「狼に憧れた者」孤狼の血 LEVEL2 よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
狼に憧れた者
まず松坂桃李さんと鈴木亮平さんの演技がすごい。
まさしくこの2人の演技合戦である。
この2人の演技でこの映画は傑作になっているといっても過言ではない。
まず日岡の造形。
大上の跡を継ぎ暴力団と交渉して絶妙な塩梅で治安を守っていた。
このことから日岡もまた狼になったのかと思っていたが、はじまった後から随所に前作の優しい日岡の面影も滲ませていて完全な狼とはなっていない感じが出ていて見事。
これは監督の演出、そして脚本、なにより松坂さんの演技の賜物だと思う。
さらに鈴木亮平さん演じる上林。
出所した後の不気味さからそれが明らかになる神原さん殺し。
ストーリーが進むにつれて加速度的に暴走していくのだが、クライマックスのカチコミの前の頃には自分でも止められない程の暴走具合になっているのがよくわかる好演。
正直途中まではこの2人の演技合戦だと思っていた。
しかし中盤第三の伏兵が現れる。
中村梅雀さんである。
それまでの好々爺な演技にすっかり騙されてしまった。
この梅雀さんがこの映画のMVPかもしれない。
脚本も上手かった。
いかにも怪しげな新聞記者を出して見てる人を騙す手腕は見事。
ここまで見事だったので全てが明らかになった後この梅雀さんと日岡が直接対峙するシーンも見てみたかったと思った。
ラストシーンも素晴らしかった。
もうすでに絶滅してしまった狼を探し求めて森の中を彷徨い歩く日岡。
誰よりも狼に憧れていた日岡の生き様を表していて素晴らしいと思った。