ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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カレーは飲み物、字幕は観るもの、人は死ぬもの
カレーは関係ない。字幕は倍の分量でも平気。死ぬってあっけない。
青空文庫で冒頭20分読んでおくだけでも理解が全然違う。
まあ、○○のためにする読書なんか碌でもないけれど。
原作未読。『ワーニャ伯父さん』は直前に青空文庫で冒頭ワーニャ伯父さんがグダグダくどくどぶーぶー文句たれてるあたりまで。八割がたそんな感じだけれど。
睡魔に襲われるかもと心配したけど、全くそんなことはなくてぐいぐい引き込まれてしまった(別にPG12場面だからじゃないぞ)。霧島さんの声が妙に耳に残る。ベッドでの語りもだし、テープの『ワーニャ伯父さん』も。ここで直前に読んだおかげですんなり入っていけるし、「ここでこの場面入れてくるかあ」と色々と考える余裕ができる。あと多言語演劇に驚かされる。これって実際に演られてるのだろうか。
先に鑑賞済みだった『偶然と想像』でもそうだったが、人間は演技しながら生きているのだなと。気づかないふり、何でもないふり、平気なふり、思わせぶり。極端な感情表現だけが演技じゃない。振りの(フィクションの)中にだって真実はある。と何かと深掘りしたくなる。
いろんな気になる場面があるけれど、車内での岡田将生の長台詞は、それまで浅慮で口先だけに見えていた高槻という人物の見方が変わる秀逸なシーンだった。北海道のシーンから公演場面、そして最後の三浦透子まで、どんなことがあっても折り合いをつけて、(変な言い方だが)死ぬまで生きていかなければならないのが人間だなと思った。
作品賞と監督賞は厳しいかもしれないが、脚色賞はひょっとすると。国際長編映画賞はすんなりいけそうな気がする。
3時間は必要
ドライブマイカー
3時間越えの作品
自宅で配信で視聴出来るおかげでテレビ前に飲み物スタンバイでリラックスして見ようと、見始めた…
が、冒頭から引き込まれてそれどころではない。
夜明けの淡い明かりが窓から差し込む高層階の一室で
夫婦の営みと、交わされる不思議な会話。
シンプルで洗練された内装にインテリア、
何一つ無駄な物はないと思えるこの部屋が
この夫婦にとってこの上なく居心地の良い場所。
リビングの大きな鏡がそんな2人の生活をずっと、
静かに見守って来たのだろう。
あの日その鏡に妻の秘密が映り込むまでは…
妻が自分に何を言いたかったのか?
一生解けない謎と後悔を抱える事になった主人公が
もう1人の重要な登場人物(?)である
年代物の真っ赤なサーブを運転してどこかへ向かう。
そして、初めてタイトルが表れるのだけど、
そこまでで約40分。
いつまでも幸せが続くと思っていたのに、妻は秘密を残して突然この世を去った。
主人公の家福は舞台演出家兼俳優。
地方都市の演劇祭に招かれて公演までの数ヶ月を過ごす事になるのだが、その間、専属のドライバーがあてがわれる事となり、家福のサーブが初めて他人に運転される。
このクルマ、2シーターなので後部座席に乗り込むのがいちいちめんどくさい。
ここにも夫婦だけが使い、そしてずっと2人を見てきた車なんだという監督の意図を感じる。
劇中劇と、妻が語った物語と、現実
それらが複雑に絡み合って展開していくのだが、
家福が役者達に棒読みでセリフを読ませるのと同様
家福自身もあまり感情を表に出すことはない。
それはドライバーのみさきも同じ。
どこか同じ匂いをお互いが徐々に感じる様になる。
ネタバレを承知で言う
人は誰もが「キミは悪くない。キミのせいじゃない」
と、誰かに言って欲しいと願っている。
『あの時、こうしていれば…』何かが変わっていたかもしれない。
変わることを恐れて、自分だけが傷つけばいい。
その想いは正しかったのか?
