「体の強さよりもメンタルコントロール」スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
体の強さよりもメンタルコントロール
スタントウーマンというタイトルなだけあってもちろん女性の働く姿や、社会的弱者の立場の歴史、そして今の現状を中心として描かれている。
近年は過剰な表現が多い女性作品や逆に男性を卑下するような作品も時折目にするが、この作品はそういった見にくさはなく、見やすい作品である。
特に男性を過度に卑下する事なく、力やパフォーマンスで乗り越えたい、乗り越えられる時代はもうそこまで来ているといったスタントウーマン達の言葉は非常に心を震わさせられた。
この作品は女性ながらの視点の為それが新鮮味あって面白い裏話も多い。
男性俳優とは異なり女性俳優のスタントをする際とにかく衣装が薄く肌の露出が多い為、パットを始めとした衝撃器具を装具できにくい事がスタントウーマンの悩みだと。また女性俳優は華奢なスタイルの人が多い為なかに着込む事もできない。確かに言われてみればその通りだ。彼女らのスタントをすることは男性と比較すると大変な事がわかる。その為より体を強くする必要はあるだろう。
ただこの作品を見ていて思うのは体の強さが最重要なわけではない。やはり1番はメンタルコントロールだという事だ。
このメンタルコントロールは色んなコントロールの難しさが描かれている。
もちろん最初は恐怖をなくし勇気を持つ事である。恐怖があれば表現に弱さが出て作品に影響はでる。まずぞ恐怖をなくすコントロールが大切となる。
その次に恐怖を抱くコントロールだ。もちろん恐怖をなくすことは必要である。それはいざアクションシーンを演じるときに恐怖を恐れず勇気を抱いて演じる事が大切になるのだが、その前にリハーサルを行う際そしていざ演じる前にイメージする際には恐怖を抱く事は必要となる。その恐怖がないと危機管理能力、危機察知能力を低下させて悲惨な事故に繋がる可能性を高めてしまうという。
そして最後は想像力、集中力だ。イメージできない事は成功する可能性が低く、そして集中がかけている時ほど事故やトラブルに遭遇する可能性が高いと語られていた。
プライベート始め仕事以外の部分でも色んなトラブルに遭う事があれば、それ故にメンタルが不安定な事もあるだろう。それを仕事の時にはしっかり切り替えないと命の危険に繋がりかねない。この集中力こそが一番重要となるとも語られていた。
これらのメンタルコントロールは決してこの仕事だけではなく自分に置き換えて当て嵌めることができ、そして勇気づけられる言葉である。
少し理屈っぽいシーンだったりメンタルを語るシーンは多いがこういうのが大好きな自分にとっては非常に貴重な時間となった。
ドキュメンタル映画で、少数の人物にスポットを当ててるわけではないため、ドラマ性には欠ける作品ではあるが、世界の前線で働く人たちの言葉はやはり魅力てきである。
ただ面白いのはこんな偉大な人物達でも語る言葉の数々は身近に耳にする言葉が多い。
成功者ほど当たり前の事を当たり前にできる事が改めて実感させられる。
とても楽しい作品であった。