「2020年マイベストムービー」ザ・プロム KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
2020年マイベストムービー
物語はLGBTの女子高生のエマがプロムの参加を学校全体の意見として参考を認められず彼女の存在を否定されるところから始まる。
M.ストリープ演じるディーディーとJ.コーデン演じるバリーの二人のスター俳優達は素行や各々の言動等々から世間から良いイメージを持たれておらずメディアにも批評されている事に悩まされている。
そんな時にTwitterでエマの存在を知り、彼女を支援することで各々の社会的評価、イメージを覆そうと行動にでる。いわゆる昨今ハリウッドで目立つLGBT作品である。
ただこの作品の好きな所はミュージカル映画という事もあってLGBT問題を非常にポップに描かれている。
ただポップなだけではなく音楽の魅力で、そしてその歌詞、俳優陣の歌声でハートが射止められる非常に素敵な作品である。
歌詞なんかも非常にストレートで分かりやすいのがまた良い。
LGBTに悩まされるエマだけではなくこの作品の登場人物は各々悩みを抱えている。その悩みの殆どが本当の自分を否定される事に怯え苦しんでいる。
そしてこの作品内では否定し相手を傷つけてしまってる側の人物ももちろん描かれているが、彼らもまた社会の「普通」という概念に従っているだけであり、その「普通」から逸脱し自分が否定される事を恐れているわけだ。
この作品の良い所はそういうストレートな所がとても良い。誰しもが偏見は少なからず持っているかもしれない。その偏見を振り返った時意外と深い理由はなかったり、その偏見を理解する事で自分が否定される事を恐れてるケースは多いのかも知れない。
このように振り返ると差別偏見は考え方次第では無くす事は決して難しくないのかもしれない。
この作品内で特に好きな所は後半の「隣人を愛そう」というミュージカルシーン。
これなんかも非常にストレートである。近くの人を愛し理解する事で偏見や差別はなくなる。人は決して一人で生きているわけではないから、こうしてみんなが近くの人を愛し、理解し合えばあっという間に輪となり、理解は進むであろう。このシーンは特に好きであった。
この隣人を愛そう以外のミュージカルシーンでも非常に自分の好みの曲調歌詞が多く終始ワクワクしながら鑑賞することができた。
最後はもちろんエマは認められ恋人と結ばれる。バリーらも幸せな形で終わる。ディーディーが最後にうまくいくって素敵だというシーンがあったがこの時は観てるこちらも全く同じ気持ちになり非常に心打たれる良いシーンだった。
ミュージカル映画が元々好きという事もあるが、個人的には今年見た作品の中で1番好きな作品であった。
同じようにミュージカル映画が好きな人には強く勧めたくなる作品であり、また比較的若い層や映画があまり見ることのない人にでも楽しくそして温かい気持ちになれるポピュラーな作品にも思える。
また今回はイオンシネマ海老名のTHXで鑑賞することができた。Netflix作品という事もあって劇場公開が少ない、THXで鑑賞出来たことにイオンシネマには非常に感謝の気持ちでいっぱいだ。とても作品とマッチしていた。
Netflixでこの後見ることはできるが、ミュージカル映画が好きな人、この作品が気になる人は是非劇場で観ることを強く勧めたくなる最高の作品であった。