岬のマヨイガのレビュー・感想・評価
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優しい日本昔話の世界
ああ、成る程。「迷い家」という訳だったのか――予備知識も無く映画館に飛び込みで見てしまったのですが、難儀を訴えれば二つ返事で氏神様にお地蔵様達が助けてくれる、そんな優しいニッポン昔話でホッとした気分でした。作中で語られる昔話のアニメーションが独特でとても面白かった。
被災地の復興と心のドラマを抑制されたトーンで描く
東日本大震災から10年の節目に、被災地を舞台にしたアニメ3作品を製作する「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の1作です(残り2作は、テレビアニメ「バクテン!!」、12月3日公開の「フラ・フラダンス」)。
ファーストカットはひび割れたコンクリートのアップ(だったはず)で、凄いところからはじめるなと思いました。震災の爪あとが残る岩手県を舞台に、「のんのんびより」シリーズを手がける川面真也らしい和やかなテイストで主人公の少女ユイの暮らしを描きつつ、余裕のなくなった人間が引きおこす嫌な部分(見ていて本当にイラっとするのが凄い)をピンポイントで挟むことで、ゆっくりと物語のテーマを浮かびあがらせていきます。全体的に抑制されたトーンで描かれているところに、児童文学が原作の本作を描く覚悟を感じました。
ユイ役の芦田愛菜(「海獣の子供」)、キワさん役の大竹しのぶ(「漁港の肉子ちゃん」)の近作とはまた違った見事な声の演技も心に残りました。
マヨイガは未来のスマートホーム
岩手県盛岡市在住の原作者が東日本大震災をモチーフにした児童文学の映画化。原作は未読。
身寄りのないゆいとひよりの二人の少女は避難所で出会った謎の老婆キワに言われるまま不思議な古民家で共に生活することに。
その古民家はマヨイガといわれ、人をもてなす不思議な力を備えていた。穴の開いた障子紙を自動修復、適度にお風呂を自動で沸かす、言葉に反応して氷水まで差し出してくれる。あともう少し経てばスマートハウスとして実現できそうだな。転居届なんかもネットでできるだろうし。
ただ、マヨイガだけでは話が持たなかったのか、古来からの言い伝えである恐ろしい大蛇「アカメ」が震災でその封印を説かれ、今まさに人々に災いをもたらそうとしていた。それを阻止するためにキワは一人立ち向かう。そしてゆいたちも力を合わせてアカメを退治するというお話。
児童文学が原作なのでファンタジー映画なんだろうなあと思いながら見ていたけど、冒頭で震災の生々しいリアルな傷跡を見せられたり、話のトーンも中盤までは結構抑え気味だったので後半からのカッパの登場や古今東西の妖怪たちが一堂に会してる光景を見せられ、作品中盤までに築いた本作のリアリティラインが崩壊してしまった。
最後には少女たちが空飛ぶ狛犬に乗って大蛇を倒すという、中盤までに抱いた本作への印象とはあまりにかけ離れた展開に私自身その振れ幅についていけず振り落とされてしまった。
心に傷を負った少女たちがマヨイガでの疑似家族生活の中で心が癒され徐々に成長していくというほのぼのした物語を想像していたんだけど、彼女たちの成長のために大蛇退治が必要だったのかなあ。
何でも願いが叶うマヨイガ、ひよりは死別した両親を生き返らせてと願うけどそれはかなえられないとか、そういうシーンがあれば泣いてたかも。
この物語を見る限りだと震災もあまり活かされてなかったような気がする。ひよりは震災のショックで口が聞けなくなったわけでもないし、ゆいも震災とは関係なく虐待で家出してきたわけだし。
あえて東日本大震災を題材にする必要性があったのだろうか。あるいはあの大蛇を震災に見立てて、大蛇を倒すことで震災からの復興をイメージとしたものなのかな。大蛇は震災で傷ついた人々の不安や悲しみ、恐怖の象徴として描かれたものなのかも。原作とは人物の設定も変えてあるらしいので原作は一度読んでみたい。
『のんのんび』より、『神っチュ』だネッ
何故か『のんのんびより』が好きで、見てみた。
『ヘンデルとグレーテル』も良いけど、日本人なら『注文の多い料理店』でしょう!?
