「おばあちゃんとドラァグクイーンの化学反応」ステージ・マザー フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
おばあちゃんとドラァグクイーンの化学反応
息子の遺産を相続する話
ありがちで大味な心温まる内容でもう何度見たことか。飽き飽きだよと思いつつも、抗えないほっこり感と優しい世界。
ゲイだった息子が残した店を再生させつつ、自分自身も新たな道を進む姿がとてもキュート。
本来ならカッコいい姿なのだろうが、主演のジャッキー・ウィーバーがかわいいおばあちゃんだからどうにも緩い雰囲気のまま物語を引っ張ってくれる。
内容は意外と重いし深刻だったりするけれど、意外とあっさり解決してしまう。この映画はかなり優しい世界なのだ。
現実はそんなに単純に解決しないし、都合よく物事は進まない。そう卑屈に思ってしまうのは自分が現実に毒されているからなのかも知れない。
この映画の様に行動を起こせば事態は好転する、そんな現実があってもいいじゃないか、と本作を通して教えられた。
諦めて行動を起こさないことが一番事態を悪化させる。主人公の様に寛容な心を持ち、新しい環境や新しい恋ができるような生き方がしたいものです。
主人公は店を守る事を行動原理にしていたけれど、いつの間にかみんなの母親の様になっていった。
自分の息子の代わりに優しく接したのだと思うのだけれど、どこか他人だからこそズケズケト入り込んでいったようにも思う。
主人公はいい意味でちょっと無責任で自己中心的な感じだ。しかし、くすぶっていてり凝り固まってどうにもならなくなった状態には、行動力のある第三者が介入することで解決につながる。
環境を変えたり、人との関わりを変える事は面倒だし怖いけれど、いいことも有るのだ。
人は一人では生きられない。
自立はしばしば自分一人でしているように思えるが、結局のところ誰かに支えられていたりする。
支えられないで生きようとすると心や体に支障をきたすもの、なんでも一人でできるのはすごいけれど人に頼り、頼られる人の方が凄いし幸せなのかも知れない。
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劇中セリフより
「山を登るのは得意な方さ」
問題が山積みな時に言いたい&言われたいセリフですね。
山は誰でも登れる訳じゃないし必ず登頂できる訳じゃない。
でも誰かと上るのは楽しい。