岬のマヨイガのレビュー・感想・評価
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キワって何者?
心に傷を持つひよりはマヨイガとキワによって癒され成長していく。
ユイにとってはひよりの存在が自分自身をしっかりさせる基になっていく。
状況を丁寧に描いた分、ユイ、ひより、キワが家族としての信頼と繋がりを得ていく過程が薄く感じた。
そのためか予告で観た程「家族なんだからーっ」は本編では響かなかった。
狛犬さんが出てきてから、ストーリーがテンポアップする。後半が進むにつれ雑になっていく。
キワが何者なのか、魔物に対して町の人は笛と踊りで応戦せず、ユイとひよりだけに任せる違和感、あっさりやられる魔物。
エンドロールのその後のショットも中途半端。
しかしながら、全体的に白み掛かった柔らかい背景とキワの包容力が観るものを癒す終始あたたかい作品だった。
そこにはキワCVの大竹しのぶさんの圧倒的な存在感が作品の核となっているに他ならない。
やはり樹木希林さんの後継者はこの人以外には考えられないわ。
一方の芦田愛菜さん、俳優さん声優にありがちな素人感。声優には声優さんをあてて欲しい、と 今回も思ってしまった。
もっと声優さんにチャンスを!
【”東北地方には、古来から民を守る様々な魅力的な守り神がいる。”民俗ファンタジー”を軸にしながら、東日本大震災で被災し、未だに傷が癒えない人々を”ずっと優しくおうえん”する映画である。】
ー 今作で登場する、東北地方で古来から民を守る、様々な魅力的な守り神”ふしぎっと”の数々
・迷い家(マヨイガ)・・・『道に迷った人を手厚くもてなし、幸せにする不思議な家』
・河童
・田中のお地蔵様を始めとした、多くのお地蔵様
・狛犬
・座敷童
これらが、
愚かしきDVの父から逃げ出す途中で被災したユイ、
両親を事故で失い、更に被災した事で言葉を失ってしまったひより、
そして、血縁の無い二人を孫として迎え入れ、一緒にマヨイガで暮らし始めるキワお婆さん
を、守るのである。ー
◆感想
・今作が、彼の震災を風化させずに、未だに心の傷が癒えない人々への優しきメッセージを”マヨイガ”で暮らし始めるユイとひよりとキワお婆さんの姿を通じて、優しく応援している気持ちが伝わって来るところである・
・津波により、解き放たれてしまった”アガメ”達が、人々の希望(背中に咲く花で表現されている)を次々に食べて行き、ドンドン巨大化して行く姿。
ー 震災で、家を失い他県に越して行った人々の気持ちを
”アガメ”という妖の為・・、として描いている点が、哀しいが、絶妙に上手い。ー
・アガメの化身のユイの父が現れ、ユイを無理やり連れて行くシーン。
ー 漸く声が出たひよりがユイに必死にかけた言葉。沁みます‥。ー
・被災した、街の人達も皆、優しくて・・。
<王道の、”喪失と再生の物語”であるが、東北”民俗ファンタジー”を軸にしながら、人間性肯定の優しい視点で、被災した人々を”ずっとおうえん”する映画。
気性の激甚化により、近年、土石流、巨大化した台風などにより被災する方々が増えてしまっているが、今作は、そのような方々も日本全国の”ふしぎっと”達と”ずっとおうえん”する映画である。>
タイトルなし(ネタバレ)
始まってしばらく会話等せず被災した街を歩く3人からスタートしたのが非常に印象的です。震災や心のキズといった作品のテーマが重い為ふんわりとしたキャラクターデザインや音楽を緊迫した場面で無音にしたり暗い曲にせず少し明るい曲でまとめてあるのも緩衝材となっていて非常に見ている側に配慮されているなと感じました。気になったのはテーマや世界観に対して「これいる?」と感じてしまうようなアクションが盛り込まれていたことと若干の詰め込み感でしょうか。アクションに関して確認したら原作でもなされていた描写のようで仕方ないなと思う反面ユイの年齢を下げたりの改変を行っているようでもあるので直接的に手を下すような描写じゃない作り方も出来たのかなと考えてしまいます。詰め込み感も原作ありきの話にはありがちな事で非常に歯がゆい部分ですね、いざ自分が作り手に回ったとしてハートフルな描写はもちろん削りたくないですし少女2人の心のキズが開いてしまう描写もそれを乗り越える為に必要な描写。そうなってくるとやはりアクション部分をどうにかとは考えるものの、アクションもガッツリ削った結果尻すぼみのあっさり感が凄いというラストなので制作陣の方々は本当に努力されたのだとしみじみ思うところではあります。
総評として全体的な作りは非常に良いと思います。大枠のテーマにそって物語が作られていますし大きな破綻もしていない。原作のキャラクターの年齢を下げたりの改変ですべてがチグハグになった作品が多い中しっかりとそれに見合った形に言動を修正しているのも作品への理解を感じられます。ないと思いますが続編やスピンオフがうまれるのだとしたら家族としての日常、ふしぎっとが身近にいる暮らしを掘り下げた3人の話をみたいなと思った作品です。
血の繋がりよりも大切なのは「思いやり」それが説教臭くない!!