日本の神道は『ナーガ』信仰。つまり、ゾロアスター教などなどが元祖かなぁ。しかし、お地蔵さんが登場するのは、廃仏毀釈の良心的な解釈なんだろうね。
震災の事を忘れる為に日本を離れるのも良しだよ。狐舞なんか踊らないで、都会へ出るのも一つの手。じゃがいもは10円じゃ買えないけど、物によっては日本よりも安い食材はたくさんある。勿論、アメリカ、ヨーロッパじゃないよ。脱亜入欧の時代じゃないよ。けど、こんな狭い日本に居ることもないよ。
でも、このアニメの良い所は、何でも『美味い』って表現する所かなぁ。食レポとして最高。
家族なんか義務教育終わったら関係ない。それで良し。でも、まともな親も『時たま』居るよ。反抗するだけが能ではない。
また、老人がこの世を救ってくれるわけないので、その点も留意するべきだ。若者はこうなったら何事にも、とらわれずに自分の為に生きる事だよ。国も他人もそして親も当てにならない。若者よ、国を捨て、世界へ飛び出そう。
と老人の戯言を信用しないほうが良いよ。
心温まる作品
震災後の親や家族を失った人たちが、幻の家を経てもう一度家族となっていく物語。
遠野物語をベースにしていて、妖怪や神々も出てきます。
土地も人々の心も段々と解けていくのが良いですね。
全体的にふわっとした、とても心温まる作品でした。
ひとつのアニメ作品としては…
羊文学が好きで、マヨイガという曲が主題歌になっている映画があるらしいという事から入って、丁度amazonプライムにあったので鑑賞してみました。
被災地復興プロジェクトの一環という事で、その意味では意義のある映画だとは思いますが、ひとつのアニメ作品として楽しめたかといえば、正直なところ微妙でした。
見ず知らずの子供を孫だという事ですんなり引き取る事が本当に出来るのかどうかは判りませんが、そこは目をつぶるとして、ものすごく意味ありげなおばあさんが、あまり活躍しなかったり、ラスボスがそれほど強力ではなかったりと、ちょっと拍子抜けした感じでした。
実は、おばあさんは若い頃に巫女をしていて、その時からの因縁で、とかの隠し設定があるのかといえばそういう訳でもなく、普通な感じで終わった印象です。
元が絵本とのことなので、あまりにも複雑だったり残虐だったりの設定はしづらかったのかもしれませんが、個人的には少し不完全燃焼感を感じました。
大竹しのぶさんの声優としての能力はすごいと思いましたが、演技派であるはずの芦田愛菜さんもあまり印象に残らず、残念な感じでした。
岩手の沿岸県民にはたまらない作品
大槌町は「風の電話」に続き、いい映画作品の舞台となっているなあ、と隣町出身としては軽く嫉妬w とても面白い映画でした。映画というよりも新しい昔話というか童話というか、素敵な物語が生まれた瞬間に立ち会えたような気がしました。吉田玲子さん、さすがの脚本です。
見慣れた場所ばかりで、「ああ、これはマストだ」とか、「この川べりで爺さんが畑を(無許可で)耕してたなあ」とか、「蓬莱島と北山崎のコラボかな?」とか遠野駅とかお約束的にカッパ淵だったり、釜石駅がちらりと登場したり、そこからバスで大槌へ動く様とか、狐舞ってあったっけ?どうせなら虎舞にすれば実際とクロスオーバーになるのになあ。などと要らんことが頭の中を過ぎりながら鑑賞。
なお、狐崎は架空の地名ということですが、大槌町の隣、釜石市には狐崎城跡というものがありますので、狐崎という地名から釜石市が舞台か?地元民でも知ってる人少ないのにマニアックだなあとも思ってました。
キワばあちゃん、井上ひさしのお母さん、井上マスさんがモデルかな? マスさんもいろいろと各地を転々として苦労なされ、とても思慮深い方でしたのでダブって見えました。
おばあちゃんは何者。
おばあちゃんが少女2人に優しくするストーリーと思いきや、
妖怪勢揃いで蛇の妖怪を倒すという展開。
であるが、全体的な派手さはなくてどちらかというと淡々としていて、少女2人の心の変化にフォーカスが当てられていて、応援したくなってくる。
見どころはきっと蛇とのシーンかもしれないけど、あっさりしているので、そうなるよね、といった感じ。
