「日常から離れすぎず、少しファンタジー要素を取り入れた優しい作品」フラ・フラダンス きんぴらさんの映画レビュー(感想・評価)
日常から離れすぎず、少しファンタジー要素を取り入れた優しい作品
総じて穏やかな気持ちで鑑賞できた。
公式のストーリー紹介にある、初めての舞台で起こる「ある大失敗」がこの作品の抑揚になるのだろうと思って、どのような失敗かと色々と想像をしていたのだが、結果想像の斜め上の失敗だった。ネタバレになるのでここには書けないが、「ある大失敗のシーン」は最高だった。
全体通してクスッと笑えるシーンが多くて楽しく、厳しい先輩もしっかり者の環奈も結局のところ優しく、そんな環境でそれぞれが成長していく姿は微笑ましい。
ストーリー以外ではとにかくキャラクターがかわいくて癒される。映像もそれなりに綺麗。なお、冒頭で主人公の日羽が電車に乗った際の背景は息を呑むほど綺麗だった。ピンポイントすぎるが、電車の扉が締まった後の扉の光沢と光の反射の色使いが素晴らしかった。
少し気になるのは、もうしわけ程度に入ってくるファンタジー要素だ。違和感が芽生えるので無しで良かったと思う。無理矢理ファンタジー要素を組み込んだように見えてしまうのだ。日常に紛れ込んだ異質。ファンタジー要素は思い出だったり、両親からの言葉やプレゼントなどでカバーできたはずで、その方が雑味なく感動できたと思う。
後、これは特定の方のみだと思うが、映画の最後で日羽が花に囲まれて一言叫ぶのだけれど、音量が大きく、声が高く、そして細い。耳と頭が痛くなった。私は高音でも音が太かったり重ければ大丈夫なのだけれど、結構こたえた。高音が苦手な人は気をつけたほうが良いだろう。
この辺りで少し評価を下げざるを得ないか。
とはいえ、ストーリーに驚きはないけれど、それをカバーするだけの安らぎを感じる。キャラクターや声優さんの表現は高評価(最後の咆哮以外)だし、アニメーションもモーションキャプチャーを使っていてすごかった。何より「ハワイアンズに行ってみたい」と思わされた事実がある。
結果として3.5点をつけたいと思う。