「プロレス風味なヤクザ映画」孤狼の血 LEVEL2 優一さんの映画レビュー(感想・評価)
プロレス風味なヤクザ映画
ヤクザを美化している。これに尽きる。
無敵なヤクザを豪快に描くほど、他の登場人物が間抜けに見えて、
そのギャップが現実離れしていて、やっていられない。
アメコミ作品やジャニーズ系主人公の青春物なら
こんな突拍子もない出来事が連続して起こっても許せるが、
一応はヤクザ・極道の超王道作品。
だからこそ、粗がいくつも出てきて、
そこが気になって仕方がない。
最後の狼を探すシーンなんて
松坂桃李が鈴木亮平からシャブを裏で分けってもらっていて
ラリッているから見える幻想
というぐらいの無意味なシーンで
それこそ必要ない。
要はハチャメチャな作品だけど、
最後に幻想シーンを入れて
あれもこれも全部無しよと、
まるで白旗を上げているようだ。
クライマックスとなる松坂と鈴木の対決は
まるでプロレスのチェーンデスマッチと場外乱闘に
血糊をたっぷり盛ったコテコテで…
監督や作者はここで女性ファンの悲鳴が聞こえる、
男性ファンは大喝采を送ると思ったのならそれは相当
舐めている。
前作は悪徳刑事を美化して、
今作は気狂いヤクザを美化し
次作は一体どうするのだろう?
個人的には新聞記者の中村獅童が
薬中の歌舞伎役者となって
腐った広島県警とヤクザ組織を
バッタバッタと成敗していくのが
候補だと思っている。
余談として、
日本のアニメ映画は外国でも多少人気があり
度々、ニュースなどで報道されるが、
一方で邦画が人気と伝えられるケースは本当に少なく、
中でもヤクザなどクライム作品が話題になるのはまずない。
それは外国人の方がフィルターなしに冷静に判断をして、
妄信でカルト的なヤクザファンか松坂桃李ファンぐらいしか
絶賛しないだろう。
虎狼の血はオンリージャパンとして、
極東の島国だけで語られる、
それは小さな小さなスケールの
空論だけで理詰めにしたような物語で終わってしまった。