劇場公開日 2021年2月26日

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「母から息子へ、そして息子から母へ受け継がれる愛」ステージ・マザー スクラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母から息子へ、そして息子から母へ受け継がれる愛

2021年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

楽しい

突然、この世を去った息子リッキーが経営していたゲイバーを
相続することになった母メイベリン。
倒産寸前のゲイバーを立て直していくうちに
少しずつ明らかになる息子と自分の共通点。

人は与えられ愛によって作られていく。
見返りを求めない無償の愛がまるで血となり肉となり人を形成していく。
そうして形成された本当の自分を表に出して生きたリッキー。
メイベリンにたくさん愛され、
その愛を彼はしっかり受け取っていたことに
メイベリン自身が気づいたのが
彼の死後というのは切ない。

リッキーと異なり、メイベリンは本当の自分を内に隠して
生きてきたように思えた。
田舎町で教会の聖歌隊の指揮者をしていたときより、
リッキーの遺したゲイバーの立て直しに奮闘し、
そこのメンバーたちと関わっているときの方が生き生きとしている。
愛されていたリッキーが大切にしていたゲイバーを相続することは、
彼の愛を受け継ぐこととも言える。

だからこれは愛が受け継がれる物語なんだと感じた。
たとえ家族と訣別しても本当の自分として生きることを選んだ者、
それを認められず目を背ける者、恥じる者、
自分を隠して生きる者、薬に頼り現実から逃げる者、
様々な人たちの生き様が映され、そこには様々な形の愛が存在していた。
自分の生き方・愛することに対しても
目を向けて考えてみたくなるヒューマンドラマだった。

スクラ