岬のマヨイガのレビュー・感想・評価
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タメにタメてあの声では・・・
震災に見舞われた海辺の街を舞台に、行き場を失った二人の少女と、その二人に寄りそう不思議な老婆を描く物語。
ファンタジー要素を含んだヒューマンドラマですね。
不幸な生い立ちの少女。二人の心に根ざす「何で私だけ」という負の感情が、老婆と触れ合うことで少しづつほぐれていく様子がとても丁寧に、暖かく描かれています。
そして、その物語に「ふしぎっと」達が上手にアクセントを加えて、物語を盛り上げていきます。
動きはそれ程でもありませんが、キャラは丁寧。特に美術背景は世界観に即してとても良く描かれていて好印象です。
ラストのバトルシーンは少し付け足し感があったのが残念。本来は、その前のシーンをクライマックスにしても良かったように思います。父親(?)に連れ去られそうになるユイを、必死に声を出して守ろうとするひより・・・とても感動的なシチュでした。
ただ、とても残念だったのはこのシーンのひよりの声。
キワさんを演じた大竹しのぶさんも、ユイを演じた芦田愛菜さんも、流石の演技力。本職の声優さんがいないこともあり、違和感を感じることはありませんでした。
しかし、一番大切なシーンで初めて聞くひよりの声は、折角のクライマックスを台無しにしてしまいました。棒読みですし、何より小学2年生に感じられません。一番大切なシーンで、一番大切な声がそれですから、それまでの積み重ねが台無しです。
別に女優さんを使うな・・・とは言いませんが、しっかりとオーディションをして、出来る女優さんを選んで欲しいと思います。
私的評価は4.5・・・のつもりでしたが、4に下げさせて頂きました。
ふしぎっとと私たちのマヨイガ
好きな作品だわ、これ。だって、
東北地方が舞台。私は福島で作品は岩手だが、東北訛りが心地よい。
声の出演に芦田愛菜やサンドウィッチマン。アノ番組かよ!今日は何の“博士ちゃん”!? 大竹しのぶも包容力ある声。
彼らが命を吹き込んだ登場人物たちが織り成す人間模様。人と人の繋がり、悲しみからの再生。支えになってくれる存在、言葉…。何処までも優しく、温かく。
私たちの居場所、家。私たちは“家族”。
美味しそうな料理。これら本当に美味しそう!
心底憧れる穏やかでのんびりとした自然に囲まれた暮らし。美しい映像、音楽。
交流は“人間たち”とだけじゃない。日本の何処かに居ると思わせてくれる。“少し・不思議”。
基の民話や伝承が日本人の心を堪らなくそそる。
まるで『おおかみこどもの雨と雪』×『となりのトトロ』×『まんが日本昔ばなし』のような純日本ファンタジー。
開幕シーン。てっきり勘違いした。
一人の老女と二人の少女。
両親を失い、岩手の田舎の祖母の元へ引き取られ…と、誰だって思うが、実はこれが違う。複雑な訳あり。
17歳のユイ。ある事情から家を出、この地にやって来た。
8歳のひより。両親を事故で亡くし、親戚も震災で亡くす。そのショックで声を出せなくなり…。
震災直後の岩手が舞台。地震や津波の直線的な描写は無いが、生々しい被災跡が残る。
避難所で出会う。身元を聞かれ困っていた時助けてくれたのが、キワさん。
初めて会う自分の孫たち、と。
行き場も身寄りも無いユイとひより。そんなひょんな事からキワさんに引き取られる事に。
キワさんは二人を連れて、海が一望出来る崖の上の古民家へ。
キワさんはここに一人で暮らしているのだが、この古民家、ただの古民家じゃない。
“マヨイガ”。来た者をもてなす不思議な家。岩手県に伝わる伝説。
確かにこの家で暮らすようになってから、不思議な事が。破いた障子が元通り。ちょうどいい湯加減でお風呂が焚かれる。水が飲みたいと言ったら、コップに水が注がれる。氷付きで。お布団も敷いてくれる。そして時々、自分たちに応えるかのような轟音…いや、“声”。
『ハウルの動く城』『ミラベルと魔法だらけの家』など“意思を持った家”はファンタジーの要素の一つだが、やはり私は日本人。一番住んでみたい!
