も度肝を抜かれる。私は鈴木亮平の演技が圧倒的な迫力を見せており、群を抜いていたと思っている。松坂桃李は間違いなく上手いのだが、先入観かもしれないが、「新聞記者」の生真面目な役柄がこの刑事の役にも少し出てしまっているような気がした。他でいいと思ったのは、中村獅童の新聞記者役と中村虹郎の在日韓国人青年の役だった。

最後に、中村梅雀の役は結果的に得体の知れぬ役でしたね。公安課の人物と言う設定でしたが、「共産党に食わせてもらってるようなものだ。」というセリフが耳に残りました。説明しておくと、共産党は破壊活動防止法の調査対象団体であり、公安がマークしています。実際に破壊活動などはしておらず、したがってただただ調査をしているだけなので、あのようなセリフが出てくるのだと思われます。

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ハルヒマン