ミッドナイト・ファミリーのレビュー・感想・評価
全26件中、1~20件目を表示
闇救急車という驚くべき仕事
コンプライアンス重視の社会では、法やルールに背くことが絶対的にダメなことにされがちだ。その視点から見ると、この映画に描かれる一家のやっていることは悪いことになる。
本作は、人口900万人でイスタパラパなど非常に危険な犯罪多発地域もあるメキシコシティで、非合法の救急車ビジネスに従事する家族を捉えたドキュメンタリーだ。公営の救急車は45台しかないこの街では、この一家のような闇救急車がなくては人を助けることができない。非合法であるため警察の取り締まりをかいくぐりながら、さらに同業者とのカーチェイスで客の取り合いをしながら重症患者を日々助けている。
彼らは日々の生活費のためにこの仕事をやっていて、単なる聖人というわけではない。違法業者であるため客は支払いを拒否することもあり、生活は苦しい。それでも彼らのような存在がなければこの街でもっと多くの命が失われてしまう。世界の複雑さが見事に描かれた作品だ。
ドキュメンタリーの概念を刷新し期待値を引き上げる画期作
ドキュメンタリーなのにスリリングで劇的。本作を観た後では、アーカイブ映像や写真にナレーションをかぶせたり、関係者たちへのインタビューで構成したりといった定番のドキュメンタリー手法が古臭く退屈に感じられそうだ。テロップによる文字情報も必要最小限で、ライブ感覚あふれる映像で闇救急車を走らせるオチョア一家を追いかけ、その素顔と日常にぐいぐい迫る。
大学で映画を学び卒業後たまたま友人について行った先のメキシコシティでオチョア家に出会った米国人監督の強運も大したものだが、闇稼業でどうにかぎりぎりの暮らしをしている家族に信頼されて懐に入り込む人間的魅力もうかがわせる。メキシコの首都で公営の救急車が圧倒的に不足する状況をビジネスチャンスとする私設救急車の営為は、福祉国家と呼ばれる先進国に暮らす人の目には“必要悪”と映るかもしれないが、そんな安全地帯からの判断や批評が及ばない場所、善悪の彼岸にあるようにも思えてくる。
4階から転落した娘を搬送する際に助手席に同乗した顔面蒼白の母親を正面からとらえた映像は、監督が撮影後に使うのを断念しかけたが、結局彼女の了解をとりつけて本編に採用したという。あの母親がどんな思いで使用を許可したのか、考えるたびに胸が詰まる。
You Don't Have to Travel Far for a Wild Reality
This slice of life doc about a band of paramedics racing the streets of Mexico City for cash provokes as many questions about the filmmaking itself as it does for what's happening with Mexico's health care system. Thankfully the film doesn't tell you what to think. As a family drama set in the lower class, it's equally as inviting recent international favorites Parasite and Shoplifters.
❇️人を助け無許可の為、警察にも捕まり賄賂を取られ理不尽
ミッドナイトファミリー
🇲🇽メキシコの首都メキシコシティー
メキシコシティー人口900万。
政府の救急車は45台しかない現状。
この現状で一般の闇救急車が無許可で搬送など行なっている。そんな闇仕事の家族がこの映画の主人公。
闇の救急部隊の為、患者が犯罪系とかで必ずお金を払わない客もいた。応急処置は薬品の使用、人件費、ガソリン台、血痕の掃除など金をもらえない日はマイナスになる事も多い。
また警察にも捕まり、無許可同士の患者の奪い合い!この街狂ってる⁉︎
お金を払わない患者でも警察にも連絡できず!狂ってる!しかも実話!ドキュメンタリー!狂ってる‼︎
◉72D点。
❇️人を助けているのに無許可の為、警察にも捕まり賄賂を取られる理不尽さ‼️生活も救急車で実話ときたもんだ⁉️これは感情移入せざるおえなかった。どんよりそして切ない。😢
⭕️良かった点。
1️⃣存在感のある救急車🚑!