見た目はボロだけど、内装は意外やお洒落で居心地良さそう。
始まった3人の暮らし。
ひよりは悲しく辛い事をこの歳で立て続けに体験してきた。
あるシーンでの本音が胸を打つ。“どうして私だけ? 何も悪い事してないのに…”。
本来ならもっと塞ぎ込んで悲観に暮れてもいい孤独な少々。が、決してそんな顔はせず、健気で純真。元々明るい子なのだ。
複雑なのは寧ろ、ユイの方。
周囲に心を閉ざし、人見知り気味。冷めた目、口調、態度…。時々、皮肉や毒舌も。(ヤバ、マジ…など現代っこで、ちょっとひねくれてもいるけど、許せちゃうのは愛菜ちゃんボイスだから!)
“街の方”に住んでいたユイ。母親が家を出、父親と二人暮らしであったが、その父は威圧的。
“お前の為なんだ”。この言葉、使いようによっては重圧にもなる。
それがどんなに難しい年頃の少女を苦しめるか。母親が出て行った事も、父親との不和も…。
そこから逃げてきた。
そして彼女もまた。“どうして私だけ…?”。
そんは二人に手を差し伸べたキワさん。
作ってくれる美味しそうな料理、優しさに癒される。一つ一つの言葉が諭してくれる。支えてくれる。
“すんぺすんな”。
3人に血の繋がりは無い。赤の他人。
しかし、もはや映画の一つのジャンルとでも言うべき“擬似家族”。私の大好きな『男はつらいよ』もそう。
血の繋がりは欠けがえない。でも時に、血の繋がらない家族の絆は血の繋がる家族以上。
“家族”の姿、在り方を問い掛けてくれる。
前半はこの何気ない暮らし、日常がのんびりゆったりと流れていく。
退屈と感じる人もいるだろうが、私にとってはどれもドストライク!
はぁ、つくづくいいなぁ…。
そして、魅力的な要素がもう一つ。
ある日、お客さんがやって来るという。
さて、どんな人…?
…“人”ではなかった。
何と、河童!
しかもキワさんは、その河童たちと親しげ。
ここは妖怪の住む地…? キワさんも何者…?
足を踏み入れてはならない所に足を踏み入れ、見てはならないものを見てしまったような…。
すんぺすんな。
優しい河童たち。愉快で、勿論きゅうりが好物。ユイが作ったカルボナーラもうまい!うまい!と食べてくれる。暗い事情を抱えるキワさんの“孫たち”を気に掛けてくれる。
彼らの性格はもう、気のいいおじさんたち。
河童だけじゃない。
番犬のような狛犬。
何処からともなく飛んで来たお地蔵様。
3人は遠野へ。キワさんは遠野出身。(ちなみに本作の原作小説は岩手県遠野地方に伝わる民間伝承集“遠野物語”を基にしている)
山奥に別の“マヨイガ”が。まるでお屋敷や旅館のような豪華絢爛さ。料理も大盤振る舞い。一泊してぇ…。マヨイガの“主”なのだろう。
そこに居たのは、各東北地方から集まった妖怪たち。河童は勿論、天狗、雪女、座敷わらし…。
彼らは“ふしぎっと”と呼ばれる世界の妖怪たち。
キワさんは“ふしぎっと”と通じる人間の一人。
この世界に妖怪は居る。でも、むやみに存在を漏らしてはならない。
大抵の人はそう。得体の知れない存在、未知の世界を信じない。敵視する。
きっと昔は、キワさんの他にももっとたくさん“ふしぎっと”と通じる人たちが居たに違いない。
いつしか人は、彼らの存在や世界を信じなくなって、忘れて…。
怖がる事など微塵も無い。すんぺすんな。
彼らやその世界を知る“家族”になりたい…?
うん。なりたい。
“ふしぎっと”の妖怪たちは今、人間たちを心配している。
と言うのも、最近この地で奇怪な事件が起きている。
住人が突然この地を去ったり、死んだ大切な人の姿を見たり…。
思い当たる節は、キワさんが話してくれた民話の中にあった。
人の悲しみ、苦しみ、負の感情を食らう化け物。
蛇のような姿で、大きな赤い目を持つ事から、“アガメ”。
時に人から大切な存在を奪い、その幻すら見せる。
ユイもひよりもある時、このアガメを目撃し、危うく襲われる所だった。
民話上もしくは遠い昔の化け物が、何故今になって現れた…?
