「もう狼はいなくなったのか?」孤狼の血 LEVEL2 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
もう狼はいなくなったのか?
う〜ん…濃いのに薄い!パワーアップの意味が違う!! 外堀ばかり派手に埋めて、深みに欠ける
松坂桃李(大好き!) vs 鈴木亮平 = 演技派2人の対決を期待していて、実際2人はすごく良かったけど、作品としては目ン玉飛び出るほどは面白くなかった。確かに金やら何やらかかっている数字的物量は増えているのかもしれないけど、これをあの傑作な前作よりパワーアップというのは何か釈然としないような消化不良、不完全燃焼。無闇矢鱈にエグさとか過激な方に振ればいいというわけじゃない。上澄みだけ掬ってはより過激にって派手に派手に飾り立てても本質は薄いままの焼き直しに過ぎない。インモラルな部分なんかも、金かけた日本の大作がすぐセックス&ドラッグみたいな方に行くという、安易で一番辟易とするやつ(ex. つまらない『今際の国のアリス』『全裸監督』)。いい加減不愉快。
逆に言えば上述したメイン2人(と可哀想チンタ)以外、記憶に残らない。名前まるで覚えられない。怪演光る鈴木亮平演じる大林が出てくるとそのシーンの緊張感がホラー映画ばりにグッと上がる存在感とひたすら胸糞な横暴さはメジャーにおいて攻めた表現で、分かりやすく一見さんにもインパクト大ではあったかもしれないけど、彼の過去とか掘り下げられて見る人どうすればいいのか?他の吉田鋼太郎、斎藤工、早乙女太一、この辺全員記号みたいでキャラ薄い。都合よく動かされて使われてモブですか。吉田鋼太郎はユーモア担当なのかもしれないけど、まるで笑えなかったし、なんなら演技下手なのかともなった。早乙女太一辺りのキャラクターとか、前作の中で際立っていた中村倫也くらい狂犬になってもおかしくないだろうに、全くそうはならなかった。映画史上屈指の報われない指詰めも見られますよ(?)。
割とタルくクドい。終盤のアクションはそうした今までの鬱憤や胸糞不愉快指数を晴らすように、予算の限られた日本映画の中ですごいなと思いつつ、この作品シリーズに『仁義なき戦い』など実録路線を重ねる者としてはこの作品に求めているのそういうのじゃないという気もした。偉大な原作シリーズのオリジナルという点で『デスノート Light up the New World』とかいうメチャつまらない黒歴史事故案件作品が頭をよぎったけど、あっちよりは全然見ていられたのは確か。エンドロールで前と同じようにキャラクターの背景絵があって、やっとあのテーマ曲が流れても、やはり前作ほどは燃えなかったな。