★彡側から見ても存在感ある救急車なのに無許可なのが虚しく見える事が最高の見所⁉︎
2️⃣その日暮らしの生活。
★彡存在感ある救急車なのに、その日1番安くてお腹の一杯になる物を頬張る生活してが切ない。
👨👨👦🦺⛑️🧳🌮🚑🚨🏥💸🆘
とてもよかった
メキシコの救急車はなんと無許可営業が多いとのことで、一家で救急活動をしている。警察からは賄賂を要求されるし、貧乏人はお金を払ってくれず散々だ。夜中なのに小5くらいの子どもを乗せていて、彼はスナックを食べている。メキシコで暮らすのはつらい。
【人口900万のメキシコシティには、市営救急車が45台しかない・・。そんな中、民間救急車で夜を突っ走り、患者が支払う搬送代で生計を立てるある家族の姿を描いたドキュメンタリー作品。】
ー 冒頭、”人口900万のメキシコシティには、市営救急車が45台しかない・・”。とテロップが流れる。そして、民間救急車で夜中のメキシコシティを突っ走るオチョア家の姿が描かれる。-
◆感想
・メキシコシティには、営利目的とした無認可の救急隊が暗躍している事は今作で初めて知った。
夜中のメキシコシティで、事件、事故があればどこからか情報を得て、猛スピードで同業者と競いあいながら現場に直行し、応急手当てをし、病院へ担ぎ込む。
・だが、そんなし烈な商売で日銭を稼ぐオチョア家は貧しい。そこに、腐敗した警察の取り締まりなどが入り、現実は厳しい。
<今作では、メキシコの医療事情が崩壊している事や、警察を含め賄賂が横行している事実を炙り出している。
だが、制作サイドのオチョア家を捉える視点は優しい。
必要悪である彼らの存在が、メキシコには必要だからである。
大変意義あるドキュメンタリー作品であると思う。>
それでも生きていく…
闇救急車の存在を初めて知る。人口に対して全く足りていない救急車台数。待てど暮らせど来ないから、民間の救急車が存在する。事故情報を知り、他の救急車と争ってでも猛スピードで現場に駆けつける。16歳の長男が運転する一家の闇救急車ドキュメンタリー映画。彼らの目的は人命救助だが、彼らの生活のためでもある。助けたのに患者側が金が払えないほど貧しかったり、払わなかったり。そうなると単なるタダ働きに終わる。金を取れたとしても、許可がないとして汚職警官にたかられる。許可を取るにも金がかかる。その日暮らしの生活で金が取れるのは運次第。メキシコ社会は国として崩壊している。深夜まで同乗し、学校に行きたがらない末っ子にはこうなるなと、口酸っぱく言う。このスパイラルから抜け出す術はないのか。。それでも生きなければならず、今日も出動しているのだろう。日本に生まれて良かったと心から思う
メキシコのリアル
カメラの画角が、運転時や平常時はキャストへ寄り、事件が起きて救命活動に入ると望遠で抑えるという、ハリウッド映画みたいなカット割りなので、ドキュメンタリーであることを忘れる瞬間が何度もありました。
まるでドラマ。
一瞬やらせではないかと疑うが、被写体との信頼関係を構築したことにより、効果的な位置にカメラを複数置くことに成功しているのかもしれません。
その強烈な「画」によって描かれるのは、命を救おうと頑張っても、患者は料金が払えず踏み倒し、報酬がなかなか得られずに苦しむなオチョア家の葛藤する姿だ。
そしてオチョア家を苦しめる、メキシコ政府の無能さ、行政の停滞、警察の腐敗ぶりもひどい。
そもそもインフラが整っていない文化・経済の低さで、(日本の敗戦後すぐの時期に近い)途上国といってもいい混乱した社会であるのが最大の問題。
闇救急隊をやっている連中は、医療関連の教育や訓練も受けていないので、適切な医療行為もできないし、薬の注射等ができる資格もないわけで、むしろ感染症などのほうが心配になるレベルだ。
だが、それらのを解決せずそのままにしているのは「市民の収入の低さとモラルの低さ」と、行き過ぎた「自己責任論」なので、それこそ「自業自得」だなぁとも思いました。
遠い他国のことと他人事に思っていられません。
救急車の有料化案が出たり、医療費の負担率が上がったり。
さらには、行き過ぎた保健所・病院の人員削減による医療崩壊の危険性は、ついこの1~2年で新型コロナによって露呈したばかり。
緊縮財政に増税が続く、新自由主義政策によって日本が衰退を続けていけば、ここまでひどくはないが、近いところまで追いつめられてしまうんじゃないかという可能性に思い至り、恐ろしさも感じてしまいました。
驚く様な世界
「どんな仕事にも意味がある」という主人公17歳の少年の言葉が身に沁みる。。闇の救急車が必要とされるなんて大変な街があったものです。。日本に生まれて良かった。。私達が当然の様に享受している公共サービスや福祉について考えさせられました!