感情移入がそこまでできなかったのもあるのでこの点数。
傷ついた心をもてなしてくれる
…マヨイガ
という言葉を知らなかった
意味も
震災で心に傷をもった…ひより
父親から逃げたかった…ゆい
どうして…わたしだけが
そんなひよりとゆいのところに
キワさんが声をかけてくれた
三人の共同生活がはじまる
…キワさんは
不思議な力をもっていた
ふしぎっと(妖怪)と話ができる
…魔(化け物)
遠野に伝わる民話を丁寧に
用いてかっぱや狛犬お神楽の
重要性など。
いまはお神楽は数少なく
継承するのも大変でしょうね
神様に
祈った時代
心のよりどころ
でも一番は人との繋がり
でしょうか
登場人物はじめ風景
画のカメラワーク
光の当たらない暗いトーンも
すごくバランスの良い作品です
ちょっと気になったところは
大竹さんの声かな
他は満点です
余談…
時代と共に
その土地の風習とか
言い伝えとかも忘れ去られて
いくのでしょうね
しばし、民話の世界観に酔う・・
マヨイガって「迷い蛾」、蛾の話かと思ったら遠野物語にでてくる「迷い家」のことでした。訪れた者に富をもたらすとされる山中の幻の家のことらしい。
原作者の柏葉幸子さんはジブリ作品にも影響を与えたファンタジー作家ということだから折り紙つき、岩手のご出身だから3.11では随分と心を痛められたのでしょうか、震災と遠野に伝わる民話を結びつけ岩手県の狐崎の古民家を舞台に訳ありの少女たちと謎のおばあさんの奇妙な共同生活を描きます。
日本の妖怪ものでは「ゲゲの鬼太郎」が思い浮かぶが妖怪戦争では無く、地に根付いたお稲荷さんの狐、神社の狛犬やお地蔵さんなど日本ならではの悪霊払いの対処法はハリポタとは違った面白さを再認識、日本ってファンタジーの宝庫だったのですね。
声優さんではありませんが天才子役と謳われた芦田愛菜ちゃんと大竹しのぶさんの息もぴったりで物語に引き込まれました。ただ、家出少女と心無い父親という設定は頂けませんね、劇中で誤解を解いて欲しかった・・。
震災で住む場所を失った2人の少女が不思議なおばあさんに引き取られて...
震災で住む場所を失った2人の少女が不思議なおばあさんに引き取られて岬の古民家で暮らし始める。
皆良い人ばかりで、まったりと話が進んでいくが、突如「アガメ」なる化け物の登場で緊迫した展開に。
おばあさんが化け物を倒すために犠牲になるのかと心配したが、助かってよかった。
また、「今、自分にできることをやるしかない」というセリフは日常生活においても当てはまることで、元気づけられた。
絵作りの大切さ
肉子ちゃんに続き、大竹しのぶさんの存在感には脱帽
芦田愛菜さんは、海獣の子のときほどは良さを感じることができませんでした。
お話の筋やテーマも良いと思いましたが、ビジュアルがついてきていないのが残念
やはり、映像作品は絵作りがついてこないと気持ちが入らないのが残念
災害に見舞われた皆さんの様々な思いを投影していて、10年後の今、考えさせられること多い作品でした
ちょうど、すずめの戸締まりを観たあとでしたが、あの作品の中であの震災はどういう位置づけだぅたのだろうか?と、考えさせられました、人知れず災害を食い止めるヒーローの、舞台設定のように扱われていて残念な気がします
その点については、この作品は真正面から穏やかに語られていたと感じます
人が住まなくなるのは
赤目の仕業という設定が良かった。
赤目にも伝えたい事があったのだろうとお婆ちゃんが祀るところに、共存の意味を考えされられた。
サンドイッチマンをキャスティングしてるのも良かった。
そして上手なのが流石。
スッと息が出来て、安心して暮らせる場所
人は皆、心を許せる人と安心して暮らしたいと思っています。
不幸にも《安心出来る環境》にない2人の少女。
17歳のユイと8歳のひよりも事情は違うけれど、心休まる居場所を
求めていました。
震災後の岩手県を舞台にした
柏葉幸子の野間児童文学賞を受賞した同名の児童文学をアニメ映画化した
ファンタジー・ドラマ。
