「前前前世から僕は きみを探し始めたよ(絶望)。ホラー映画界の名門が贈るトンデモコメディ。」ザ・スイッチ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
前前前世から僕は きみを探し始めたよ(絶望)。ホラー映画界の名門が贈るトンデモコメディ。
殺人鬼と身体が入れ替わってしまった女子高生のミリーが、元の身体を取り戻す為に奮闘するスプラッター・コメディ。
監督は『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ(脚本)や『ハッピー・デス・デイ』のクリストファー・ランドン。
殺人鬼と身体が入れ替わってしまう女子高生、ミリーを演じるのは『レディ・バード』『名探偵ピカチュウ』のキャスリン・ニュートン。
今や映画ファンでその名を知らぬ者はいない、ジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションの作品。
ホラー映画を得意とする制作プロダクションのため、本作も本格的なホラー映画かと思っていたのだが、いざ蓋を開けてみれば、トンデモおバカスプラッターホラー風コメディ映画だった!🤣
原題は『Freaky』。「奇妙な〜」「異常な〜」という直球なタイトルだが、これはジョディ・フォスター主演のテレビ映画『Freaky Friday』(親子の体が入れ替わるコメディらしい。観たことはない💦)のパロディになっている。
『Freaky Friday』…。おわかりいただけただろうか。
このタイトルを『FRIDAY THE 13TH』、皆さんご存知のホラー映画『13日の金曜日』に引っ掛け、ダブルのパロディとして作り上げられたのが本作なのです!
見る人が見れば、タイトルだけでもパロディ映画だとわかる本作。映画の中身もタイトル以上にパロディ満載。
始まりからすでに「11日の水曜日」ですからね。もうアホかと!😁
とにかく殺人鬼のブッチャーがノリノリで殺人を繰り返す。そこに理由などない。もはや舞台装置の如くただただ手当たり次第にぶっ殺していくその姿勢は、何にでも理由を求めたがる昨今の風潮を嘲笑うかのようで爽快感すらある。
しかも、死んでいくのがこれでもかという程嫌な奴らばっか。そのため惨殺が鑑賞のストレスに全くならない。
はっきりいって、ミリーの親友とか家族とか、彼女の近親者は絶対死なないだろうなという安心感が映画に漂っている。
これはホラー映画としてはダメなんだろうけど、本作は完璧にコメディ…というかコントなのでこんなユルい感じでも全然OK🙆♂️
スプラッター映画としての面白さだけではなく、入れ替わり映画としての面白さもばっちり👍
特にミリー(オッさん)を演じたヴィンス・ヴォーンの演技は絶妙!こんなん笑うわ🤣
変装のためにゴムマスクを被ったり、かなりベタなお笑いの連続なんだけど、それが面白いのよね〜。
元は着の身着のままって感じだったブッチャーが、女の体になった途端に赤いレザーに身を包みばっちりお化粧をするという描写が1番可笑しかった!美少女に転生したら、オシャレの一つや二つやりたくなるよね〜✨
男と女の「ある・ない」シーンも勿論ある。絶対にお約束は外さないという鉄の意志がみえるようだ笑
しかし、ただただギャグ一辺倒ではなく、男女の身体能力の差異をしっかりと描くことでジェンダー映画としての趣きをそこはかとなく醸し出しており、どことなく知性を感じさせる瞬間もある。
無敵の殺人鬼が女子高生の体になった途端に、ひょろひょろのオッさんにボコられるというのは結構新鮮な描写だったなぁ。
最後の最後に雰囲気がガラッと変わり、まさか『サマー・オブ・84』みたいにクライマックスで本物のホラー映画になるのか!?とか思ったけど、そんなことはなかった。安心したのと同時にちょいと残念でもあった。
しかし、ブッチャーはあんだけ撃たれたのになんで大丈夫だったの?
「ブッチャー、殺されたんじゃ?」「残念だったなぁ、トリックだよ」みたいなことなのかしらん?
教養にも勉強にもならないけど、ぽりぽりポップコーンを齧りながら鑑賞する分には最高の映画じゃないですかね。
映画って本来こういうもんだよな、と思わせてくれる極上おバカエンタメ映画。
全く期待していなかっただけに、かなり嬉しい拾い物でした😊