#madegood #midnight-family
ドキュメンタリー??ドキュメンタリーに準じたフィクションですよね。
メキシコの医療崩壊の実態。とは言っても、大昔からだろね。
民間の闇営業救急車、当然、設備もショボい、衛生もへったくれも無い。
コロナなんかより、血液媒介のエイズの方が遥かに怖い。
コロナなんか鼻くそみたいなもんだ。風邪と同じ。
床屋のバリカン等使い回し含め日本人が全員バカすぎる。
ラブストーリーは当然に・・だけれども、
エイズキャリアではなくて、エイズ発症も突然に・・だよ。
もちろん闇に葬られる。
あのさ有名なエイズキャリアの人は高価な発症抑える治療してるのだよ。
メキシコの荒い医療体制見て、エイズを想起した。
メキシコの風情が感じられる点は良い。時間も短いし。
ただコレ、純然たるドキュメンタリーでは無いね。絶対に、カメラワークといい録音といい・・
明らかにセリフをあてがわれてるし、音声と映像がクリアすぎ。できすぎ。
なんでドキュメンタリーなのに、運転席がクリアに映し出されるの???明らかに役者使ったフィクションですよね。
まあ、ただし、メキシコはこんな現状なのは事実なのだろう。
闇救急車と汚職警官、ほとんど日銭稼ぎで不安定。
子供がやたらとスナック菓子食っていて、金が入った時のご馳走はトルティーヤ。
なんかアメリカの医療体制、食生活がマトモに見えてきたから不思議。
でも。血液はコロナなんかより数億倍危険という認識は持った方が良いよ。
メキシコの現状は現代の日本人にとって「過去」か「未来」か?
本作を見る前、「私営救急車」と聞いてイメージしたのは、ボロボロのバンにベッドを設置したクルマだった。
でも、それは大間違いだと分かった。
外見もマトモだし、医療器具も揃っている。誰だって「正式な救急車」と勘違いしてしまう。
様々な色柄をした「救急車」が街中を走り回る。
その街中を走るシーンで「あれっ?」と思ったのが、キレイで新しいクルマが、新しい型の日本車が多く走っていた。
メキシコシティでは救急車は人口800万人に40台。
一台あたり20万人。
ちなみに人口200万人の名古屋市は63台。
一台あたり3万人程度。
新しい型の日本車が普及するぐらい「豊か」な国なのに、税金で救急車すら用意出来ないの?
社会インフラ、行政サービスってのは、「当たり前」の存在ではなく、危うい存在なのかも。
日本でも、救急車の不適切利用問題の中で、
(緊急でないとか、タクシー代わりに利用しようとするヒト)
「救急車の有料化」が話題になる。
不適切な利用を減らすために、有料化しよう、という意見。
「有料化」出来るなら「民営化」も出来るのでは?
(タクシー代わりを減らすなら、少なくともタクシーより高めの料金設定になるよね。)
あれ?俺たちはメキシコを目指してるのか?
ない袖は振れない、袖が有る奴は振れ!
