「残された者の贖罪」ドライブ・マイ・カー チキンリトルさんの映画レビュー(感想・評価)
残された者の贖罪
物語の序盤までは、亡くなった妻が最期に言い残したことや妻の紡ぐ脚本をめぐるストーリー展開かと思っていたが最終的には違った。これは失った人を懐古するのではなく、残された側がどう生きていくかの物語だ。
広島での仕事で出会ったドライバーとの、家族の喪失という共通点の発覚によりストーリーの展開と主人公である家福の感情変化が加速する。
タクシードライバーの渡利と手話で芝居をする韓国人女性が演じる役との共通性が作品を通じて印象に残った。心の中にある思いを手話を通じて伝える表現には感嘆した。
亡くなった人が生前に何を思い、何を残したかを探ることが故人を弔うのではない。残された人が故人を思い後悔し生き続け、自分が命を落とした時に初めて贖罪となるのだ。
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