劇場公開日 2021年8月20日

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「凍っていた心がほどけて溶けてじんわり暖かくなる、静かで優しい映画」ドライブ・マイ・カー ともさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0凍っていた心がほどけて溶けてじんわり暖かくなる、静かで優しい映画

2022年4月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

良かった。いい映画だった。
3時間を一緒に過ごしたのもあってか、登場人物たちの内面の部分をのぞいてどっぷりと浸かったような印象。車の中での静かでゆっくりした染み入るような時間が心地よかった。終盤の雪のシーンくらいから一気に引き込まれて、気づけば夢中になって画面を観ていた。

劇中で高塚が、音と家福について、「細かすぎて伝わらない部分を大切にしている」というような(うろ覚え)表現をしているところがあった。西島秀俊やみさきさん役の女性が、表情も口調も淡々としていて無味なのに、こまかな表情で表現している感じがしてよかった。

終盤に近づくにつれて、凍っていた心がほどけて熱していくような演技や演出がよかった。ゴミ処理場で、雪のようなゴミが、燃えていくというシーンがあって、伏線だったのかなと思って印象に残ってる。
雪の北海道でのシーンに入る時、「静寂を聴く」時間があった。「補聴器をつけたときのような静寂」(女子高生が好きな男の部屋に入った時にあったら表現だったと思う。かなりうろ覚え)って、音さんの紡いだ言葉の中で出てきたような気がして気に入ってたので、そこと繋がるのかなーとか思ったり。

劇の良さも、本の良さも、映画の良さも、ある映画だった。

手話を使う女性は、聴こえるの?聴こえないの?読唇してるの?と少し引っかかった。見逃しただけで、劇中で説明があったのかな。多言語の1つに手話があるというという意味合いだと思うけど、実際あの劇のように、手話を用いている役者とスクリーンに字幕が出るというやり方だと、どっちに注目すればいいかわからなくて劇に集中できなくない?とか余計なことを考えてしまった。

とも