人助けをする家族の物語
メキシコがこんな状態だなんて知らなかった。勉強になりましたね。
もっと救急車増やそうよ、それがだめなら民間委託の制度を緩くしてあげて。
大間の漁師じゃないけれど、大物(金持ち)に当たれば一攫千金の世界。
今日もメキシコシティでは命の漁師が無線を聞いている。
民間救急車の仕事を追体験できる上に社会の問題も考えらせられるいい作品です。
命のためとお金のため、非合法ながらもひた走る彼らの明日はどっちだ?
ほぼその日暮らしの彼らに明るい未来が待ってるのだろうか。
国や警察は金持ちにしか優しくない。貧乏人は貧乏人からお金は取れないし、板挟みの主人公一家を応援したい。
でも彼らはお金のためにやってる仕事であって、正義感とか義務感ってあるのかな、とも思ってしまう。
とっても大事な仕事ではあるけれど、彼らの様な民間非合法の救急車があり続けるから政府や病院は根本的対策をなあなあにしてしまっているのではと考えてしまう。
彼らは結局のところ、金持ちが事故を起こすまで待たねばならず、それ以外はハズレなわけでなんとも複雑な状況だ。
これから生活が厳しくなったら、事故現場をお金で判断してしまうかも知れないし、きつい仕事だと思う。人命のためには必要な仕事なんだけれど・・・
隙間ビジネスの限界を感じる兄が弟に勉強しろという姿は少しせつない。
彼らはたとえ救急車を取り上げられてもたくましく生きていけるとは思うけれど、法整備や準備が終わるまで頑張ってほしい。
自分にはまだ彼らを英雄と呼べない、呼ぶ必要もないのかもしれないが、彼らの行動がいつの日か報われることを願います。
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劇中セリフより
「医者になりたい奴はケガや病気を治したいんだろ」
それぞれがそれぞれの理由で仕事をしている。
しかし本当にやりたい事を仕事にしている人は少ない。
迫力満点のドキュメンタリー
人口900万人のメキシコシティには、公営の救急車は45台未満しかない。ライセンス制の民間救急車もあるようだが、設備や資格取得などハードルが高い。ミッドナイト・ファミリーが追うのは、無資格のヤミ救急車で生計を立てる一家である。
ドキュメンタリー映画というとナレーションが入ったり、カメラを持ったディレクターが質問したりといったイメージが強いが、本作ではそういった作り手側の気配がほとんどない。俳優でもない素人にカメラを向けているのに劇映画のように撮っているのはすごい。
救急車の仕事だけでなく、一家の生活感を描いているのが良い。メキシコの問題点とともに、そこに息づく人々の生活が味わえる。
なお、日本で人口900万人というと大阪府くらいの人口。大阪府がもつ救急車は250台程度。確かに差はあるが、埋められないほどだろうか?本当の問題点は他にあるのかもしれない。
一家を追うだけではなく、もう少し踏み込めばなおよかったのでは。
良心と背徳の狭間
公営の救急車が足りてないメキシコ・シティで闇救急を稼業にしている家族のドキュメンタリー。
家族、特に兄は学校に行かず救急車に乗りたがる弟に度々「学校に行け」と言う。
この仕事は必要なことだと語るが、あくまでも稼業としており生きるためにしていること。辛い選択かもしれないが賄賂を渡しあってどうにか生活をしており、救命のためだけに行動しているとは思えない映りもある。
彼等もきっと正当に働いて正当に稼いで生活をしたいのだろう。
だがそんな生活はできない、せめて人のためになるという良い訳ができて、悪人にはならないように。そんな狭間に苦しんでるように感じた。
何にせよ弟には同じ道を辿って欲しくないのだ。
人の生死は生活の糧でしかない
闇救急車の存在を初めて知った。
公共が足りないからそれが成り立っているのだが、そこにはただただ家族の生活があった。
夜の救急現場は取り合いで、マイクで喚き散らし猛スピードで現場に向かう。不謹慎かもしれないがまるでゲームの様に見える。
公共でないから、搬送したから支払いが約束される訳じゃないギャンブルの様なその日暮らし。
かといって深刻じゃなく、やはり日々の生活がそこにあるだけだった。
なんというか、自分たちの生活にも目の前の搬送する人々に対しても、過ぎ去る事を見るように軽い捉え方で日々が流れていく。
4階から飛び降りたんだよ、やばいよね。