題名の「マヨイガ」は岩手県に伝わる、迷い込んだ人をもてなしてくれる
伝説の家のことです。
居場所を失った2人の少女が妖怪たちの集う不思議な古民家「マヨイガ」の
生活で、傷ついた心を癒し、辛い過去を乗り越えていく。
その姿を妖怪たち(ふしぎっと=不思議っ人?)と繰り広げる大冒険と共に
描きます。
ユイ(声・芦田愛菜)はシングルファザーの父親が苛立ちから、
しつけで終始ユイは叱られてばかり。
家庭に居場所がありません。
《家に居たら自分が壊れてしまう》
家出した列車の中で震災に遭い避難所で暮らしていました。
ひより(声・粟野咲莉)は交通事故で両親を亡くして、
伯父夫妻に引き取られましたが、伯父夫妻もまた津波に流されてしまいます。
ひよりはあまりのことに声を失います。
そして孤独に避難所に身を寄せていると、ふらりと現れたキワさんと言う老婆が
「2人はわしの孫じゃ!!」
と、2人を引き取って、岬の家に連れて行ってくれます。
その家が「マヨイガ」でした。
ひよりとユイは暖かい食事、フカフカの布団、熱いお風呂。
安心してお腹いっぱい食事を摂りキワ(声・大竹しのぶ)さんの世話で
生き返ったように幸せでした。
このアニメの特色は東北地方に伝わる民話を元に、さまざまな「ふしぎっと」が
登場します。
「ふしぎっと」は優しい妖怪のこと。
遠野へ船を押して連れてってくれる河童(カッパ)だったり。
怖いアガメ(多分、赤眼)だったり。
遠野の「マヨイガ」にいる座敷童(ざしきわらし)の少女。
田中のお地蔵さん。
狛犬・・・の「ふしぎっと」とキワ婆ちゃんは心を通わせる能力の持ち主。
ファンタジー色も民話性、郷土愛も備えた、
「不思議昔話」風の面白いアニメ映画です。
映画はユイとひよりの寄るべない2人にキワ婆ちゃんが
「生きて行く場所」を提供してくれて、ユイとひよりはなんとか
「生きる力」を貰うのです。
震災で傷ついた人と町の復興。
決して簡単ではない「心の復興」
時間は掛かるけれど、助け合って歩み出すしかありません。
アニメのクライマックスはアガメの海ヘビ(不吉な魔物)を
キワ婆ちゃん、ユイとひよりが力を合わせて退治するシーン。
キワ婆ちゃんはマキリ(小刀)
ひよりは御神楽の鳴り物の横笛。
ユイは破魔矢を射って、巨大な敵を倒す。
人間の生活を根幹から壊した震災。
それでも人々は助け合って生きていく。
ユイは実の父よりキワ婆ちゃんが好き。
ひよりはユイを奪いにきた父親を見て、必死で
「ひーねーちゃん、行かないで!!」と叫ぶ。
声を取り戻したのだ。
ユイもひよりも狐崎の「マヨイガ」が故郷だと思う。
血のつながらないユイ、ひより、キワ婆ちゃん。
実の家族以上の温もりがある。
「家族」を広い意味で捉えると「平和」に繋がる。
何で私だけ
誰にでもある負の感情。
不幸は比べられない。
それをどうやって乗り越えるのか、克服できるのか。
キャラクターの絵柄は風景に対して軽いタッチ。
最初はアスファルトの雑草のシーンから。細かい描写もあり、リアルだと思っていた物語は
マヨイガに着いた時点でファンタジー要素が強くなる。
夏目友人帳?? からのラストは犬夜叉。
笛はなんとなく予想はついたけど。
観て良かったと思える作品。
居場所を失う感覚
この映画のテーマは「居場所を失うこと」だと思う。
そういえば、私にも「ここには私の居場所が無い」と感じたことがある。
たとえば、小学生のころに何かの委員会に参加したとき、
そこに出来上がっていた人間関係に入り込む余地が無くて、
悲しい気持ちになったことを思い出した。
もちろんそんなそぶりは見せなかったけれど、それはとても悲しかった。
私の感じた「居場所のない悲しみ」と、ユイやひよりの悲しみでは
悲しみの深さが大きく違うのだけれど、種類は同じなのだと思う。
そしてそれは、東北大震災で居場所を失った悲しみにもつながっている。
そして、ユイやひよりを受け入れたマヨイガやキワや河童たち妖怪という、
東北の物語は、全てを受け入れる力があるのだろう。
そうして力強く回復してゆく被災地の姿を、少しだけ身近に感じられる、
