ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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伝統は生きています 確かに継承されていると感じました このような映画が今後も途切れることなく、撮られていくことを切に望みます
素晴らしい傑作です
アカデミー国際映画賞を始め数々の国際的な映画賞を総ナメにするのは当然と思います
3時間は少しも長いとは感じませんでした
劇中劇のチェーホフの「ワーニャ伯父さん」の台詞が本編と妙なシンクロを始め出します
アジア各国からオーディションで選ばれた俳優達がそれぞれの役を別々の自国語で演じながら、「ワーニャ伯父さん」を上演することの意味
果ては手話だけの女優まで登場させるその意味
俳優達は数か国語がとびかう舞台の上で、台詞ではなく、相手役の感情や動作だけをみて反応してゆかねばならないのです
つまり言葉には意味がないと言うことを表現しているのだと思います
夜の車中での家福と高槻の長い会話の圧巻さ!
そのとき家福の知らない物語の続きを語るシーンは長く記憶に残るものでした
なんという表情と声の演技!
それを撮るカメラのレンズ!照明の凄さ!色彩!
妙に寒々しい色温度での撮影は、家福の心象風景を表現すると同時に、このシーンの破壊力を増す為でもあったのです
そして終盤の北海道の寒村のシーン
心の奥底に押し込めて見ない、知らないことにしていたことの恐ろしさにようやくたどり着いたのです
「真実はそれがどんなものでもそれほど恐ろしくない。いちばん恐ろしいのは、それを知らないでいること」
そこに考え至る過程の二人の苦しい灰色の年月のあまりの長さを、広島から、北海道への長距離ドライブのシーンで表現してみせるスマートさ!
冷たい無彩色の雪原の中で、二人はついに真実を知るのです
ラストシーン
家福の車をみさきが独りで運転して韓国のスーパーに買い物に出ています
犬も連れています
その表情はそれまでの固い無表情なものでなく、柔和なものになっています
外は温かい陽光が降り注いで、道はどこまでもまっすぐなのです
他の車すらいないのです
二人に何が起こったかの暗示です
後味も素晴らしい終わり方でした
日本映画らしくない、日本映画界の異端の映画だといわれているそうです
昨今の日本映画の現状からすればそうなのかも知れません
でも自分には1950年代、1960年代の日本映画の黄金期
アカデミー外国映画賞を受賞したり、ノミネート作品が幾つもでた頃の日本映画の味わいがあると思うのです
伝統は生きています
確かに継承されていると感じました
このような映画が今後も途切れることなく、撮られていくことを切に望みます
凍っていた心がほどけて溶けてじんわり暖かくなる、静かで優しい映画
良かった。いい映画だった。
3時間を一緒に過ごしたのもあってか、登場人物たちの内面の部分をのぞいてどっぷりと浸かったような印象。車の中での静かでゆっくりした染み入るような時間が心地よかった。終盤の雪のシーンくらいから一気に引き込まれて、気づけば夢中になって画面を観ていた。
劇中で高塚が、音と家福について、「細かすぎて伝わらない部分を大切にしている」というような(うろ覚え)表現をしているところがあった。西島秀俊やみさきさん役の女性が、表情も口調も淡々としていて無味なのに、こまかな表情で表現している感じがしてよかった。
終盤に近づくにつれて、凍っていた心がほどけて熱していくような演技や演出がよかった。ゴミ処理場で、雪のようなゴミが、燃えていくというシーンがあって、伏線だったのかなと思って印象に残ってる。
雪の北海道でのシーンに入る時、「静寂を聴く」時間があった。「補聴器をつけたときのような静寂」(女子高生が好きな男の部屋に入った時にあったら表現だったと思う。かなりうろ覚え)って、音さんの紡いだ言葉の中で出てきたような気がして気に入ってたので、そこと繋がるのかなーとか思ったり。
劇の良さも、本の良さも、映画の良さも、ある映画だった。
手話を使う女性は、聴こえるの?聴こえないの?読唇してるの?と少し引っかかった。見逃しただけで、劇中で説明があったのかな。多言語の1つに手話があるというという意味合いだと思うけど、実際あの劇のように、手話を用いている役者とスクリーンに字幕が出るというやり方だと、どっちに注目すればいいかわからなくて劇に集中できなくない?とか余計なことを考えてしまった。
む、難しい映画…
話題になっていたので早速観てきました。180分と長編なのでどうなのかなーと思ってましたが、多言語を使う演劇と映画のストーリーがシンクしていくような映画です。
正直理解するのがものすごく難しい映画だなーというのが正直な感想。合う人には合う。そんな映画だと思います。
長えなぁ…
この映画を説明してと言われると難しい
他のアカデミー作品は○○な映画と説明可能だがこの映画にはない、ある意味それが国際賞しか取れなかった所以かもしれない