若者を搬送した後に、世間話の様にガールフレンドと電話するシーン。
人の生死は生活の糧でしかない。
日本が平和である大切さを改めて実感
ある家族に密着したドキュメンタリー作品。
主人公のオチョア一家は民間事業として救急車を使用し救命活動を行なっている。彼らが拠点とするメキシコシティは900万人の人口を抱えながらも公共の救急車は50台にも満たないという。殆どが民間の救急車に頼りきってるのが現状だという。
ただしオチョア一家は訳あり一家である。国として民間の救急車の使用、救命活動は認められているもののオチョア一家はその資格やそれらに関わる免許等々を殆ど所有していないのだ。
その為警察に目をつけられ、足元を見られて金をゆすられてしまう。
ではなぜ資格を得ないのか。具体的な額はわからないがそれらを得るにもまとまったお金を要するようであり、それらを避ける事で今の無資格で稼業をする闇営業に生きるのであった。
ただ不思議なのがそこまでリスクを背負っても大きなメリットがある仕事のように思えない。
警察にはゆすられて収入の一部を奪われるのはもちろんの事、救命活動後に患者からお金を請求する訳だが支払いを拒まれ一銭も得られない事がこの作品では多く描かれていた。
生活も安定しておらず、水は止められ食事がまともに取れない日も普通にある。知人に借金をしている姿も映し出されていた。
なぜそこまでしてこの仕事に拘るのかは確固たる描写はなかったが、冒頭に長男が語っていたスリルというのがこの仕事を虜にさせるのか。
はたまたメキシコシティではこれ以上に金銭的に恵まれた仕事がなくやらざるを得ないのかも知れない。
ただし彼らがいなくなれば救命活動をできる数は圧倒的に減り市民たちが困るのも事実である。
かといって医療器具、薬まで使用し、そして緊急時は公道を支配する彼らの姿を見ていて無資格無免許である事は許していい問題ではない。
この辺りの解決方法は国がしっかり取り組む以外ほかならないだろう。
またこの作品を見ていて思ったのが彼らの仕事自体民間でやるには厳しさを感じざるを得ない。
オチョア一家のように個人事業として営んでるのが多く存在しているのか、それともある程度の大きさの会社として事業展開してる企業が多く存在しているのかはこの作品内では分からなかったが、少なくとも個人事業として競争させる事業ではない。
結局1人の患者を奪い合いとなり救急車でカーチェイス化しているシーンもいくつかあった。
あれでは二次三次被害を起こしかねないし、仮にも救急運転をしていた際に起きた事故の保険補償なども不透明でありより良い社会を目指すにはマイナスでしかないだろう。
結局彼らの存在があるから国も見て見ぬふりをして放置しているのが現状だというのが強く伝わる。
もちろん問題を放置し国民に投げっぱなしの政治は先進国でもそして日本でも行われている問題ではあるが、ここまで大きな問題を放置しているメキシコの現状を見ると改めて日本が平和である大切さを改めて実感させられる。
こういうドキュメンタリー作品は初めて知る出来る事が多くとても惹きつけられる。とても貴重な時間を過ごす事ができた。
呆れてばかりもいられない
メキシコシティの人なら、何が起きているのかつかめるのだろう。
しかし、説明がなさ過ぎて、自分にはよく理解できなかった。
何より、“裏稼業”であるために、映像にできなかったことがたくさんある感じで、余計に分からない。
警察無線を傍受していることは、観ていて気付かなかった。
公立病院は避けて、実入りの良い民間病院に運んでいることは、ほのめかされるのみである。
無免許営業なのだが、“客(=搬送された怪我人)”が金を払っている理由は不明である。相場も分からない。貧乏人からは取りっぱぐれる一方で、金持ちにはふっかけているようだ。
よって、“事実に基づく”「救急医療」のドキュメンタリーとしては、期待外れの内容だ。ともかく、観ていてよく分からない。
ただ、この作品の見どころは、そこにはない。
「私営救急隊の家族」についての、スリリングな“エンタメ”調のドキュメンタリーだと、割り切って観れば興味深い作品である。
それにしても、開いた口がふさがらない。
公道をサイレンを鳴らして、他の車を押しのけて突っ走る。
無免許で、堂々と医療行為までしているのだ。搬送中に怪我人が死んだら、どうする?
