サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイスのレビュー・感想・評価
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謎の黒人ミュージシャン
サン・ラーという劇中の奇人ミュージシャンは実在、自らの信条をSF映画にしてしまったようです、アメリカの人種差別で存在を認められない黒人の同胞たちを別の惑星に移送して黒人だけの世界を作ろうというお話らしいが全くもって何の映画かさっぱり分からない。
宇宙船がちゃちな模型なので低予算というのは一目瞭然、必然性のないヌードシーンなど自らB級映画と宣言しています。
黒人が観たら何か響くセリフなどがあるのかもしれませんが私には無理、エジプト風のコスチュームで砂漠の中でカードゲーム、ストリップクラブでの前衛ジャズのけたたましい演奏など、理解不能、あげくに勝手に地球を爆破しないで欲しい。
単なるサン・ラーのミュージックビデオだ。
2000年は23年も前に過ぎ去った。さて、黒人は今一体どうなったか?
『結局、金さ!』と言っている背後にマルコム・X。
さて、さて
映画は単なるサン・ラーのミュージックビデオだ。
残り15分で内容は集約する。前半の殆どが全く意味が無い。私はこのミュージシャンをただのキーボード奏者と見ていた。従って、この映画の存在すら知らなかった。
テナーを奏でるのはファラオ・サンダースだと思うが未確認。
以前から申し上げた通り、私はフリー・ジャズは大好きである。だから、サン・ラーの名前は知っている。しかし、ジャズとしての彼の存在は、寧ろフリー・ジャズの終焉と言える。やはり、フリー・ジャズと言えば、オーネット・コールマンやアルバート・アイラーの存在があり、コンポーザーやアレンジャーとしてはクィンシー・ジョーンズやチャールズ・ミンガスがあげられる。
だから、この映画は近年になって発掘されたフリー・ジャズを主題にした古いミュージックビデオの類と見るべきだ。
いやー堪んない雰囲気!
サン・ラー自体はジャズが昔から好きと言う事もあって知ってはいたが
こんな映画があるとは知らなかった。
もうオープニングの宇宙船が出てくるところから
もう堪らない雰囲気。
全体的に安っぽくておもちゃの様で完全な三流映画。
当たり前だけどこのノリを楽しめる人じゃないと
本当にクソ映画なんで見て後悔すると思う。
ただ一点そんなクソ映画の中にも真実があって
サン・ラ(昔から知っている人達はこうやって呼ぶ)の目が笑って無いのだ。
黒人が昔人類を支配していたとかアメリカ黒人達の公民権運動の主張の様なものを映画の中で聞く。
そして地球を捨てようとわりと本気でサン・ラは呼びかけている。
その激しい主張の中にフリージャズの混沌としたサウンドが流れて
もう何がなんだか分からないくらい圧倒される。
ツッコミどころ満載、何処かギャグ化している様にも見える。
ただやっぱりサン・ラの目は笑っていない。
最高に愛すべきクソ映画なのだけど
その本気度が恐ろしくもある。
なんでも彼はミュージシャンでありながら
彼の支配下にあるアーケストラのミュージシャンと
共同生活を共にしていたらしい。
宗教で共同生活をしていたと言う話を聞くと
過去の禍々しい事件を思い出したりもするが
そんな怪しげな雰囲気を感じたりもする。
どことなく雰囲気がアレサンドロ・ホドロフスキーのエル・トポに似ている。
意外とこの映画色んな意味で大傑作なんじゃないかと思ったりもする。
退屈で稚拙な作りの映画だけど好きな人には堪らないと思う。
ビザール!ソウル!ユニバース!
もっと音楽があった方が良かったかな。
いい曲が何曲もあるのに演奏時間が割と短く、ちょっともったいない。
Overseer(かつては黒人の奴隷監視人という意味)との対決は、もうちょい痛快な終わり方が良かったかも。
最後は周りの女だけでなく自分のアイデンティティ(白人社会における金や地位)も全て消えてしまって(白いスーツも娼館も全て!)素っ裸にされて、酔狂のジイさんが裸で出てきて、酔っ払いの方がハッピーに見えるとか。
しかし、これだけ荒唐無稽な突飛な設定で、低予算丸出し、特殊効果などもワザと(?)アマチュア感で炸裂なのに全く安っぽく見えない。
というかヴィンテージ感で溢れている。
音楽の説得力であっという間にラストに向かってしまう。
そしてつくづく、Sun Ra の音楽が、パーフォマンス・アートなのだと実感。やはりレコードなどの音だけより、映像の方がビシビシとソウルパワーが伝わってくる。
88年の来日、行くべきだった。
ライブは本当に最高だったに違いない。
この完全版は是非ソフト化を希望します!
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