劇場公開日 2020年12月4日

「良くも悪くも「ミュージカル」」ザ・プロム Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0良くも悪くも「ミュージカル」

2020年12月20日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

ミュージカル映画は全体的に苦手。なぜならストーリーが薄いから。
音楽自体は映画、小説と並ぶ趣味なほど大好きなのでミュージカルが嫌いな訳ではないが、やはりストーリーを求めてしまうので結果的にミュージカルは全体的に苦手で『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように濃厚な作品なら大好き。

今話題の『ザ・プロム』はメッセージ性こそ強いがやはり脚本が弱い。
最初から観客を置いてけぼりにする圧倒的なテンポ。
隙のないミュージカルシーン。
『グレイテスト・ショーマン』なんかが好きな人にはたまらないシーンの連続だと思うが、自分はやっぱりストーリーとベタ演出が気になってしょうがなかった。
とここまでが前半。

なんだけど!
後半あたりから何故かすっげーノリノリで観てしまった。
テンポとファッションをとにかく重視の作風に慣れたのもあると思うけど、それぞれ登場人物が抱えた問題が一つ一つノリノリのテンポで解決していく様が面白くて、しかもミュージカルシーンも前半より色々と豪華で、最初の方は無表情で画面を観ていたが、後半は口角が自然と上がってリズムにノってる自分がいた。
これを意図して前半わざと粗く作ったのならばすごい!(多分偶然)

でもLGBTQの主張が正直しつこい。
はっきり言うと気分が悪い。気持ち悪い。
このテーマを真正面から扱ってるのはいいんだけど歌えばハッピー!みたいな雰囲気だし、どうしてもLGBTQをテーマではなくエンタメとして踏み台のような存在になっている。だから説得力など無いし、しつこい主張にはドン引きしてしまう自分がいた。それに俳優達がのんびり何事もなかったかのように笑いまくってるのが気持ち悪い。確かにミュージカルはそれでこそ面白いし、ミュージカル映画にリアル路線を望んではいけないことは知ってるけど、やはり気持ち悪く感じてしまった。

この作品の評価をグンと上げてるのはやはりラスト。
『ボヘミアン・ラプソディ』がいい例だが音楽系はたとえ2時間つまらなくても、ラスト15分が完璧ならば鑑賞後は「いやーいい映画だったわ!」ってなります。
そのミュージカル映画の特性を知り尽くしており(これは多分偶然ではない)ラストは圧巻。鳥肌もんよ。
ただ、やはりテーマの描き方が受け付けなかったから、評価は低くなってしまう。
もっと深ければ素晴らしい傑作にもなり得たのでかなり惜しいです。

Pegasus