劇場公開日 2020年11月20日

「ゲイリー・オールドマンという色彩」Mank マンク Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ゲイリー・オールドマンという色彩

2020年12月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

難しい

『市民ケーン』をきちんと観たうえで鑑賞。
デヴィッド・フィンチャーの一番の特色と言えるサイコ的なサスペンスフル要素はないけど、個人的にフィンチャー作品の中では上位に来るぐらい面白かった。
前に『ゾディアック』の感想でも書いたけどフィンチャー作品の「憂鬱な胸糞さ」が苦手で後半の方は疲れきってしまうのだけど(そこが面白くもあるのでつい観てしまうのだが)今作は後半にいくにつれて面白くなり気が滅入ることなくサクサク観れた。

正直に言うと当時のハリウッドの背景などほとんど知らないし、登場人物が覚えられなくて、「誰だっけ?」ってなった(フィンチャー作品では毎度のこと)けど、あの毒とユーモアを織り交ぜたセリフの言い回しがすっごい面白くてハマった。
フィンチャーはスリラーもいいけど、皮肉に満ちた作風が個人的には好きだったりする。

それとゲイリー・オールドマンの圧倒的な佇まいに見入ってしまう。
彼がモノクロ画面に色を添えていたような感覚でゲイリー・オールドマンだけでも観ていられる気がした。最後に本物のマンクさんの映像が流れるのだけど、劇中の姿を瓜二つ過ぎてビックリした!「あれ?これって実際の映像じゃなくて映画用に撮った映像なんじゃないか?」と錯覚してしまうほど。
というか最初ゲイリー・オールドマンが何処にいるのか分からなかった。
自分の中ではゲイリー・オールドマン=ダークナイトトリロジーの刑事役だったから見た目が違いすぎて気づかなかった。
役作りが凄まじい!

これを観て確信したのは「現代で撮った白黒映画」は何故かハマるということ。
『ROMA』とか『異端の鳥』だとか…
滑らかな美しいモノクロ画面は妙に説得力があって感銘を受けてしまう。

では最後に1番好きなセリフを。
「映画というのはな、ここと、ここと、ここで感じるもんだ。」("ここ"が何処かは観てのお楽しみ)

Pegasus