原因は、震災。震災によって、人々が抱え切れないくらいの悲しみ、苦しみ、辛さを背負い、それを食らいにまた姿を現したのだ。
これに対処する事になった妖怪たち、キワさん。
前半のほのぼのとした作風から一転、ラストは暗雲立ち込めるサスペンスフルな展開に。
アガメは人の負の感情を食らって食らって食らって、怪獣のようなデカさに。
キワさんはたった一人で立ち向かう。
…って言うか、おばあさん一人で大丈夫…? 案の定、アガメの力は予想を遥かに超え、全く歯が立たない。
遠野のマヨイガに出向いたのは、ユイとひよりを守る為。この危険に巻き込めない。
そんなのイヤだよ! だって、私たちは家族。また3人で岬のマヨイガで暮らす。
ユイとひよりはキワさんを助けに向かう…。
このラストの急展開、人によっては蛇足感や違和感を感じるかもしれないが、私は必要性あると見た。
ユイとひよりにとっての“アガメ”は、各々が乗り越えなければならないもの。
助けに向かっていた時、ユイは父親と出くわす。
強引に連れ戻されそうになる。
この時のユイの台詞…
ここに居たい。ここで暮らす。ここが私の家。
これは東日本大震災被災者の叫びの代弁。
震災によって住む家を失った。大切な人も亡くした。何もかも私たちの周りから消えた…。
だけどそれでも、私たちはこの東北の地で生きていく。暮らしていく。私たちの“マヨイガ”なのだから。
連れ去られるユイ。その時、遂にひよりが…。
“声”は時に人を傷付ける凶器にもなるが、やはり私は信じたい。“声”こそ人の心や思いを伝えるこれ以上ない力。
単に化け物を倒す話じゃない。
悲しみ、苦しみ、辛さを断ち切り、新しい一歩を踏み出す。
まるで鎮まるように消えていったアガメ。
アガメ=つまり、人の心にはそれぞれ抱えるものがある。
“再起”って言葉や口では簡単に言えるけど、実際は難しい。
少しずつでいい。地に足付けて、気持ちを持って、少しずつ。
“擬似家族”と“和製ファンタジー”の児童文学を書き続ける柏葉幸子。
川面真也監督の温もり豊かで丁寧な演出。
名脚本家、吉田玲子の手腕。
彼らの賜物。
コロナ、軍事侵攻、先日再び東北地方を襲った地震…。
今世界は、世の中は、気が滅入り、イヤな事ばかり。
単純に解決出来ず、どうしようもない問題だらけ…。
ただでさえ日々の暮らしも楽ではない。
そんな時だからこそ、この作品に癒された。包み込んでくれた。
心優しく、ほっこりするほど。
悲しくなったり、苦しくなったり、辛くなったり、迷うような事があったら、いつでもおいで。すんぺすんな。
ふしぎっと、マヨイガ、妖怪たち、人々がもてなしてくれる。
ハートフルな迷い家
迷い家と言えば、人を食らうような怖い家と思っていましたが、ハートフルな家で安心しました。
それでも、おばあちゃんは妖怪だろうと思っていましたが、違いましたね。
東日本大地震から立ち直ろうとしている人達の生活と、迷い家を上手く組み合わせた作品になっていました。
そういえば、サンドイッチマンの二人が、河童役で出演していたみたいですね。
気付きませんでした。
民俗学ではなかった。
マヨイガということで、民俗文化ものなのかと鑑賞。
あくまで「民話」ベースで良くも悪くも小難しい話ではなかったです。
妖怪やお地蔵様たちがキワのことを「おばあちゃん」と呼ぶ違和感(名前で呼べばいいのに)、キワの正体、ユイの扱い(家出中)、いろいろ雑というか、乱暴でした。
後半は「妖怪大戦争」で、頼みの破魔の刀も折れ、万策尽きたかという中、なんとか解決。
ウルッとくるシーンもありますが、ちょっと思ってた話と違いました。
映画館で見て良かった
家族が見るのについてって一緒に見たんだけど、結構よかった。
導入から穏やかなローテンポで、ジャパニーズアニメーションらしく、丁寧に景色とか生活描写とかひろって描いていて、じんわりと作品に集中できた。
ストーリーや展開はありがちだし、なんだったらラストはちょい都合よすぎでは?って感じとか、途中たくさん登場した彼らは結局何だったの、とかいくつか疑問な点はあるけど、メインキャラクターの描かれ方が、ありがちな根性論や精神論を訴えるものではなく、きちんと内面と向き合い、助けが必要であれば周囲がサポートし、無理に前を向くのではなくゆっくり時間をかけて彼らのペースで自分と周りと向き合う姿があって、よかった。
そう考えるとやっぱラストのやっつけ感がやっぱ残念かな。描きたいもののバランスをとると致し方ないのかなぁ。原作未読なので読んでみようと思います。
こいつ....話の割に他が色々明るいぞ!?
