「難解で退屈な展開ながら、最後にはしっくりきてもう一度見てみたくなる不思議な作品」ドライブ・マイ・カー 臥龍さんの映画レビュー(感想・評価)
難解で退屈な展開ながら、最後にはしっくりきてもう一度見てみたくなる不思議な作品
クリックして本文を読む
ちょっと冗長で難解な作品ですが、最後まで見るとじわじわ面白さを感じる不思議な作品です。中盤までずっと腑に落ちなかった難解なストーリーが最後の最後で急にストンと自分のなかに落ちてきます。
序盤は文学的で難解な台詞が無機質に淡々と読み上げられる退屈な展開が続きます。また、舞台稽古のシーンもやたら冗長でその退屈さに拍車をかけます。
中盤以降は主人公が奥さんの自宅不倫の現場を目撃したり、その奥さんの突然死に遭遇したり、舞台の主演俳優が殺人事件を起こしたりといった様々な出来事が起きるのですが、事態の大きさとは裏腹に、不自然なほど淡々と粛々と静かに物語が進んでいきます。
その不自然さをもたらしているのは一切の感情を押し殺したような主人公の無機質さで、奥さんの不倫現場や死を目撃した時ですら、表情も変えず淡々と対処しているのですが、その無機質さの正体が最後のほうでようやく解けます。すると、それまでの不自然さやモヤモヤ感が一気に晴れ、それまでの物語が一気に線で繋がります。
まあ、なんというかとても不思議な作品で、賛否がはっきり分かれる作品だと思います。気の短い人や難解な台詞回しに耐えられない人は間違いなく無理でしょうね。
コメントする