だからといって酷い訳ではない、作品の山場という山場は正直ないが、ずっと心地いいクラシックを聴いている感覚になる
長い上演時間3時間も意外と苦ではない
"ドライブ"と付くくらいだからそういうシーンが多いのだろうと思うが、そうではない
映画の半分は演劇関連のシーンだろう
面白いかと言われればノーだが、その分ドライブのシーンはまだかまだかと気持ちを高揚させる
高速で普段車で吸わないタバコを吸うシーンは喫煙者はたまらないシーンだと思う
鑑賞後、観た後誰かにこれを強くオススメしたい!映画.comにレビューを書き込もう!そう思う人は少ないと思う「長えなぁ…」そう思うのが普通である
だがふと帰りの車に乗る時、帰宅途中の喫煙所でタバコに火をつける時、あるいは寝床に着いたふとした瞬間こう思うだろう
『いい映画を観たな』と、
是非劇場で。
生きることは不条理だ
ゴドーを待ちながらしかり、多言語で構成される舞台しかり、現実社会は不条理に満ちている。一番近い存在ともいえる夫婦でも家族の中でも、愛も裏切りも暴力すらあるように。
こんな不条理で謎だらけでわけがわからない世界で生きているわけだけど、でも、苦しんで閉ざしていた感情が、心を開き合うことで浄化される瞬間がある。あっていい。そういう奇跡みたいな時間と空間が、車を運転するみさきと同乗する家福に、もたらされる。
能弁すぎるくらい描き込まれた箇所もありながら、見る人に委ねるモチーフ的表現もあり、そのあたりのバランスもよいと思う。ラストも余韻が残る。
映画を観ることの豊かさを久々に味わった作品。
村上春樹らしい作品
人間の心の奥の奥を書かせたら右にでるものがいない、村上春樹らしい作品ですね❗️
この難しい設定を完璧に演じた、西島秀俊、三浦透子、岡田将生の演技は素晴らしいの一言です。
まさに日本アカデミー賞作品賞にふさわしい作品です。
3時間なんて、あっという間でした。
是非観てください😊
アカデミー会員でない人にはチョット...
俳優の熱演は伝わる。
脚本或いは原作のメッセージが分からない。自分自身を見つめ、それに向き合う大切さ?おいおい、3時間見させられて、それかい?村上春樹好きな人どうぞ。
私を救済する物語
長い長い時間をかけて、私は私と対話し、私は私を許し、私は私を救済することができた。私は私を救済したことによって、やっと、心から私を愛してあげることができた。
他者とのちょっとした出会いだけで、私は私を救えるんだな。多分、救われる人と救われない人の違いは、こんなちょっとした違いなんだ。だから、人生なんて全てがちょっとしたことなんだって、知ることができた。
邦画にしては珍しく、自立的で個人主義的で突き放した作品だったので、国際的に評価されたのもうなづけました。素晴らしかった。
「私はひとりだ」ということを良い意味で実感したと同時に「私もひとりだ」ということを他者と共有できる。そんな作品。それが、とても心地よく感じる作品。一期一会でも、他者と出会いたいな。
私も完全にこちら側の人間なので、全く集中力が途切れずに、ずっと心地よく作品の中にいることができました。
「何故、私は生きるのか?」と考えてしまう、哲学好き、文学好き、内省好きの方はハマる作品だと思います。
drive いわんや Winding Roadをや。
岡田将生の表情と人相がとてもこの役に相応しい。
語られた話の長さは持続力に比例するのか、
打ちのめされた主人公は長距離ドライブも他者に委ね、
寄る年波には勝てぬのか、せめて…
待てど暮らせど願えどもゴドーと妻は現れない
観に行ってしまった…
ミーハーだなぁ〜、賞を獲ったからって。
アカデミー賞作品は時に首を傾げる作品もあったりして、「あ、私解らない人なのか…」ってちょっと落ち込んだりします。
本作は素晴らしい作品だと思いますし、伝えたい事はよく判りました。でも、あそこまで長くする必要はあったのかな、と思うと星の数が減っちゃいました。
きっとあったのでしょうね。
私は「解らない人」…(笑)。
きっと本を読んだ方がぐぐ〜っと入ってくるのかもしれません。
生きよう
レンタルで家で観ました
ちょっと理不尽な事柄で心が荒んでた金曜日の午後
ザ・村上春樹 的なオサレな映画かと軽い気持ちで観始めたけれど
結構最初のほうからどんどん引き込まれて
最後は涙を流している自分がいました
原作は読んでいたけれど、どんな話だったか忘れてしまっているくらいでした
映画を観た後の現在も思い出せない…
別物になっているのかな
思い出せないのでわかりません笑
三時間という上映時間に映画館での鑑賞は頓挫したけど
きっと劇場で観てたらヤバいくらい号泣してたと思う
いい文芸作品を読んだ後みたいに心が温かくそしてスッキリと前向きになれました
つまらない。
正直つまらないと感じた。
非常に長い。進展が遅い。
他の人のコメントを見ると面白かった。引きこれた。と感想を述べる人が多くて驚いた。
一切原作の本は読んだことがなくそのせいもあるのかもしれない。はっきり言って上級者向け?だと感じた。
それほどでも...