良い意味でも悪い意味でもね。
だけど面白い。脚本が吉田玲子さんだと見て納得でした。だって彼女の関わている作品だいたい面白いもん。
まず一番驚いたことは登場人物にかなり感情移入させられたことですね。ラストシーンでは涙がぼろぼろとリミッターが外れたのかと思うほど出てきました。脚本、声優の演技、作画。全てがハイレベルな証拠です。私の家族は全くDVなどをしてくるようなクソ親ではなかったのですけれどここまで感情移入して泣けるというのは映画の良いところですよね。
そしてこれを見るためだけに劇場へと赴いたといっても過言ではない芦田愛菜の演技ですよね。実際私は彼女が声優でなければ見に行っていなかったと思います。もう最高。ハリウッド版ゴジラの時から分かってはいましたが声の演技もめちゃくちゃ上手です。彼女はこれからどうなっていくのかとても成長が楽しみです。
話の割に音楽が明るすぎてマッチしていなかったところやラスボスの妖とのバトルがかなりあっさりしていたことなどの欠点はありますがそれを補うほど他の部分が優れている作品です。
そろそろ終わりそうですが見ていらっしゃらない方は是非ご覧ください。
それなりに
面白いと思います。
現代とレトロな感じとうまく織り交ぜられた感じです。
が、なんで東京なのにほとんどの映画館で朝イチ1回しか上映されないのかわからない。
声優を見ても三流映画とは思えないのに、すごい冷遇されている感じが否めない。
残された者の辛さ、土地を離れる理由
あれから10年か…3年間応援行ったな…ホントメチャメチャになってたよな…2ヶ月経っても町が魚の腐ったにおいしたな… ガレキと砂ぼこりすごかったな…とか思い出す
「人の身も心もその土地から離れていく」という被災地の課題をローカルなファンタジーにのせて原因を退治することで大丈夫!ここで頑張るし忘れない!というメッセージ しっかり伝わりました
残された人の思いはそれぞれに違ってかつ強いもの、それが故に取り扱いは慎重にしなければならないところをファンタジーでまとめて表現するところが上手い ローカル全開の妖怪、劇中劇の使い方、表現、小ネタも良かったし芦田愛菜はさすがに上手、大竹しのぶは上手いけど1ハマっている感じではなかったな…
それぞれのネタはホントに良くて上手くまとまってたんだけどもう一歩深掘りして厚みが増してたら傑作になってたと思う
あー今年こそ!行くぜ!東北!
