「スッと息が出来て、安心して暮らせる場所」岬のマヨイガ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
スッと息が出来て、安心して暮らせる場所
人は皆、心を許せる人と安心して暮らしたいと思っています。
不幸にも《安心出来る環境》にない2人の少女。
17歳のユイと8歳のひよりも事情は違うけれど、心休まる居場所を
求めていました。
震災後の岩手県を舞台にした
柏葉幸子の野間児童文学賞を受賞した同名の児童文学をアニメ映画化した
ファンタジー・ドラマ。
題名の「マヨイガ」は岩手県に伝わる、迷い込んだ人をもてなしてくれる
伝説の家のことです。
居場所を失った2人の少女が妖怪たちの集う不思議な古民家「マヨイガ」の
生活で、傷ついた心を癒し、辛い過去を乗り越えていく。
その姿を妖怪たち(ふしぎっと=不思議っ人?)と繰り広げる大冒険と共に
描きます。
ユイ(声・芦田愛菜)はシングルファザーの父親が苛立ちから、
しつけで終始ユイは叱られてばかり。
家庭に居場所がありません。
《家に居たら自分が壊れてしまう》
家出した列車の中で震災に遭い避難所で暮らしていました。
ひより(声・粟野咲莉)は交通事故で両親を亡くして、
伯父夫妻に引き取られましたが、伯父夫妻もまた津波に流されてしまいます。
ひよりはあまりのことに声を失います。
そして孤独に避難所に身を寄せていると、ふらりと現れたキワさんと言う老婆が
「2人はわしの孫じゃ!!」
と、2人を引き取って、岬の家に連れて行ってくれます。
その家が「マヨイガ」でした。
ひよりとユイは暖かい食事、フカフカの布団、熱いお風呂。
安心してお腹いっぱい食事を摂りキワ(声・大竹しのぶ)さんの世話で
生き返ったように幸せでした。
このアニメの特色は東北地方に伝わる民話を元に、さまざまな「ふしぎっと」が
登場します。
「ふしぎっと」は優しい妖怪のこと。
遠野へ船を押して連れてってくれる河童(カッパ)だったり。
怖いアガメ(多分、赤眼)だったり。
遠野の「マヨイガ」にいる座敷童(ざしきわらし)の少女。
田中のお地蔵さん。
狛犬・・・の「ふしぎっと」とキワ婆ちゃんは心を通わせる能力の持ち主。
ファンタジー色も民話性、郷土愛も備えた、
「不思議昔話」風の面白いアニメ映画です。
映画はユイとひよりの寄るべない2人にキワ婆ちゃんが
「生きて行く場所」を提供してくれて、ユイとひよりはなんとか
「生きる力」を貰うのです。
震災で傷ついた人と町の復興。
決して簡単ではない「心の復興」
時間は掛かるけれど、助け合って歩み出すしかありません。
アニメのクライマックスはアガメの海ヘビ(不吉な魔物)を
キワ婆ちゃん、ユイとひよりが力を合わせて退治するシーン。
キワ婆ちゃんはマキリ(小刀)
ひよりは御神楽の鳴り物の横笛。
ユイは破魔矢を射って、巨大な敵を倒す。
人間の生活を根幹から壊した震災。
それでも人々は助け合って生きていく。
ユイは実の父よりキワ婆ちゃんが好き。
ひよりはユイを奪いにきた父親を見て、必死で
「ひーねーちゃん、行かないで!!」と叫ぶ。
声を取り戻したのだ。
ユイもひよりも狐崎の「マヨイガ」が故郷だと思う。
血のつながらないユイ、ひより、キワ婆ちゃん。
実の家族以上の温もりがある。
「家族」を広い意味で捉えると「平和」に繋がる。
おはようございます。
「黄金のアデーレ」に頂いたコメントバックです。
映画は逃げませんから、ご自愛ください。(と言いながら、自分も今日10時間寝てしまい、吃驚!)
スペンサーは、可なりアーティスティックな作りなので、(監督がパブロ・ラライン)人によっては”何だこりゃ”となるかもしれませんが、私はクリステン・スチュワートが好き&歴史ものが好きという事もあり面白く鑑賞しましたね。幻想的な部分もアクセントとして、巧く機能していましたよ。では。