劇場公開日 2021年4月9日

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「ストレス解消におすすめ」ザ・スイッチ 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ストレス解消におすすめ

2021年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 リアルである。心が入れ替わったからといって身体能力まで入れ替わる訳ではない。作品を観るまでそんな当たり前のことに思い至らず、女子高生が悪魔的な暴力でやりたい放題に周囲を蹂躙するのかと思っていた。
 よく考えると、そんな風におおっぴらに殺しまくったら、心の入れ替わりが元に戻っても普通の暮らしに戻ることは出来ない。元に戻らなくても、ブッチャーが女子高生のままで生きていくとしたら、殺人鬼として逮捕されてしまうのはまずい。意外に制限の多い中でのシーン作りに製作者の砕心が伝わってきた。
 それにしてもブッチャーを演じたビンス・ボーンの怪演は見事というほかない。2メートル近い巨体と人相の悪いおっさんの顔のまま女子高生を演じるのはさぞかし骨が折れただろうが、観ている方はとても楽しくて、巨体の上に巨根でもあることを暗示するトイレでの演技など、吹き出しそうになるシーンも多かった。
 やや多めのグロと少しのエロのバランスがよく、エンタテインメントとしてはとても楽しめる作品である。傑作「ハッピー・デス・デイ」の監督だけあって、本作品も期待に応える面白さだった。ストレス解消におすすめだ。

耶馬英彦