「怖すぎることなく、気軽に楽しめる」ズーム 見えない参加者 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
怖すぎることなく、気軽に楽しめる
コロナによる外出制限の中、「最小規模の映画」がいくつも生まれた。どれも似たり寄ったりだとする意見もあるだろうし、アイディア先行で「やったもん勝ち」なところもあるとは思うが、この特殊な状況下と、最新のオンライン・ツールと、古来のホラー手法とを掛け合わせ、70分弱の長編にまとめあげたところは評価したい。画面上の男女6人の身に「パラノーマル」を思わせる展開が次々と起こる単純な内容だが、全編がデバイス画面で完結している点や、ホラー見本市のような、お手軽かつ効果的な演出のつぶて、さらには分断された領域を越境して親友を助けに向かう場面などに「おっ」と思わされた。この手の作品はアイディアが豊富にあっても、それらを一つにまとめる折に平坦になりがち。その点、なんとか構成上の緩急を生み出そうとする努力の後が見て取れる。でもいちばん怖いのは、画面がフリーズしたり、参加者が急に落ちることだよな、とつくづく感じた。
コメントする