「秀作。観て損はない。但し、残虐場面多し。」孤狼の血 LEVEL2 いなかひとさんの映画レビュー(感想・評価)
秀作。観て損はない。但し、残虐場面多し。
基本、私はこの手の映画はめったに観ない。
殺人、大量流血、残虐場面が生理的受け付けないからだ。私が映画鑑賞の目安とする日経新聞金曜日夕刊の映画評で、ある学者が今年有数の映画と評価しているので鑑賞する気になった。
R15指定でそれなりに覚悟はしていたか、案の上スクリーンから目を背けたり、薄目にする場面が多々ある。嫌いな人は観ない方がいい。但し、観て損はなく、最後まで緊張感を持って運ばせてくれます。
主演の二人、松坂桃李と鈴木亮平は好演で褒めてあげたい。松坂は強い面と弱い面と演じて人間らしさを感じます。惜しむらくは、体格がちょっと細い。鈴木と対峙すると目劣りがする。鈴木はその体格を活かして怪物を好演しています。但し、脚本、監督に問題ありです。何故、こんな殺人鬼が生まれたか。そこが詳しく描かれていない。在日韓国人で父親から虐待を受けていただけでは、こんな人物は生まれない。説得力がないから只の殺人鬼で実在感がない。
その点、黒澤明監督は優れていました。だから、鈴木亮平が可哀想です。監督、脚本家の責任です。
細かい欠点がいくつかあります。まず、看守の妹が殺人鬼によって目を潰され殺されます。ところがあとで、殺人鬼によって犯され体内に性液があったと報じられます。すると、犯され、暴行を受け目をつぶされ殺される順序になります。
また、殺人鬼は刑務所でリンチに再三あっています。すると、歯の2、3本欠けていなければなりません。殺人鬼がシャブを打つのもおかしい。ヤクザがミイラ取りになってしまう。それと殺人鬼は、子分に警察のスパイがいると疑う。それほど頭の切れる人物なら、それらしきシーンを入れなければ説得力がない。その他にもありますが、全部監督の責任です。だから、星4つです。途中から県警上部が絡んでいると読んだら、その通りでした。ここも、ありきたりで点を一つ上げられない理由です。もし、殺人鬼或いは警察のスパイが、日本人の被差別部落出身者にしたら、どうでしょう。娯楽映画だから、無理か。良作には違いありません。