どこか懐かしいほっこりファンタジー
遠野の妖怪伝承と東日本大震災をうまく掛け合わせた物語。オチは分かりやすいがそれでも楽しめた。以前遠野に旅行したことがあるけどまた行っておばあちゃんの伝承語りを聞きたくなった。
滋味を味わう作品
予備知識ゼロで鑑賞。
一応架空のお話ではあるけど、冒頭の3分で、この作品があの地震の直後を舞台(の基礎)にしている事は、容易に理解できる。制作が決まってからのロケハンではなく、震災直後の三陸沿岸を実際に歩いた製作スタッフがどれだけいたのだろう、というのが最初の印象。
あの震災の傷跡は今でもあちこちで見えるし、地元の方々からお話も伺える。立派な伝承施設もたくさん建ったので、それを訪問する事で学ぶこともできる。でも、瓦礫から舞い上がる埃の凄さや、海からかなり離れた内陸で感じる潮の匂い…そういった事柄を肌で感じていないスタッフが作品世界を描写するのは、極めて難しかったのではあるまいか。
私自身が三陸(宮古)を訪れたのはあの年の5月、作品の舞台である大槌町に入ったのは翌年7月。直後とは言えない時期でも、それは強烈な体験だった。映像を見ながら、あの時の感覚を思い出すのは、とても不思議に感じた。
追体験できない特別な景観を、背景作画はよく再現したと思う。その努力に敬意を表します。例えば、橋の欄干が津波でぐにゃりと曲がった様をきちんと作画していて、上手いなぁ。また、舞台となるマガリヤが、その立地に応じて(見た目や内装だけでなく)基礎の建築様式が違うとか、よく取材されている。
最初の1日目は、極めてゆっくりと物語が進む。ちょっとテンポが遅すぎるかもと感じるけど、ここでの丁寧な描き込みが、後で物語が大きく動く際に、登場人物の思いをしっかりと受け止めてくれる。出汁の旨味、もしくは素材の滋味が少しずつ溶け出して、互いに重なり合って一つの大きな料理(お膳)を仕上げるイメージ。最近の劇場アニメでこういう作り込みの作品はとても珍しいと感じる。正直派手さに欠けるので、合わないという人は多いかもしれない。でも、美味しいものは美味しいのです。
それに呼応するように、作中ではお料理が大きな役割を果たす。今日は疲れたからと出てくるおにぎりのなんと美味しそうなこと! 実際、縁側に座った3人が一緒にそれを頬張ることで、本作の大きなテーマである『家族のあり方』が浮かび上がってくる。最後まで観ると、その変化がちょっと上手く行き過ぎる部分はあるけれど、それでも一つの姿を示したのは、立派だと思う。
クライマックスでの大活劇(?)はどうなんだろう。物語としてもう少し穏やかな方が、作品には似合う気がする(ので減点)。でも、人の闇を食らい尽くしてほしい=一見悪役にも存在意義がある、という作り手の祈りが感じられるのも事実。すべてが終わって、その悪役をもお祀りするキワばあさんの思いが、とても深くて、唸ってしまった。ここで大活躍するひよりちゃんが、その前で御神楽の音楽から逃げ出して…という布石の打ち方が、上手いと思う。笛と弓なんて、これぞ和風スペクタクル(笑)!
結局のところ、作品は絶対的な正解あるいは解決を示さない。様々なあり方のうちの一つを示すだけ。その評価は、最初に生み出される滋味の部分を、鑑賞者がどう味わうかで変わってくると思う。この点において、本作は観る人を選ぶ。
主人公ユイ役は、一見そっけない口調を(専業声優にありがちな)媚を感じさせずに演じきって、好演。ひよりちゃんへの細やかな心遣いが、台詞のちょっとした部分で上手く表現できていて、実写での高評価も納得。面白いのは、全然演技になっていない河童の皆さんで、それがむしろ河童らしい味になっているのが作品の力。端役の座敷わらしが花を添えたのも、ぜひ心に留めたい。劇伴を控えめにした結果、静寂の場面が好印象。
作画はかなりあっさりしていて、最近主流の描画線の多さと比較すると、ちょっと物足りないのかも。ただし、細かい動きはきちんと拾い上げていて、アニメーションとしてはハイレベル。全く言葉を発しない(某作品のような唸り声すら出さない)少女をアニメで演技させるのは、こんなに難しいのかと思った。あと、キワばあさんの語りの部分で、作画が一気に変化するのが楽しい。
冒頭でも述べた通り、背景作画は驚異的な頑張りで、本作の印象の大半は、その出来栄えの良さに支えられていると感じた。大槌と遠野の空気の違いをあれだけしっかり描かれると、また行きたくなってしまう。
