劇場公開日 2020年12月4日

「LGBQとブルーベリーの心」ザ・プロム Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0LGBQとブルーベリーの心

2020年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

またもやLGBQの話かと、少しうんざり。
2010年に起きた実話にインスパイアされたストーリーなのに、こんなエンタメに変えるのかと驚いてしまう。
LGBQと一言で言っても、人それぞれのはずで、あまりに単純化していないか?
「今夜は必ず自分のものに!」とばかりに、流行のテーマに食いついて、何でもビジネスにしてしまう商魂はさすがだ。
あまり真面目な意図をもつ作品でないことは確かだろう。

インディアナ州がコケにされているが、マーフィ監督の出身地のようだ(笑)。
しかし、監督の“自虐”ではなく、もとの実話はミシシッピ州の事件で、原作者も違う地域の出身らしい。
では、なぜインディアナ?

この映画は、ど派手な色と、大音響と、やり過ぎなカメラワークによって、ひたすら力で押しまくる。
もちろん自分も、溢れかえるパワーを楽しんだし、徹底的にやり切ったところはスゴいと思う。
しかし、脚本はありきたりだし、テレビドラマ的なある種の“下品”さに満ちている。
そして、この映画に独自の価値があるかというと、最近のインド映画には負けている気がするのだ(笑)。

自分は、オリジナル舞台のライブビューイングの方が観たかった。
ミュージカル映画と、ミュージカルは違う。舞台には、舞台でしか実現できない“様式美”がある。

なお、「日本初のカスタムスピーカー『オデッサ』上映 」(@ヒュートラ渋谷)を観たのだが、音響がひどいこと、この上ない。映画館はディスコではない。
音はスクリーン前方からしか来ないし、床から不自然に重低音が響くし、そもそも音が割れている。
こういう刺激を、「スゲー!」と熱狂できる人ならいいだろうが、ミュージカルの楽しみ方ではないだろう。

ところで、「トニー賞は政治的。個人よりブランド」という皮肉は、本当なのだろうか?

Imperator