そういう作品なのだと感じました。
優しい話でした
民話や妖怪がつくる世界観が素敵。
マヨイガ、おばあちゃん付き添いの元行ってみたい。
登場人物が基本的に優しく、あたたかい気持ちになれる。(ユイのお父さんは偽物だったわけだけど、本物はどうしているのだろうか)
おばあちゃんは一体何者なのか、とか、色々気になる部分は残った。そういう家系なのかな。
辛さも苦しさ抱えて、前を向いて歩くためには。
Amazonプライムにて視聴
元は児童文学を設定調整してアニメ映画化した作品。
細かい伏線等はないので、多少のネタバレは記載してしまっております。ご了承ください。
震災や事故、家庭環境の不和で居場所を失った少女たちと、それを迎え入れる謎のババア。
そして、少し不思議な世界との交流を描いた作品。
基本の映像は丁寧で綺麗ですが、特筆するほどではないです。
人物描写が薄めなので、アクションやキャラクター演技は弱いです。
背景美術はかなり精細な描写です。東北の美しい空気感を味わえます。
昔語りのシーンの構図・カット割り・映像表現が異常にレベルが高くなるのは何なんでしょう……。
震災被災跡地を軽い描写のみ写すのは、多くを語りすぎない事による配慮とも言える。(ショッキングな映像は流せば良いと云うものではない)
マヨイガの表現は良くも悪くも日本的な表現。Jホラー的だるまさんがころんだ方式。
ミラベルと魔法だらけの家(ディズニー)までは行かなくても、ハウルの動く城的な可変的表現があっても良かったかも。
前半は、軽めの説明から、3人が共同生活するまでを、ゆっくり描く。
中盤から、少しずつ生活を前へ進み始める話。
後半からは、ふしぎっとと洞穴に封印されたアガメの話へと進んでいく。
この作品は、「苦しみを抱える中、共に支え合い、前を向いていく事の大切さ」を描いていると思う。
悲しみは多くとも、それを抱え続ける事は、負のものを生む。
悲しみを乗り越える時に、向かい合う必要はない。時には別の方向へ逃げる事も必要。
それは、今の生活から離れた所にあるかも知れない。
それでも前を向いていれば、そこには新しい世界が広がるのかも知れない。
そんな事を感じさせる、良い童話だった。
丁寧な語り口なので、安心して見られる作品だ。
逆に毒を薄めに作ってあるので、琴線に触れるまでは至り辛くなっているのも悩ましい。
それなりにまとまった良作ですので、お暇なら視聴しても良いかと。
最後に声優さんについてですが、
主人公のユイ役の芦田愛菜さんは、圧倒的に上手いです。その辺の声優さんよりも上手いかも……。怪獣の子供の時も思ったけど、演技の鬼。独白のシーンの声の震え方が上手すぎて、引くレベル。
キワさん役の大竹しのぶさんは、下手ではないけど序盤違和感がある演技になっています。後半からは慣れのせいか、そこまでは気になりませんが……。
ひより役の三宅希空は、上手いけど普通かなぁ。もう少し一発目はガラガラになってて欲しかったかも……。
カッパ軍団の俳優さん芸人さん方は、キャラ性もあるのでギリセーフ。
東北出身の方も多く、被災地支援の一環である事が大切な作品なので、こちらの方で良いのだろう。
あと、田中のお地蔵様の声が良すぎてウケる。さすが江原さん。
総じて、悪くない配役でした。
俳優声優が苦手でも大丈夫なレベルです。
余談
前から思っていたのだけど、後半から慣れてくるタイプの声優(俳優)さんについて、
こっちが慣れてくるのかと思っていたのだけど、たぶん演技中に上手くなっていっているのだと思う。
今回の大竹しのぶさんなどは、明らかに前半の演技と後半の演技の質が違う。
つまりは、多くの作品では俳優起用の際に、演技指導の時間が足りていないのだと思われる。
演技の中でキャラに慣れていき、結果として後半からキャラが出来上がるのだ。
予算の都合があるかも知れないが、俳優さんを声優起用する際は、長めのスケジュールを確保して、アフレコ・アテレコをして頂きたいと願う。
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