間接的とは言え、あの震災の直後を描いたという点で、本作は独特の地位を占めたと思う。以前NHKが放送した「想いのかけら」がどれだけ意欲的だったか、思わずにはいられない。そして、ノイタミナで放送された「東京マグニチュード8.0」がどれほど挑戦的だったか、改めて実感せずにはいられない。
ということを考えながらエンドロールを見ていたら、最後の製作委員会で「フジテレビジョン」がクレジットされていて、本当に驚いた。まさかこんなところで繋がるとは。それこそ何年ぶりかで家族の絆を目撃したかのようで、個人的には、本作でもっとも評価されるのは実はここなのかな、とか思っているのです。まさにヤラレタ。一本取られた。
世界観は好感、ストーリー展開は少し残念
このアニメの根幹には、柳田國男の「遠野物語」があり、「遠野物語」63、64の「マヨイガ(迷い家)」がそれにあたります。
主人公が、新たに住む事になった、古くとも、どこか優美さを持つ曲り屋、その曲り屋のある半島や里山の自然美は美しく、それに加え周囲の人の情けの深さには、羨ましさえ覚え、こんな世界に住んでみたいと思わされ、この土地で暮らす日々の生活は心地良く流れます。
唯、登場する妖怪の類いは「河童のクゥと夏休み」とか「ももへも手紙」を思わせますが、前述の世界とのマッチングに違和感を感じます。
個人的に河童の存在などオカルトの世界は好きですが、多過ぎる山神、魑魅魍魎の類いは雑駁な感じですね。
ストーリー展開はありきたりな感が残りますが、主人公を始めとしたキャラクターには好感があり、それらのやり取りや生活の様を楽しむ事ができます。
もっと「遠野物語」寄りの話しをメインに据えると尚良品になったと思われます。
「すんぺぇねぇよぅ」。そう子供たちに声をかけてくれるお年寄りが、昔はどこの町どこの家にもいたような気がします。
民話・伝説・伝承。 古くからの言い伝え。
そういったお話は基本的に好きです。 (…コワイの除く)
この作品も予告を見て気になっていました。
久しぶりの映画館で観るのはこれにしよう
というわけで鑑賞しました。
◇
予備知識無しで観たのですが、
単なる民話ベースのお話では無いみたい という事が
冒頭のシーンですぐに分かりました。
東日本大震災で被災した街の中を
岬の家に向かって歩くおばあさん。
そして二人の少女。
高校生の女の子 (ゆい) は家出中に被災。
家出の理由も訳ありらしい。
小学生の女の子 (ひより) は両親を事故で失い
引き取られた先の親戚の家で被災。
そしておばあさん。
不思議な力を持っているらしいのですが
おばあさんが二人の女の子に声をかけ
岬の先にある家で、3人暮らしが始まります。
不思議なことが色々と起こる岬の家。
そこでおばあさんの話してくれた昔話。
# 昔、アガメと呼ばれる海蛇の化け物がおったずもな。
# 人の心の寂しさや哀しさを食い物にして育ち
# その土地から人を追い出そうとしたのじゃが
# マキリの力で封印されたんだと。
どうも、その化け物=アガメが
震災で傷ついた人びとの心を食べて
復活したらしい。
おばあさんは、かつてアガメを封印した刀
「マキリ」 を使い、アガメに立ち向かう。
しかし
アガメは震災で傷ついた人たちの心を取り込んで
ずっと強大に なっていた。
おばあさんが危ない。
どうする? 少女二人
>たたかう
>にげる
逃げちゃダメ 逃げちゃダメ
できることをやらなきゃ
こうして
少女たちも自分たちのできることで立ち向かう。
ひよりは、笛を吹き
ゆいは、破魔矢を放つ
さあ どうなる。
この世界は救われるのか?
…
とまあ
災厄に負けちゃダメ という
メッセージはしっかりと伝わってきました。
キャラがちょっと地味な感じで
派手な展開は無いですが
親子で観てもいいかもしれない
そんな佳作です。
ゆいもひよりも いい子です。
本当の家族以上の家族ができて、良かったね。
◇ あれこれ
マヨイガ
漢字だと 「迷い家」 (…たぶん)
もし自分が迷い込んだとして やはり
何も持ち出さない(出せない)かなぁ
#バッドエンドのフラグが立ちそう です… ←ビビリ
ふしぎっと
漢字だと「不思議っ人」 (…たぶん)
別に「もののけ」でもいいのでは? などと
思ったのですが よく見ると
「お地蔵サマ」 がいらっしゃいます。
うーん。
やはり「もののけ」ではダメか
お地蔵さま
人びとを救済してくれるありがたい仏様。
民話の世界でおなじみです。
#岩手県大槌町が舞台なので
釜石大観音を出演させても良かったかも
⇒ いなくなると目立つからダメ?