戦争や災害によって、家族を失ったり、問題を抱えている者同士が肩を寄せ合い、擬似貴族のように生活を共にするようになっていく映画やドラマというのは、数多くある中で、近年は特にそういった「人と人との繋がり」を見つめ直すような作品が増えてきている。
ハンガリーの映画『この世界に残されて』でも、ホロコーストから生き延びた者たちが心の隙間を埋め合おうとする様子が描かれていたし、『護られなかった者たちへ』や『そして、バトンを渡された』など、今後公開される作品の中でも描かれていた。
血の繋がりだけではなく、他人同士でも支え合うことはできて、それがいつしか「家族」になり得るという大きなサイクルを描くことは、逆に人と人との繋がりを断ち切りながらも、経済的や精神的には繋がりが必要という両極端の中にあるこのコロナ禍に生きる人々の目には、どう映るのだろうか。
今回は東日本大震災と東北や関東に伝わる「迷い家」がベースになっていることもあり、岩手県が舞台となっているものの、日本の神話や妖怪、宗教的な象徴というものは共通して、ルーツを紐解いていくと、何か大きな問題に立ち向かうための心のより所だったり、教訓によるものが作りだしたものだったりする。
それらが「マヨイガ」を通して入り混じる独特の世界観は、「日本」という国が築いてきた伝統と歴史のメタファーのようにも感じられるのと同時に、人々の悲しみや絶望感が大きな巨悪となって立ちふさがるといった点でも、岩手の限定的なフィールドではなくて、「日本」そのものが舞台であるようにも感じた。
今回、脚本を務めたのは、多くのテレビや映画のアニメを手掛けた吉田玲子ではあるが、宗教色の強いものから、一般向けの作品まで幅広く手掛けていることもあって、今回も少し間違うと宗教色が強かったり、説教臭くなるところが、絶妙なバランスのファンタジーに仕上っている。
線の数が少ないシンプルなキャラクターの作画に関しては、好き嫌いが分かれるかもしれないが、やわらかいタッチの分、背景や自然、特に「緑」の使い方がよく映えているようでもある。
映像美が素晴らしい!内容も不思議ワクワク!
背景の映像美がとにかく素晴らしい!写真以上に美しい背景。内容もマヨイガに住んだ血のつながらない家族が体験する不思議世界。ユイとひよりはいろんな事情で心に痛みを持ちながら、それを癒すマヨイガとおばあちゃんの存在。自分の存在価値を認めてくれる人と居ていいよっていう場所があるってとても大切。また日本の伝統芸能や日本の伝説を上手く取り入れていてワクワクできる展開もあり、絵の素晴らしさだけでなく音楽も良く声優も良く全て一流だと感じられる魅力的な映画でした。ただちょっと文字が見にくい箇所もあるので席は後方でない方がいいかもしれません。私もマヨイガに住みたい!
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