劇場公開日 2021年8月20日

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「演劇要素や多言語に没入できないもどかしさ」ドライブ・マイ・カー 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5演劇要素や多言語に没入できないもどかしさ

2021年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

かつて愛読した村上春樹の短編を、国際映画祭常連の濱口竜介監督が映画化、ということで期待値は高かった。チェーホフやベケットといった現代演劇に通じている観客のほうがより深く味わえるのだろうと想像する。正直に告白すると、中盤以降かなりの尺を占める家福と俳優たちによる「ワーニャ伯父さん」の稽古場面を心から楽しめず、多言語が行き交うこともあってか、作品世界に没入しきれない自分をもどかしく思った。

村上小説の空気感はかなりうまく再現できていたように思う。家福役の西島秀俊とみさき役の三浦透子が交わす言葉と心の距離感も精妙に表現されていた。家福の亡き妻・音役・霧島れいかに関しては、車中でたびたび流れる録音済みの朗読で聴かれる声のトーンは耳馴染みがいい。ただし、若手のイケメン俳優・高槻(岡田将生)と浮気もするやり手の脚本家という音の人物設定と霧島の話し方に微妙なずれがある気がする。ドラマ「24 JAPAN」でテロ対策ユニットの新班長を演じた時も、切れ者であるはずの役と霧島のどこかのんびりした話し方に違和感を覚えた。彼女は颯爽としたインテリや切れ者のキャラクターよりは、品のいいおっとりした女性の役を演じるほうがはまる気がするのだがどうだろうか。

高森 郁哉
こうさんのコメント
2022年3月25日

逆に多言語が行き交うシーンが強調されないと
夫婦間や親子間、身障者と健常者、多民族間
いわゆる多様化を表現する場面ではチェーホフは最適であったと思う

こう
who am iさんのコメント
2021年8月29日

と一瞬思ったんですけどそんなのその人自由ですね、、すいません。

who am i
who am iさんのコメント
2021年8月28日

ワーニャ伯父さんくらい読んでから書けば?
そんなに長い話でもないし。

who am i
マキさんのコメント
2021年8月22日

「音の人物設定と霧島さんの話し方にズレがある」鋭い指摘ですね。その“ズレ”が私にとっては、よりミステリアスに感じているのかもしれません。

マキ