劇場公開日 2020年11月20日

「フィンチャーは現代のウェルズ?古き良き自分の罠にかかる共作・共犯関係!!」Mank マンク よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィンチャーは現代のウェルズ?古き良き自分の罠にかかる共作・共犯関係!!

2020年12月4日
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(FLASHBACK) 40年代の現在と30年代の回想が入り組んだ語り口を突破口に、テンポ良く時にコミカルに昔のハリウッドを描く。その中で冒頭ではうだつの上がらないアルコール依存症の中年脚本家が、徐々に積み上げていき、後半からと相手の本拠地に乗り込む圧巻の終盤にかけてただ一人反骨の象徴としてヒーローに見えてくる。昔らしいゆっくりとした暗転に、丁寧に右上のチェンジマークまで。映画史上屈指と名高い傑作『市民ケーン』のモデルとなった人々ウィリアム・ランドルフ・ハーストとマリオン・デイヴィスとの出会いから執筆中・後のあれこれまで、脚本家ハーマン・ジャコブ・マンキーウィッツを中心に描かれる。
NETFLIXとの4年間との独占契約を結んだのも記憶に新しい完璧主義フィンチャーが父の脚本を、同業者からの支持リスペクトも厚い名優ゲイリー・オールドマンをタイトルロールに、アマンダ・セイフライドや、白黒で見るとより一層オードリー・ヘップバーン味のあるリリー・コリンズを起用した見応えあるドラマ。正直、長年愛されてきている傑作『セブン』『ファイト・クラブ』といった作品群に比べるとまだ愛着も取っつきやすさも覚えていないが、撮影や編集、衣装美術など技術・裏方的な部門でもストリーミング作品としてはよりインパクトあるアカデミー賞大量ノミネートもあり得そうな各種方面での充実っぷり。そして映画の魔法は意識的に起こそうと思って起こせるものだと証明してみせた。遂に、やっと見られた!

60日とパスタ「タイプの音が聞こえないぞ」なぜかZ

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