警察も、必要悪として野放しにしているだけではない。賄賂を取れるから、“目こぼし”している。
しかし、メキシコシティの医療行政の酷さに、呆れてばかりもいられない。
日本政府や東京都や日本医師会のコロナ対策など、外国からみれば、まさにこのレベルだろうから。
善悪では語れない世界がありました。
困ってしまった。ドキュメンタリー部門の2021年度、今のところBestが来てしまった。
まず、メキシコシティーの救急事情、病院事情、悪徳警察事情、交通事情などなど驚かされます。
そして、民間の違法救急車がいるから助かる命が沢山あると言う事実は、あまりに自分の日常と違い過ぎるから、ドキュメンタリーなのに何処かフィクションと思ってしまうほど。嘘だろ?っていいたくなります。
しかし、これは事実で現実。
この作品はメッセージが前面に出てきません。良くある関係者のインタビューとか、コメントだとか出てきません。うーむ、例えるなら、日本のテレビで良くある「大家族ドキュメント」に近いです。
違法救急車を生業として日銭を稼ぐオチョア家の日々を描いてるだけなのです。
しかし、オチョア家の日々を通してメキシコシティの現実がクッキリ見えて来るのです。それは、街の営みの中、人の生活の中にこの違法救急車が無くてはならないから、そこをポイントに置くからこそ見えるのでしょう。そこの見せ方、切り取り方、浮かび上がらせ方が秀逸です。
また、オチョア家の人々が人間臭く、個性豊かで、魅力的。エピソードが無くなりません(まさに大家族ドキュメントみたいに(笑))善行をしてると言う想いはなく、あくまで仕事として、生活するために行っていると言うスタンスが、妙にプロ根性を感じてしまうほど。
途中、メインの息子16歳が弟にいいます。
「勉強しないとこうなってしまうぞ」と。
多分、彼らは選択肢がなくこの稼業をやってるのでしょう。
しかし、仕事内容はプロです。だって命の現場なんですから。必死です。救わなくちゃ金にならないでしょうし、稼いでも悪徳ポリスに持っていかれちゃう。たくさん稼がなくちゃ。夜を徹して。
ですから、緊迫感半端ないです。彼らの相手は患者の命、金をもらえるか?の心配、警察との戦い。こりゃ、ヒリヒリです。
また、同業者とのカーチェイスのような1番到着競争のスリルたるや!!!
楽しんじゃいけないけど、すごい現実。
この監督さんすごいなー。このいい塩梅のバランスはどーやって作ったんだろ?
緩急おりまぜ、エンタメ感持ちつつ、社会を浮き上がらせる。
素晴らしい。素晴らしすぎる。このバランス。
複雑なバランスの取り方をしてるメキシコだからこそ作れたのかもしれません。
傑作!
これよかったよー。おすすめ
スリリングで手に汗握るシーンがたくさん。
監督さんは、「救急隊乗ってく?」って誘われたのがオチョア家との出会いだったらしい。そんなことある?笑 お国柄かな
あー、日本とは全然違う国だなって思い知らされるんだけど、ティーンエイジャーのお兄ちゃんの女の子とのやりとりとか、弟くんが食べ物のことしか考えてないとことか、随所で笑っちゃう。
いいドキュメンタリーだったな。
全26件中、1~20件目を表示