つまんなくはないけど長すぎるし詰め込みすぎで途中眠くなった。演劇関連のシーンはちょっとあざといところもあるけど新鮮で面白かったけどね。
デート向きではないかな。
なお映画と小説は別物だとは思うけど、原作の方がずっと面白かった。
濱口監督だったら「寝ても覚めても」「偶然と想像」の方がずっと面白いと思います。
あと西島秀俊はテレビドラマの人というイメージが強くて、映画俳優としては線が細いというか弱いと思うな。
ひたすら思考を要求する映画
物語の中で幾重にも物語を語り、巧みに組み入れ、下手な演出だと滅茶苦茶になりそうだなと思いつつ、そこはやはり村上春樹作品、端正な清潔感とともに理路整然と物語が組み上がり引き込まれていく。
丁寧に1シーンずつ、ひたすら思考する事を要求する、示唆にあふれた映画。劇中、観客に考えさせる量の何と凄まじいことか。画づくりも、いかにも考え抜かれた精密感、静寂感に満ちたものになっている。
思索の深掘りが試される気分と、日常に慣らされた頭が少しリセットされた感覚を覚える。これは村上春樹の小説を読んだ後味そのものであって、同じものを映画でも感じるとは思わなかった。
セックスの際に語られる創作物語が夫婦のきずなになり、仕事になるという下りは村上春樹ならでは。他の作家が書いたら気持ち悪くて許されないだろう。
各映画賞を受賞しており、これは納得出来るが、子供と一緒に観られる娯楽映画ではない。「かもめ」くらいしか読んでなかったチェホフも読んでみようか。
最後にサーブに乗っていた犬は、食事に招かれた家に居た犬ですよね?穏やかで暖かい未来を感じさせるラストも映画らしくて良かった。
流れる景色。
棒読みのテープと読み合わせ。三浦透子という役者を選ぶセンス。最後まで三浦透子は感情的になることはなかった。それがよくある感動を誘うような演出にならなくて良い。彼女の実家に行った時、どういう感じになるのか見入ったが、やはり期待を裏切らず。素晴らしい。
家福が車を手放すことで、彼女がそれを引き継ぐことで、二人が生きていけるならそれでいい。最高の選択。
不思議な世界観に引き込まれる心地よい3時間
村上春樹氏の短編を原作にした映画。原作では黄色のサーブ900コンバーティブルですが、映画では赤のサンルーフ付き。この車、学生時代に憧れていたこともあって、それだけでエモかったです!
2人が車内で煙草を吸って、サンルーフから出しているシーンが個人的にはとても良かったです。
他は、皆さんがいろいろ書いてらっしゃるので、そのことだけ(笑)
訣別と再生
アカデミー賞受賞のニュースを受けて映画館で観ることにした。静かに紡がれる訣別と再生の物語は、深い余韻を残した。映画を見終えて外の世界に出た時に、何か言葉にならないけれど世界がほんのわずかに変化したように感じた。過去の悲しみから抜け出せずにいる全ての人に観て欲しい。この映画は自分の中に葬られていた生きる喜びを思い出させてくれる。
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