「【”人食いサメを食う、無表情な半魚人・・” 最後に笑うのは誰なのか? 二転三転四回転半する、欲望塗れの人々の大金争奪大合戦!】」藁にもすがる獣たち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人食いサメを食う、無表情な半魚人・・” 最後に笑うのは誰なのか? 二転三転四回転半する、欲望塗れの人々の大金争奪大合戦!】
■感想<Caution!以下、内容に触れています。>
1.冒頭、点で描かれていた人々が、一つの大金が入ったバッグを巡って、徐々に繋がりが明らかになって行く、章立ての、時系列でない作品構成の見事さ。
1)借金
・サウナで働く、母親スンジャ(ユン・ヨジョン:ご存じのとおり、韓国の大女優である。「それだけが、僕の世界」「チョンシルさんには福が多いね」「ミナリ」など、近年も大活躍である。)がやや認知症気味のジュンマン(ぺ・ソンウ)は、サウナのロッカーで大金が入ったバッグを見つけ・・。
だが、
”一生懸命家庭を支え、認知症の母から馬鹿にされながらも懸命に働く”
妻のヨンソン(チン・ギョン)にも、その事実を告げず・・。
2)カモ
・失踪した恋人の借金のため、韓国ヤクザから金を借りて苦境にいる出入国審査官テヨン(チョン・ウソン:このような情けない、チョン・ウソンは初めて観た・・・・。イケメン路線でなくても、行けるね!)
3)食物連鎖
・夫のDVに悩む、借金まみれの主婦ミラン。そして、ミランに惚れた中国からの不法滞在者ジンテの関係性・・。
ー ミランは一見、可哀そうな役だが、彼女も徐々に”獣”になって行く・・。
4)サメ
・謎の女、妖艶な美女、ヨンヒ(チョン・ドヨン:「君の誕生日」では、あんなに優しいお母さんだったのに・・。凄い女優さんであることを、再認識する。)
ー サメの刺繍を入れているサイコキラー・・。妖艶で、したたかで、怖いなあ・・。チェーンソーは痛いよ・・。ー
◆物語の全体像が徐々に見えて来て・・。実に面白い展開である。・・・・。
5)ラッキー・ストライク
・哀れな、チョン・ウソン・・。
<金に目がくらんだ、愚かしき人々が、運命に翻弄される姿を、コミカル要素を塗しながら、アイロニックに描いた作品。
神様は、楽をして金を手にしようとしない、真面目な善人が誰なのかをチャンと観ているのである・・。
驚くのは、今作がキム・ヨンフン監督の初長編作品であるという事。
初長編にも関わらず、日本人原作の犯罪小説を、ここまでの面白きクライム・サスペンスに”一部、設定を変えて”一級のエンタメ作品として、仕上げるのだなあ・・。
恐るべし、韓国映画。見事な作品である。>