劇場公開日 2021年1月15日

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「POV視点に新たな可能性を切り拓いた、粗っぽいのに繊細な演出が光る極めて現代的な痛快ホラー」ズーム 見えない参加者 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0POV視点に新たな可能性を切り拓いた、粗っぽいのに繊細な演出が光る極めて現代的な痛快ホラー

2021年1月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

舞台はロックダウン中のロンドン。ヘイリーは霊媒師を招いてZoomを使ったオンライン交霊会を企画、ジェマ他5人の友人とともにかなり軽いノリで始めるが、霊に対して敬意を忘れるなという霊媒師の警告にもかかわらずジェマがシレッとシャレをブッ込んでしまったことから参加者の部屋で少しずつ異変が起こり始める。

『パラノーマル・アクティビティ』、『クロニクル』、『REC レック』といった作品群ですっかりメジャーになった感のある神の視点を廃したPOV方式の映画は『search サーチ』で来るところまで来たと思っていましたが、本作はさらにもう一歩踏み込んでエンドロールを含む全てをZoomの画面だけで展開。新型コロナ禍のアイディアとしてはある意味誰でも思いつくもので似たようなテレビドラマもありましたが、本作は突然回線が切れたり画面がフリーズしたりといったZoomあるあるも演出に取り込むだけでなく、顔認識やフィルター加工、動画背景といったZoomのアクセサリ機能も恐怖を煽る小道具として巧みに活用していて、そのバラエティの豊かさに思わずニンマリしてしまいます。友人間の妬みや嫉みといった隠し味も効いていて、見た目の粗っぽさの裏側にかなりきめ細かい計算が垣間見えますし、恐怖に慄く顔が顔加工フィルタで変顔になるといったギャグに英国ならではのセンスがキラリと光ります。

ホラー慣れしてる人にはかなりヌルいクライマックスですが、この作品が示すのは今後のホラー映画の更なる可能性。いくらでも怖い演出を盛り込める余地を残しているので今後出てくる作品はもっと凄惨なネタをブチ込んでくることでしょう、楽しみです。

よね