岩手県大槌町
どこかで聞いた気が…
と思ったら
「風の電話」 がある町でした。
パワハラ父 (たぶんモラハラも)
ゆいの父。
母親が出て行った理由って
こいつでしょう ほぼ間違いなく。
自分より下で弱い (と思った) 相手には強気。 けれど
ゆいちゃんの張手一発に沈む。 …弱っ
◇最後に
「アガメ」にも事情があったのだろうよ と
これも供養しようとするおばあさん
周りに対して優しい気持ちにさせてくれる
そんなエンディングでした。
どっとはれ。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
少女たちの再生の物語
逃れてきた避難所で出逢い暮らすことになった3人がそれぞれの事情を抱えたまま共同生活を行うことで、徐々に絆を紡ぐ物語です。
おばあちゃんの不思議な力により2人の女の子と3人が暮らし始めるのですが、ちょこちょこ出てる妖怪たちが愛嬌があって可愛い感じです。
このおばあちゃんの素性は解らないままなんだけど、ほんわかする要素と絆を紡ぐことをしっかりと描いてます。
画力と終盤のオチに若干の弱さを感じました。
芦田愛菜がよかった
母親の失踪と父からの虐待により家を出たユイと、両親を事故で亡くしショックで声が出なくなったひよりの2人は居場所を失っていた時、おばあちゃんのキワさんと出会い、岬の古民家マヨイガで暮らすことになった。そこは、訪れた人をもてなす、という家だった。マヨイガとキワさんの温もりに触れた2人の傷ついた心は次第に癒されていった。そんな時、ふしぎっとと呼ばれる優しい妖怪たちがキワさんを訪ねてマヨイガにやって来た。さてどうなるという話。
東野の美しい風景が画面から伝わってきて良かった。
悲しい境遇から頑張る2人のいいストーリーだった。
ふしぎっと、なんて妖怪が出るが、トトロや千と千尋の・・・みたいなほんわかとしたものを感じた。
主人公ユイの声優、芦田愛菜が良かった。
えょ〜
すんぺすんな
この言葉に救われる人はどれほどいるのだろうか。
ネットでの誹謗中傷、いじめなど、多で孤を傷つける行為が蔓延っている今日。ユイ(芦田愛菜さん)やひより(粟野咲莉さん)のように今自分の置かれている環境が全てと勘違いしてしまう。なんで私だけ、なんで俺だけ、そう感じてしまう人もいるだろう。そんな時、「心配すんな」そう声をかけてもらえたらどうだろう。気休めかもしれないが窮地に立っている人にとってはとんでもない一言に聞こえるではないのだろうか。キワ(大竹しのぶさん)は何か根拠があってその言葉をかけているわけではないが、このコロナ禍でどこか不安な気持ちがある自分も勇気づけられた。
普段は怖い話など、妖の象徴として語られる妖怪がこの作品においては“ふしぎっこ”という困った時に助けてくれる仲間として語られていた。様々な種類のものたちが助け合う姿は、まさに今の人間に必要な要素だと感じた。
そして最後の見せ場。
自分のできることをする。
間違いない。みんな、精一杯生きよう。
そしてそしてないよ〜う!!!
ひよりちゃん、、かわいすぎるて、、、
バス停で👍ってポーズした時めちゃくちゃ可愛かったぁ、、、喋ったら喋ったで?咲莉ちゃんに凄い合ってるし最高!!!!
ユイも非常に良き。ボーイッシュ女の子良き。強くまっすぐあのまま生きて欲しい!
かっぱ〜〜ノリが好きすぎたなぁ
赤目も頑張って生きてたんだよなぁ、、
すごく幸せなアニメ作品でした。
ユイの料理食べてみたい!
ぜひ!みなさんも!マヨイガに訪れてみては?
映画館に行こう!
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