長い旅の終着地を連想させる北海道の雪上で
家福は初めて涙を流す。
その傍らにはみさき。
大きな事件は何も起こらず、淡々と主人公の心の旅が続く。
劇中劇とリンクしながら、静かに静かに
観客の心の奥に染み込んでくる。
こんな作品がアカデミーにノミネートされたのが嬉しい。
ここのところハリウッドを席巻しているアジアンエンターテイメント。
『パラサイト』や『ミナリ』の韓国人監督作品に続いて
今年度は是非、日本人監督に作品賞を取って欲しい。
#ドライブマイカー
#西島秀俊
#濱口竜介監督
#三浦透子
#岡田将生
三浦透子さんに尽きる。
うーむ。
村上春樹の世界のセリフの難しさを感じたなあ。
もちろん映画用に直してると思うけど、冒頭のシーンをクリア出来る人と、拒絶する人がいると思う。私は村上ファンで、原作を読んでいるのであの世界観に慣れている。
村上作品はアンチも多い、その人達が最も嫌うであろう世界観が冒頭に凝縮されており、
私的には冒頭からタイトルまでの導入部をカットすればもっと締まった良い映画になったと
悔やまれる、妻が亡くなった後からスタートし、あくまでフラッシュバックで妻を登場させる。演劇のシーンも長過ぎると思ったが、監督が原作に足した部分を表現するのに必要だったのは理解できる。原作にはない部分の方が面白かった、村上春樹作品の映像化の難しさを
またも痛感することになった。
日本アカデミー賞
脚本が凄いと思いました
2014年の単行本の時に買って
原作は読んでいたはずだけれど、
(家のどこかにあるはず)
今回、映画を観て、
その後、文庫本を買い直して
もう一度原作を読んだ。
映画には原作の要素が全てあり、
かつ、それを見事なまでに広げて、
印象深い作品になっていた。
車の中で聞く
セリフを覚え確認するための
カセットテープがあるのだが、
それが登場人物の心情や、シーンと
有機的に絡み合って、
クライマックスに向かっていく。
劇中劇の完成する過程と、
主人公の家福の心の葛藤が解消する様が
見事なまでにシンクロして、
唸ってしまった。
この原作をあの映画に仕上げた
関わった人たちの凄さに、
改めて驚いた。
見終わった後で、
時計を見て、
3時間経っていたことに驚くほどに、
時間を感じさせない映画でした。
ちゃんと村上春樹だったと思います。
三浦さんの声、西島さんの眼差し、全てが自然。
日本アカデミー賞8冠おめでとうございます。
海外の映画賞を獲得しだしてから
ずっと気になっていて、やっと観れました。
とにかく、ドライバー役の三浦さんの声のトーンに
引き込まれました。女性でも男性でもない、
まるで動物が人に化けたかのような、
ピュアで澄んだ声色。
西島さんの眼差しは、賢い良馬のように優しい。。
動物にたとえ過ぎてしまいましたが、
常に、ざわざわ、モヤモヤはするのに、
緑燃ゆる風景を眺めているような、
リラックスした気分で、、
気づいたら終わってました。。
最後の最後は、監督の言いたい事を西島さんが
絞りだしていて、泣いてしまいました。。
なんか軽く高原を散歩したような、
不思議な読後感、、、
あー、もう一度、館で観ようかな、
そんなふうに思ってしまう
不思議な風みたいな映画でした。
芸術作品として。
タイトル通り
脚色賞、なるほど!
原作、ワーニャ伯父さん未読ながら脚本の多重構造に驚きました。ここまでのものはなかなかないですね。素晴らしい作品だと思います。けど、個人的には刺さらなかった。
主人公含め登場人物達がなんか現実感がない人たちばかりなのでこの先家福がどういう事になるのかに余り興味が惹かれず最後まで見るのがちょっと苦痛でした。でもそもそもファンタジーなんですよね。で、それを踏まえ脚本演出の多重構造をもう一度理解したいと思ったのですが3時間を考えるとしばらく見る気にはなれないでした。
主人公をもっと3枚目で実直の感じの役者の方が良かったと感じました。1番リアルで共感できたのが岡田さんでした。最後の独白もなかなかの迫力で良かったです。
いろんな感情が湧き出る作品
短篇を3時間弱に改変する脚色力
179分の珠玉のロードムービー。
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