劇場公開日 2021年12月3日

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「地に足のついた主人公」フラ・フラダンス コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5地に足のついた主人公

2021年12月6日
PCから投稿

お仕事青春ムービーのアニメ版であり、震災復興の応援映画としてはよくまとまっていたと思います。
丁寧にキャラ一人一人を描写し、それぞれの背景や問題点を洗い出し、それぞれに決着をつけていく吉田玲子さんの脚本は見事でした。
体力も基礎技術もない「どこにでもいる普通の子」がプロになっていくあたりは、お仕事ものの定番王道展開で、映画『フラガール』を思い出しもして。
主人公が上達していくのに特効薬がなく、地道な練習と、チームの仲間との信頼関係を築く以外に道がないのが、地に足がついているというか、リアリティがあってよかったです。

ただ、シナリオが一般向けなのに、演出が『アイカツ!』っぽいんですよね。
特にアイドルグループの要素や、アニメらしいファンタジー要素(Cocoねえさん)が少々子供向けっぽさを醸しだし、また演出・キャラデザイン自体がアニメファン向けに特化している気もして。
この映画自体がどんな客層に刺さるのか、興行成績的な面が少し心配にもなりました。

話の下敷きになっているのが東日本大震災なので、「現地で頑張って生きてきた、被災した人たちの子供が成長して地元に就職した」なんてケースを見たり身近にいらっしゃったりした体験をお持ちの場合は、たぶん思い入れを持って観られるとは思うのだが、そうじゃない他地域の人にはちょっと微妙かも……

『岬のマヨイガ』と同じく、フジテレビの「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の一つだと、エンドロールで初めて知りました。
これについては、宣伝含めてもっと打ち出してもよかったんじゃないかなぁ?

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コージィ日本犬